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FEATURE
古着サミット12 業界屈指の偏狂家たちによる古着放談。
Houyhnhnm Vintage Summit.

古着サミット12 業界屈指の偏狂家たちによる古着放談。

2014年2月にスタートしたヴィンテージ偏狂家たちの古着放談「古着サミット」も遂に10周年。今回もこの10年の間にも多くのネクストヴィンテージを掘り起こし、数々の新潮流を生み出してきた、今野智弘、栗原道彦、藤原裕、阿部孝史と、業界屈指のレギュラーメンバー4名を迎え、それぞれがいま興味を惹かれるアイテムを、いつも通りの脱線も交えながら徹底的に深堀りしていきます。

  • Photo_Fumihiko Ikemoto
  • Text_Takehiro Hakusui
  • Edit_Yosuke Ishii
古着サミットのひとたち
今野 智弘
栗原 道彦
藤原 裕
阿部 孝史
  • 今野 智弘
  • 栗原 道彦
  • 藤原 裕
  • 阿部 孝史

PROFILE

今野 智弘
NEXUSVII. デザイナー

1977年生まれ。2001年 N.Yより〈ネクサスセブン〉を始動。他にもデニムブランド〈ビヨンデックス〉や、現在プロバスケットボールBリーグ「アルティーリ千葉」のクリエイティブディレクターとして辣腕を振るうなど、その活躍は多岐にわたる。
Instagram:@nexus7konno

PROFILE

栗原 道彦
ヴィンテージバイヤー

1977年生まれ。2011年よりフリーバイヤーとしての活動を開始。古着屋のみならず数々のセレクトショップやブランドからも絶大な信頼を集める日本屈指のヴィンテージバイヤー。奥渋谷には自身のショップ「ミスタークリーン」も展開中。
Instagram:@michihikokurihara

PROFILE

藤原 裕
BerBerJin ディレクター

1977年生まれ。原宿の老舗ヴィンテージショップ「ベルベルジン」のディレクターを務めるほか、その豊富な知識を生かして数多くのブランドのデニムを企画。近年のGジャンブームの集大成とも言える『Levi’s VINTAGE DENIM JACKETS Type l/Type ll/Typel lll』の監修人でもある。
Instagram:@yuttan1977

PROFILE

阿部 孝史
ヴィンテージバンダナコレクター

1976年生まれ。これまで編集・ライターとしてメンズファッション誌に携わり、多くの古着関連の記事を扱ってきた有識者。ヴィンテージバンダナのコレクターとしても知られる。現在はベイクルーズでECのコンテンツ制作を担当。
Instagram:@abeabc1976

第一講
今野智弘

「この日焼けの退色感を表現するには、いまならあえて加工する他ない」

30’s〜60’s VARSITY JACKET

今野:まずひとつめは、ヴィンテージのバーシティジャケットです。(写真左と中の)2枚は通称ボタスタと呼ばれるボタンホールのある旧いタイプ、残りの1枚は一般的なスナップボタン仕様のものを持ってきました。自分のブランドでバーシティジャケットを作るにあたり、何かしら参考になるのではと倉庫から引っ張り出してきたものの、残念ながら今回は特にこれといった成果はなかったですね(笑)。

藤原:ボタスタは50’sと、もうひとつはおそらく30’s、スナップボタン仕様は’50とか’60年代頃のものですかね。

阿部:ブランドは?

今野:2つは一応タグがあるものの〈サンドニット〉というブランドと販売店のタグで、もうひとつはブランドタグが欠損してサイズ表記のみ残っているのですが。

栗原:確かに首元のタグにはメーカーではなく販売店名しか記載されていませんが、ポケットの中に付けられたタグを見ると’80年代頃のバーシティジャケットでもよく見かける〈ホロウェイ〉社製ですね。

藤原:このタグなしのものは触った感じ、単なるメルトンではなさそう。

栗原:確かに。ちょっとスウェットぽいというか。

今野:そうそう。脇下にもガゼットが付いてて運動性も考慮した作りなので、スウェットとジャケットのミックスみたいな作りだよね。

栗原:実際に組成もニットぽくて単なるメルトンとは違いますね。

今野:組成は完全にニットの部類だね。

阿部:なぜいま、この辺に再着目したの?

