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FEATURE
古着サミット9 業界屈指の偏狂家たちによる古着放談。
Houyhnhnm Vintage Summit.

古着サミット9 業界屈指の偏狂家たちによる古着放談。

各国のヴィンテージガーメンツを愛してやまない偏狂家たちによる恒例の古着放談『古着サミット』もついに第9弾。今回も、今野智弘、栗原道彦、藤原裕、阿部孝史のレギュラーメンバー4名をお迎えし、それぞれがいま興味を惹かれるアイテムやニュアンスはもちろん、コロナ渦で見えてきた新たな市場動向など、常に現場で掘り続けている彼らならではの視点から、現在進行系の古着の世界をお届けしましょう。

  • Photo_Toyoaki Masuda
  • Text_Takehiro Hakusui
  • Edit_Yosuke Ishii

PROFILE

今野智弘
NEXUSVII. デザイナー

1977年生まれ。2001年 N.Yより〈ネクサスセブン〉を始動。2020年11月にリニューアルオープンした「渋谷PARCO」にて新店をオープン。去る1月には『NEXUSVII.×GREGORY EXLUSIVELY FOR URBAN RESEARCH』が大きな話題となった。

PROFILE

栗原道彦
ヴィンテージバイヤー

1977年生まれ。2011年よりフリーバイヤーとしての活動を開始。古着屋のみならず数々のセレクトショップやブランドからも絶大な信頼を集める日本屈指のヴィンテージバイヤー。奥渋谷には自身のショップ「ミスタークリーン」も展開中。

PROFILE

藤原 裕
BerBerJin ディレクター

1977年生まれ。L.A.発のデニムブランド〈ヤヌーク(YANUK)〉のアドバイザーとしても知られ、近年のGジャンブームの集大成とも言える『Levi’s VINTAGE DENIM JACKETS Type l/Type ll/Typel lll』の監修人でもある。

PROFILE

阿部孝史
ワールド スタッフ

1976年生まれ。これまで編集・ライターとしてメンズファッション誌に携わり、多くの古着関連の記事を扱ってきた有識者。現在はアパレルメーカー「ワールド」にて、EC関連や社内報、イベント企画などを担当。ヴィンテージバンダナのコレクターとしても知られる。

第一講
今野智弘

「最近は英国製バーバリーというだけで異常なくらい高騰している」

‘40s ROYAL AIR FORCE WOOL COAT MADE BY BURBERRY

今野: ぼくのひとつめはRAF(ロイヤルエアフォース=英国王立空軍)のウールコートです。2着とも〈バーバリー〉が製造したもので、内タグも残っています。

阿部: どこで買ったの?

今野: 両方とも「ブラケッツ」(奥渋谷のヴィンテージショップ)ですね。

藤原: 何年代頃のものなんですか?

今野: タグには1943.Aug.13の記載もあるので、おそらく1940年代頃に作られたものかと。同じ〈バーバリー〉製でも将校など幹部用のものになってくると、金属ボタンがメインなんですね、RAFの刻印が入った。でも、それだと荘厳な印象過ぎて街着としては使いづらいので。

栗原: 型も2種類あるんですね?

今野: そうそう。ただ、共通して前開き部分がちょっとオフセットしていて。〈バーバリー〉のコートでこのグレーというか、エアフォースブルーの生地を使ったものは概ねRAFのものみたい。くわえて幹部用のものも同様にハンドウォーマーポケットのフラップが斜めにとってあるのも共通要素のひとつだね。

阿部: この金属ボタンを使っていないモデルは、位の低い人に向けてつくられたものなのかな?

今野: どうなんでしょう。

栗原: 将校がオーダーで設えたとかではなく、正式な納入品なんですかね? というのも、もし納入品だとしたら何かしらスペック(型番など)がついて然るべきかと。

今野: 確かに。オーダーの可能性はあるかもね。

阿部: ちなみにいくらくらいするものなの?

今野: 両方とも10万ちょいって感じです。ただ、最近は英国製〈バーバリー〉というだけで異常なくらい高騰していますから、そう考えるとまだ良心的な価格なのかもしれません。

藤原: このモデルと同じ型で、〈バーバリー〉製以外のものもあるんでしょうか?

今野: もしかしたらあるのかもしれないけど、いまのところは見たことがないかな。

阿部: 他にも〈バーバリー〉製の軍モノってあるの?

今野: イギリスの軍物でいうと前開きにボタンがなくベルトを締めるだけのガウンのような長尺のコートがあるようです。

阿部: タイロッケン(ウエストタイでロックするコート)みたいな感じ?

今野: 近い感じですが、いわゆる〈バーバリー〉のタイロッケンコートとはかたちが異なりますね。

阿部: そうなんだ。

今野: はい。以前にナイジェル・ケーボンさん(英国のヘリテージ系デザイナー)の私物として何かで見たことがあって。ボディがネイビーだったので、おそらく海軍のものだと思うのですが。

栗原: このオフセットもやっぱり特徴的ですよね。

今野: 不思議なかたちだよね。それにヨーロッパものはやっぱり仕立てが抜群に良いので毛芯の使い方とかいろいろ勉強にもなるんだよね。

「変異種みたいなものを探していたタイミングで見つけた」

’80-’90s Levi’s GALANTIC WASH DENIM JACKET & JEANS

今野: 2つめは1980年代に〈リーバイス〉が展開していたブリーチ加工もの。星空のような細かなブリーチが特徴的なラインですね。

藤原: これってどうやって作ったんだろ? ひとつずつスプレーとかでブリーチしたんですかね?

阿部: 生地の段階でブリーチしているんじゃないの?

今野: いや、褪色した部分がパーツを跨いでいる箇所もあるので後加工だと思います。

阿部: へえ。ずいぶん凝っているんだね。シリーズ名とかライン名はないの?

今野: 前にフラッシャーの画像をネットで見たことはあるんですが、忘れちゃいました(笑)。(Galantic Washという名称で展開していたよう/編集部調べ)

阿部: (笑)。でも、これがファンメイドじゃなく、製品としてインラインからリリースされていたこと自体が面白いよね。どうやって見つけたの?

今野: 一般的なブルーデニムとは織りの異なる、ストライプやヘリンボーンみたいな言わば変異種みたいなものを探していたタイミングで見つけて、知り合いの古着屋さんとかにお願いして買い付けの際に見てもらったりもしたんですが、意外と玉数もないようで。

阿部: 80sなの?

今野: 90sもあるのかもしれませんが、どうなんでしょう?

栗原: 80sであれば88年製、90sであれば98年製(内タグを見ながら)ですね。この058から云十8年5月ってことが読み取れますが、これはその他のディテールから推測して88年製で間違いないと思います。

阿部: さすがだね。その前にある527は何の番号なの?

藤原: それはトップボタンの裏に刻印された番号と同じです。

阿部: 結局この番号は何を意味しているの? 一部で言われているように工場なのかな?

栗原: 現段階では工場説が最も確度が高いかと。(詳細は阿部さん編を参照)

藤原: ぼくもパンツを2本くらい持っていますが、いまとなってはほとんど見かけないですし、おそらく数シーズンしか展開してなかったんじゃないかと。

栗原: まあ、見ないよね。ぼくもほとんど売った記憶がない。

阿部: 価格的には?

今野: 最近上がってきてますね。2万ちょいとかで見たこともありますし。でも(藤原)裕くんが穿いたらすぐ高騰しちゃうから、なるべく穿かないでもらいたい(笑)

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