今野:ジャケット制作のヒントにはなりませんでしたが、改めて見直すとボディの退色感が面白いなと。現代だと染色の技術も染料のクオリティもそれぞれ進化しているので、このヴィンテージならではの日焼けた退色感を表現するには、あえて加工する以外にないんですよね。

阿部:なるほどね。

栗原:バーシティジャケットって旧いものだとボタンホール仕様が最もメジャーなディテールとされていますが、こういった本当に旧いものはそもそも市場に出回るタマ数が圧倒的に少なくて。とはいえ、新しいものでも〈チャンピオン〉の70’sみたいにボタンホール仕様が一切ないワケではないので、より年代判別しやすいディテールとしてはパッチポケットなのかもしれませんね。

藤原:昔の雑誌を見ると「ボタスタは全て’50年代以前」と言い切ってしまっていますけど、確かに例外も全然ありますし。

今野:パッチポケットもバーシティジャケットを語る上でいまやひとつの“役”だもんね。

阿部:これって東海岸と西海岸で明確な違いってあるのかな?

藤原:どうなんでしょう。阿部さんが好きなカナダ製はほぼオールレザーが一般的ですが(笑)。

阿部:そうだったね(笑)。でも、なんでカナダ製はオールレザーなんだろうね?

栗原:やっぱり防寒性ですかね。

今野:単純だけど、その線はありそうだよね。カナダといえば寒いイメージだし。

栗原:バーシティジャケットもしばらく動かない印象でしたが、最近になってようやく動き始めましたね。

藤原:確かに。ここ数年でちょっとずつ注目されている印象。

栗原:ダービージャケットとかもそうですが、裾リブに抵抗のない世代に響いているのかもしれませんね。それから、今日見せてもらった3モデルは全て裏地なしでセットインスリーブのものばかりですが、そこにも何かこだわりがあるんですか?

今野:たまたまだけど、確かに’60年代以降になるとレーヨンの裏地が付いたり、ラグランスリーブのものをより多く見かけるね。とはいえ、バーシティジャケットって旧いものはホントに出てこないじゃない?

栗原:そうですね。こういったカレッジ系のアウターはミリタリーものなんかと同じく、普段着なくても記念に取っておくアメリカ人が多いので、ラグやスリフトとかよりもエステートセールから出ることが多く、現存するタマ数は決して少なくないんでしょうけど、気軽に手放す人がいないからあまり市場に出回らないのかと。

阿部:そうか。ワークは記念に取っておかないもんね。

「ショールカラーの前側が合わさってないのが旧く、合わさっているものは比較的新しい」

30’s COWICHAN SWEATER & 60’s COWICHAN VEST

今野:続いてはハンドニットのカウチンです。この間のアメリカ出張で珍しいベストタイプを見つけたので、合わせて持ってきました。

藤原:確かにベストは珍しいですね。でも、この辺りって総じてサイズが小さめですよね。デカいのとかあるんですかね?

今野:見ないよね、これくらいの年代になっちゃうと。前に自分のブランドでも作ろうしたんだけど、いざ取り掛かってみたら、とてつもなくコストが掛かっちゃって。でも、ずっとベストタイプは欲しかったから、たまたま見つけられてラッキーだったなと。

阿部:スワスティカ(ネイティブアメリカンに伝わる「Life」「Love」「Luck」「Light」の意味が込められた幸運のモチーフ。1880年代から1930年代半ば頃にかけて使われたものの、第二次大戦中にナチスの鉤十字と同じ形をしていたことから排除の対象となっていった)ってことは’40年代以前ってこと?

今野:そうでしょうね。スワスティカの多くが大戦中に燃やされたみたいですし。

栗原:カナダ産なんですかね?

今野:どうなんだろう。

栗原:スワスティカってワードも広義だとハーケンクロイツも含まれるようなので、欧米ではあまり使われなくなったみたいですね。

阿部:そうなんだ。何て言えばいいの?

栗原:Whirling Log(ウィリングログ)だと問題ないみたいですね。

今野:このスワスティカモチーフのものとツバメのモチーフを編み込んだカウチン2枚を同じセラーさんから購入したのですが、ツバメはその生態から戦争へ行っても無事に戻ってくるといった意味合いが込められていると聞きました。確かニューメキシコ州のギャラップの方にあったポーンショップだったと思うんだけど。

阿部:へえ、そういうメッセージが込められているんだね。

栗原:ということは、カナダじゃなくてアメリカ製なのかもしれませんね。カナダの先住民にはスワスティカのイメージはないですし。

今野:そうかもね。あと、そこで聞いた話によるとショールカラーの前下がりの部分が合わさってないのが旧く、合わさっているものはそれよりは新しいみたいだね。

阿部:へえ。これは合わさってないから旧いってことだよね。

今野:そうですね。20年くらい前ですがそのセラーさん曰く、’30年代頃に自分で編んだものだって言っていました。でも、ツバメモチーフの方は友人に譲ってしまって、いま現在手元にあるのはこちらのスワスティカだけなんですよ。

栗原:逆にジップアップタイプのカウチンにすごく旧いジッパーが付いているものを見かけないってことは、’40年代以前はジップアップよりもプルオーバータイプの方が一般的だったんでしょうね。

今野:確かに。原型はプルオーバーだったのかもね。まあ、ベストタイプはライトニングジップ(英国最古のジッパーブランド。1931年に事実上独立国家となるカナダながら英国占領下の影響が色濃い)が付いているし、間違いなくカナダメイドだと思うんだけど、年代的にはそれほど旧くはないのかも。

栗原:ライトニングも旧いものはコの字留め(ジッパー最上段に位置するコの字型の留め金具)なんで、おそらくそれ以降、’60年代頃のものかと。

阿部:ゴルフ柄とかトーテムポール柄とか、いわゆるキットタイプのカウチンにはあまり興味ないの?

今野:いえ、一時はそれなりに集めていたのですが、最終的には狼柄の杢グレーボディだけ残して、他は手放しちゃいましたね。

阿部:狼柄の杢グレーってかなり珍しいでしょ。

今野:そうですね。グレーでもベタのグレーとヘザーっぽい杢グレーがあって。黒、杢グレー、薄めの水色と3色手元にあったんですが、杢グレーだけあまり見かけないので、それだけ残して。

阿部:たくさん見かけるものもあるし、そんなに高値が付いている印象もないんだけど、狼柄はいまだといくらぐらいするの?

藤原:5万でも結構安い印象ですかね。

阿部:そうなんだ。

栗原:まあ、カウチンは手編みですし、現行の新品を買うとかなり高額なので、ヴィンテージでも一部の珍しい柄以外は割安なアイテムとも言えますし、基本的にニット系は原価を考えると古着だとお得感のあるカテゴリーですよね。

「当時はステューシーやシュプリームともダブルネームやOEMを展開していた」

90’s SPIEWAK G-8 WEP JACKET

今野:続いては〈スピワック〉のWEPことG-8なんですが、このモデルには裾リブがあるものと、リブありとリブなしでレングスが若干長めのものと計3種類あると思います。その後者にあたるレングス長めのリブなしタイプをスケーターのマーク・ゴンザレスが着用したポートレイトを写真家のアリ・マルコポロスが撮ったフォトTを〈シュプリーム〉がリリースして以来、一部ファンの間では“ゴンズジャケット”の愛称でも親しまれているモデルでして。

阿部:これはどっち?

今野:これは裾リブありのレギュラーになります。以前は裾リブなしのロングも持っていたんですが、友人に譲ってしまって、最近は裾リブありレギュラーを着ていますね。

阿部:この辺ももう高くなってるの?

今野:ゴンズジャケットを認識しているお店はそれなりの値付けをしているので、市場的にはまだバラつきがある感じですね。

栗原:とは言っても、もう30年近く前のものではあるのでヴィンテージとして扱われていてもさほど驚かないですよね。

阿部:まあ、そうだよね。当時は〈シュプリーム〉とのダブルネームでもリリースされたよね。

今野:そうですね。あの頃は〈ステューシー〉や〈シュプリーム〉ともダブルネームやOEMを結構頻繁にやっていたみたいです。〈スピワック〉のモノ作りがストリートと親和性が高かったみたいですし、ブランドの創業地もブルックリンなので身近な感じがあったのかもしれませんね。

編集部:あの〈シュプリーム〉とのダブルネームのG-8は、当時ごく少数しか生産されていないみたいで、最近だと云十万も値が付いているとか。

阿部:すごいね、それは。N-3BやM65とかも当時はリリースしていたと思うけど、確かにオリジナルよりもモダンなイメージがあったし、ストリートな印象の方が強いかも。

今野:ぼくが高校生時分にもタイタンクロス仕様の〈スピワック〉が流行ったんですけど、おっしゃるようにオリジナルとはまた一味違う印象でしたよね。タイタンクロス自体、タバコの火を数秒間押し当てても溶けたり破損したりしない、という触れ込みでしたし、リアルなフライトジャケットよりもどことなく現代的なイメージが確かにありましたね。

藤原:とはいえ、じつは結構歴史の長いブランドですよね。

今野:そうそう。ジャーキンベスト(第一次大戦中、英軍および米軍でも採用されたレザーベスト)とか4つポケットのピーコートとかも軍に納入していたみたい。創業は1904年だから100年以上も続いている、意外と古参ブランドなんだよね。

栗原:そうですね。ミリタリー以外でも警察とか、制服系のアイテムを多く作っていたブランドってイメージですね。

阿部:栗くんだったらいくら付ける?

栗原:どうでしょう。2万9800円とかですかね。でも、ゴンズが着ていた黒のロングタイプなら当然それ以上付けますけど。

藤原:ぼくの記憶が確かなら、レングス長めのモデルの関してはタグにもL(ロング)の表記があったと思います。

今野:そうなんだ。やっぱり出自は完全にミリタリーなんだね。

「デザイナー自身よりも、この時期のラル フローレンに対する評価が世界的にも異常に高い」

90’s POLO RALPH LAUREN DOWN JACKET & SNOW BEACH A-1 DECK JACKET

今野:最後は〈ラルフ ローレン〉の変わり種90’sを2点。〈ラルフ ローレン〉は昔から意識的に見ているブランドのひとつですが、中でも特に珍しいものだけ手元に残していて。このコンビのダウンジャケットも結構珍しいモデルだと思うんですよね。格闘家の宇野(薫)くんがこの逆バージョンを持っているくらいしか周りでも見たことはないですかね。

阿部:そうなんだ。いつ頃のものなの?

今野:ジャスト’90年ですね。同型でネイティブアメリカンぽいラグ柄のものもあるのですが、このレザーとのコンビタイプはホントに出てこないですね。型自体は長年展開している定番みたいで、これはその変化球的立ち位置ですかね。

藤原:これはいままさに高そうなモデルですね。まあ〈ラルフ ローレン〉自体、変わり種は近年かなり急騰していますし、そもそもあまりタマ数も少ないみたいです。

今野:世界的にも急騰しているみたいだね。今日は持ってこなかったんですが、昔はアウトレットとかでもよくみかけたチンストラップ付きのスイングトップジャケットがあるじゃないですか。あのブラックデニムタイプを最近見つけて、それも結構珍しかったので購入しました。

藤原:ブラックデニムは見たことないですね。胸のポニーは赤ですか?

今野:そう、赤ポニー。このスノービーチシリーズ辺りもいまじゃ手の届かないような価格に上がってるって聞くし。

阿部:数年前に復刻されなかったっけ?

今野:ありましたね。でも、このA-1(USネイビーで’60年代に採用されたデッキジャケット)タイプは復刻されなかったみたいです。

阿部:あのRL-92シリーズよりも後のコレクションなの?

今野:92-93なんで被っているかもですね。

阿部:RL-92シリーズはマイケル・タピア(’91年に〈ラルフ ローレン〉が採用したメンズデザイナーにして’93年には〈ポロ スポーツ〉を設立)の仕事みたいだけど、スノービーチはまた別のデザイナーなの?

今野:いえ、これもマイケル・タピアの仕事ですね。あの頃は全ライン彼に一任されていたと思います。とはいえ、彼への注目というよりも、やっぱりこの時期のブランドに対する評価が異常に高く、アメリカでは’92から’93年のコレクションを中心に狂信的に集めているストリートギャング=ローライフも有名ですよね。

阿部:日本でも当時はヒップホップ界隈の人たちが着ていたイメージが強いね。

今野:まさに。ZOO周辺の方々とかですね。

阿部:そうそう。このA-1タイプはいくらぐらいするものなの?

今野:いまだと30〜40万くらいみたいですね。

阿部:えっ…。そんなにするの?

今野:それでも最近は落ち着いた方みたいですよ(笑)。数年前の世界的ブームのタイミングだったら、おそらくその倍近くは平気で付いていたんじゃないかと。

阿部:へえー。すごいね。そのブームが落ち着いた要因はあるの?

今野:タマ数自体が圧倒的に少ないので、マニア内には行き渡った感が出てきたとは聞きました。

栗原:あと復刻されたのも、ひとつの要因でしょうね。

今野:そうだね。

栗原:〈ポロ ジーンズ〉のNASAモチーフの宇宙服みたいなジャケットもとんでもない価格になってますよね。

今野:あれも異常に高いよね(笑)。

栗原:〈ラルフ ローレン〉ネームなのに、〈ポロ スポーツ〉のパッチが付いてるのも面白いですね。

第二講
栗原道彦

「最近は’90年代以前の未完成なもの、若干イナタいものに面白みを感じる」

80’s U.S.ARMY PILE LINING JACKET TEST SAMPLE

栗原:ぼくのひとつめは、ECWCS(’80年代から採用されるUSアーミーのレイヤリングシステム)、ゴアテックスパーカの中に着用するライナージャケットなんですが、そのテストサンプルと思われるものを最近手に入れて。実際に採用されたモデルはタマ数も多く、いまでも比較的安価で手に入れられると思うのですが。

藤原:一般的な支給品はボディもポケットも黒だし、素材も化繊ですよね。

栗原:そうそう。それに袖のアジャスターも支給品では外されていて。でもこのモデルはUSミリタリー史上、ぼくの知る限りでは初めて導入されたフリース素材のアイテムだし、この年代のアウトドアもののパイルジャケットが高く評価されているのを考えるとこちらももう少し評価されてもいいんじゃないかと。

阿部:どこで買ったの?

栗原:確かアメリカのアーミーネイビーストアに並んでいた支給品の中に紛れていたはずだったと思います。元々そんなに人気があるモデルでもなかったので、見つけた時はあまり気にしてなくて、その後でなんだこれ? て気付いて。でも、最近は前回の古着サミットに持ってきた〈シナジーワークス〉みたいに、’90年代以前の未完成なもの、若干イナタいものに面白みを感じるようになって。

今野:逆に’90年代以降になると、ここまで毛玉になりやすい生地とか絶対使わないだろうし、確かにイナタくて新鮮だね。でも、これは資料的な意味合いも強いし、どう値付けしていいのかわからない個体だね。支給品だといまいくらぐらいなの?

栗原:デッドでも8000円くらいで出してますね。

今野:デッドで8000円って(笑)。ミリタリーにしては破格過ぎるね。

栗原:性能と価格のバランスを考えたら、確かに破格ですし、サイジングやちょっと野暮ったい感じも含め、いまならイケるんじゃないかと。

阿部:これは店に出さずに着るの?

栗原:そうですね。

藤原:シンプルだし、似合いそう。

栗原:散々人気薄って話の後だから、そう言われても全然嬉しくないね(笑)

一同:(笑)

「これお尻がカワイイんですよ(笑)」

70’s SEATEC PILE VEST & JUMPSUIT

栗原:続いてもパイル繋がりで。〈シーテック〉というブランドの奇妙なパイルウェアをいくつか持ってきました。ツナギの方は何年か前にアメリカで手に入れて、たまに真冬の部屋着として着ていたんですが(笑)。

今野:着てたの?

栗原:はい。これお尻がカワイイんですよ(笑)。当初はブランドとか出自を一切気にしてなかったものの、先日このベストタイプを「デザートスノー」の25周年セールで見つけてから、気になってちょっと調べてみたんですね。

阿部:何のブランドなの?

栗原:スキューバとかマリンスポーツのエキップメント系のブランドですね。ネイビーSEALs(アメリカ海軍の特殊部隊)にも納入経験があり、’69年にLAで設立されたブランドなんですが、こういった衣類はあまり作ってなかったみたいです。

阿部:そうなんだね。いまも現存するブランドなの?

栗原:はい。

今野:’70年代末ぐらいのものかな。同時期に〈パタゴニア〉が採用していたパイルの質感とそっくりというか。色まで一緒だし。

栗原:おそらく生地自体は全く同じものを採用していると思いますね。〈パタゴニア〉初期の白タグ時代のパイルジャケット、ベストなんかも昔から欲しいとは思っていたものの、なかなか購入する機会がなく、ここ数年でアメリカでも認知されて高騰してしまって。いまや日本よりもアメリカ市場の方が高く評価されています。

阿部:本国だとどれくらいで推移しているの?

栗原:その値段で実際に売れているかはともかく、若いディーラーが持っていても1000ドルくらいを言われることが多いですね。

阿部:そんなにするんだね。

今野:この間、白タグ時代のフード付きを出してるセラーがいたので、念のために価格を訊いたら2500ドルって言われて…。

阿部:へええー。すごいことになってるね。ちょっと前なら20万円出せば余裕で手に入れられたよね。

藤原:ですね。とはいえ、仕入れが2500ドルだからといって、それが日本でも40万円で売れるかはまた別の話で。

栗原:まあ、そんな現状も踏まえ、ちょっと変わったパイルを見つけたら、最近はなるべく買うようにしてますね。

今野:それにしてもカワイイね。今度これ着てきてよ(笑)。

栗原:(笑)。まあ、上にモンスターパーカとか着れば、街中で着れないこともないですが(笑)。

「シャツに限っては一昔前とあまり価格差がなく、まだ実際に着て楽しめるジャンルなのかな」

50’s GRAY CHAMBRAY WORK SHIRT、50’s HERCULES GINGHAM CHECK SHIRT、60’s WRANGLER DENIM WESTERN SHIRT

栗原:続いては、最近手に入れたシャツを3つほど。長年探していたのはもちろんなんですが、自分が古着を売る側として考えてもシャツだけはまだ安いというか、全然買える価格だなと思っていて。デニムやスウェットといった王道が軒並み高騰する中にあって、シャツに限っては一昔前とあまり価格差がなく、まだ実際に着て楽しめるジャンルなのかなと。

藤原:そうだね。裏を返せば、いまが最後の狙い目なのかもしれない。

栗原:そうそう。ぼくら世代でも最近、古着を手放し始めた人が周りでも結構いて。現状の高騰ぶりから手放そうとする気持ちもわからなくもないけど。まあ、それはさておき、今日持ってきた3枚は概ね’50から’60年代頃のものですね。1枚目は〈ヘラクレス〉の黒ギンガム、2枚目はタグ欠損でブランドはわからないものの’50sと思われるグレーシャンブレー、最後のは〈ラングラー〉の’60sデニムウエスタンです。〈ヘラクレス〉のギンガムって、他に赤×黒と何があるんだっけ?

藤原:黒×黄と黒×緑だったかな。

阿部:純粋なギンガムではないけど、赤×黄もあるよね。それも最近どこかのショップで見かけたけど3万弱とかだったし、栗くんが言うように確かにシャツはまだ楽しめるジャンルなのかもね。

栗原:そうですね。この黒×白は10代の頃からずっと欲しかったんですが、なかなかタイミングが合わず、ようやく30年越しに手に入れて。

藤原:でも、やっぱり丈は長いでしょ?

栗原:いや、そんなでもないよ。いまだと昔ほど着丈は気にならないね。

今野:中でもこの黒×白がいちばん見ないし、出てきたとしてもいちばん値が付いている印象だね。

栗原:はい。それでも相対的なタマ数と市場価格を比べると、やっぱり他のジャンルよりはるかに安いのは事実ですね。

今野:だって栗ちゃんクラスのプロのバイヤーが10代から探してて、ようやく最近手に入れたってことは、自ずとそういうことだよね。

阿部:ちょっと蒸し返すようで悪いけど、周りで古着を手放し始めた人たちって年齢はいくつくらい?

栗原:ぼくらと同世代から4、5歳くらい上って感じですね。アパレルの方でも、ぼくらみたいに古着を生業にしている方ばかりじゃないですし、買っていた当時から比べると数倍になっているものも多いし、単純に古着を着る機会もなくなっているみたいですね。

阿部:なるほどね。〈ラングラー〉のデニムもずっと探してたの?

栗原:ちょうどこの年代のものを探していました。〈ラングラー〉でもこれより古いものや〈リーバイス〉のショートホーンとかになると一気に値が張りますし、かといって’70s以降のものになると襟が大きかったり、色も悪くなったりで。デニムのウエスタンとしては理想的な形なのかなと。

藤原:身幅も広いしね。

阿部:でも、’50とか’60年代頃のループシャツは一気に高騰してるじゃない?

藤原:確かに。特に黒×白のオンブレチェックだと15万とか付いてますよね。

阿部:あれは何かの影響なのかな?

今野:古着系のYouTuberがすごい価格で動画上げたりしているので、その辺の影響があるのかもしれませんね。

栗原:〈ペンドルトン〉のボードシャツとか、オンブレチェックだと高いところは4~5万とか付けてるみたいですね。

阿部:すごいね(笑)。

藤原:ウチ(ベルベルジン)と「フェイクα」が合併した際、アメリカの倉庫から大量の〈ペンドルトン〉が出てきたんですが、当時ウチでは扱っていなかったですし、「フェイクα」の方でもいらないということで3パッキンぐらいを他店に回してしまって。

今野:いま持っておけばウハウハだったかもね。そもそもピュアヴィンテージ自体、アメリカ本国でも高騰しているんでしょ。

栗原:そうですね。たとえば後付けパーカ(フードを後付したスウェットパーカ)辺りは、アメリカでもいまは3000から5000ドルスタートが相場ですし、単純にここ数年で相当円安になってるし、現地もインフレで物価が上がってますから。

阿部:仕入れが5000ドルってことは単純計算で75万円ってことでしょ。それは確かに異常だね。

「それなりの価格帯で良い個体をまだ手に入れやすいカテゴリーのひとつ」

60’s WRANGLER 33MJZ、60’s UNKNOWN WHITE TWILL JACKET

栗原:4つめはカラーデニム系のジャケットです。これも先のワークシャツ同様、まだ古着として着て楽しめるという括りです。ほぼ同年代でもデニムだと云十万、云百万している中にあって、それなりの価格帯で良い個体をまだ手に入れやすいカテゴリーのひとつじゃないかと。

今野:それはあるね。相対的なタマ数は少ないだろうけど、カラーデニムの方が圧倒的に安い印象。このカツラギのはどこの?

栗原:これは去年アメリカでディーラーから買ったものなんですが、タグもなく、ブランドは不明です。

今野:全く同型で〈101〉の個体を見たことある。前開きのプリーツが〈ヘッドライト〉や〈カーハート〉も同じく内向きで、他ブランドは外向きが多いイメージ。

栗原:おそらく大手のファクトリーが生産してて、各ブランドが自社タグを付けて市場に出していたんじゃないかと。とはいえ、同型のデニムタイプはいまでもよく見かけますし、モノとしてもそんなに興味を惹かれないんですが、このカツラギタイプは初見でしたし、250ドルくらいで即決しました。

阿部:こっちのサテンの〈ラングラー〉は?

栗原:これも「デザートスノー」の25周年イベントで見つけた33MJZですね。〈ラングラー〉のジップフロントタイプってデニムでもサテンでも大抵36か38といった小さめばかり出てくる中、これは46あって。昔と体型が変わったこともさることながら、いまの感覚で着るならこれくらいのサイズは欲しいかなと。値段も6万円と希少度を考えるとかなりお安いかと。

今野:やっぱり〈ラングラー〉のカラーデニムの中でも33MJZは安い方なの?

藤原:そうですね。まず同サイズ(46)、同型のデニム(11MJZ)なら年代にもよりますがミントコンディションで15万8000円くらい、ブラック(66MJZ)なら150万円くらいしちゃうかもしれないですね。

今野:やっぱり黒は別格なんだね。

藤原:そうですね。〈ラングラー〉はここ3年くらいでデニムも上がってきてますね。

編集部:黒はなぜ別格なんでしょうか?

今野:通称チャンピオンジャケットとも呼ばれる赤は大会で優勝したカウボーイチームに配られたみたいなんですが、黒に限ってはレフェリー用になっていて圧倒的にタマ数自体が少ないと言われていますよね。一般販売もなかったみたいで大きいサイズはさらに見ない。

藤原:〈ラングラー〉の黒もさることながら、〈リー〉の黒なんてもっとないですよね。

今野:そうだね。〈リー〉といえばチェトパ(リーが’50年代に発表した耐久性に優れたツイル地仕様のワークジャケット)の黒もほしいけど見ないよね。

藤原:そうですね。特に黒とグレーはなかなか出ないですね。グリーンはそこそこあるんですけど。

今野:(チェトパ)パンツの黒もあるの?

藤原:パンツはまだ見たことないですね。

栗原:まあ、黒いワークウェア自体にそもそも需要がなかったのかもしれませんね。

阿部:そうかもね。

第三講
藤原裕

「生誕150周年を迎えた501XXに関する新事実が判明」

1942y LEVI’S 501XX

藤原:ぼくのひとつめは、〈リーバイス〉501XXです。紹介したいのはこの穿き込んで色落ちしたデニムなのですが、わかりやすく比較できる対象として異なる年代の濃紺のデニムも持参しまいた。

藤原:じつはぼくが以前監修させていただいた『THE 501®XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』のリリース時点では、まだ判明していなかった新事実が発覚しまして。

阿部:どういうこと?

藤原:こちらの濃紺の方は1937年モデルなのですが、『THE 501®XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』の時点では、その後継は俗に“大戦モデル”と呼ばれる戦時中の物資統制下に販売されたモデルとされていました。大戦モデルは1942年から1946年まで製造されたとわかっていますが、じつは前身となる1937年モデルと大戦モデルの間に、1942年モデルという、ほんの数ヶ月のみ展開されたモデルがあることがわかってきたのです。

阿部:この穿き込んだ方がそれ?

藤原:はい。この個体自体はぼくが数年前に手に入れたものなんですが、じつは先日、このモデルのデッドストックが出てきたんですね。そのフラッシャーにはしっかり「1942」と明記されていて。ディテールとしては背面のシンチバックが、黒のバックルを使用していて、それ以前、つまり前身となる1937年モデルまでは全てシルバーなんですね。また、他のモデルが背面のウエストヨークが下から縫製しているものの、このモデルとその前後過渡期に限っては上から縫製されていて。

阿部:それは工場によって違うとかではないの?

藤原:〈リーバイス〉の方へ尋ねてみましたが、わからないとのことでしたね。

今野:1942年の1年間製造されていたのかな?

藤原:フラッシャーのコピーライトには「1942」と明記されていますが、軍による物資統制が8月には始まっていますので、最長でも1月から8月までの8ヶ月間のみ製造されたんじゃないかと。ただ、大戦モデルに見られる、やや肉厚のデニム地がすでにこの1942年モデルでも採用されていたことはわかっていて。一部は大戦仕様に倣っているのが見て取れます。

阿部:他にもイレギュラーな点があるの?

藤原:はい。1937年モデルを見てみると、ヒップポケットの隠しリベットの留め金がフロントリベットと同じ留め金が使われていて。しかもこの個体では読み取れませんが、最初期の個体には「501XXC」とパッチに明記されているんですね。このCが何を意味するのか〈リーバイス〉へ尋ねたところ、コンシールリベット(隠しリベット)の頭文字であることもわかっています。一方の1942年モデルは大戦モデルにも見られる、やや肉厚の鉄製リベットに変遷しています。

阿部:このサスペンダーボタンは後付けなの?

藤原:おそらくそうだと思うんですけど、当時〈リーバイス〉の正規品にはサスペンダーボタンを後付けしたいユーザーに向け、オリジナルボタンが同梱されていたのですが、その留め金は〈スコーヴィル〉のものが一般的なんですね。でも、このモデルに限っては大戦モデルにも見られる肉厚の留め金が採用されているので、100%後付けだったとも言い切れなくて。

阿部:デッドストックの個体にもサスペンダーボタンが付いていたの?

藤原:それが付いてないんですよ。

栗原:ということは、そのデッドストックの個体が見つかるまでは、この穿き込んだ個体も1937年モデルとされていたってことね。

藤原:そうそう。

栗原:ここ数年で一気に解読が進んでいるよね。ボタン裏の表記(11、F、1など年代によって異なる刻印が施されている)もネットを見る限りでは、すでにどこの工場製かまでわかるようになったみたいだし。

今野:本国〈リーバイス〉本社のスタッフたちもわからないことまで解明していく日本のマニアってホントにヤバいよね(笑)。

編集部:でも、本社スタッフがわからないのに、どうやって裏取りしているのでしょう?

栗原:一部のモデル、たとえばボタン裏刻印が511の個体にはフラッシャーにも「511 El Paso」と表記があるため、テキサスのエルパソ工場で作られたことがわかるんですね。そうやってひとつずつ潰していっているんだと思いますね。

藤原:ここからは、ちょっと宣伝ぽくなっちゃうんですが、じつは〈リーバイス®︎ ヴィンテージ クロージング〉にお願いして、この1942年モデルを世界限定80本復刻してもらいました。おかげさまで販売後すぐに完売してしまいましたが、フイナムで特集記事も作ってもらったのでよかったらチェックしてみてください。

阿部:宣伝ぽいというか、完全に宣伝しちゃったね(笑)

「ここ数年の間に世代を跨いで徐々に再燃している」

70’s ROCKY MOUNTAIN FEATHERBED DOWN VEST & 70’s GERRY DOWN VEST

藤原:つづいては、ウエスタンヨーク仕様のダウンベストです。ここ2、3年前まで〈ロッキーマウンテンフェザーベッド〉の動きもちょっと落ち着いてきたなと思っていたのですが、去年辺りからまた盛り上がってる感じがあって。前回の古着サミットにもイエローの〈ザ・ノース・フェイス〉のダウンベストを持ってきましたが、今回もその延長としてイエローやオレンジといった原色ベースのモデルを2つほど持ってきました。

阿部:〈ロッキーマウンテンフェザーベッド〉はいまだといくらくらい?

藤原:これは2年前に買ったものなんですが、2万9800円だったので「そんなに人気薄なんだ…」と、その時はちょっと悲しくなったのですが、最近はまた徐々に盛り返していますね。この間、イエロー×ダークブラウンのサイズ46が入荷して自分も狙っていたのですが、徹夜組の先頭の方がダッシュで買っていきましたね。はじめて見る色でしたし、自分的にはちょっと強気に5万9800円付けたんですが、後になって周りから「安く付け過ぎ」と言われ、世代を跨いで徐々に再燃しているんだなと。

阿部:へえー。先頭のコっていうのがまたすごい話だね。そもそもウエスタンヨークって、やっぱり〈ロッキーマウンテンフェザーベッド〉が先駆けなのかな?

藤原:ブランドとしては早い方だと思いますが、〈パウダーホーン マウンテニアリング〉や〈エイチ バー シー〉などもあるので、完全なオリジネーターとはちょっと断言できないですね。

今野:〈エイチ バー シー〉は後発のイメージが強いな。

栗原:いままでしっかりチェックしてなかったけど、表地と裏地の切り替えって配色は統一なのかな? たとえば表地がイエローベージュなら裏地は赤みたいに。

藤原:いや、他のバリエーションもあったと思う。まあ、表地だけでもかなりのカラーバリエがあるので、ぼくも裏地まで細かくチェックしてなかったけど。

栗原:いずれにせよ、この赤の裏地は珍しいよね。ただ、〈ロッキーマウンテンフェザーベッド〉って’70年代頃にこのタグ(レザータグ)に変わってから、一旦ブランドが消滅する’80年代末まで大きな変遷がなかったわけだから、一概に70’sとか80’sって言い切れないんじゃないかと思っていて。

藤原:確かに。もしかすると、それ以外の部分で微差があるのかもしれないね。

栗原:まあ、最近は〈ロッキーマウンテンフェザーベッド〉に限らず、ダウンベスト自体、旧いメンズはホントに出てこないよね。レディースばかりで。

今野:そういえば、前に〈ロッキーマウンテンフェザーベッド〉のレディースタイプ(ショルダーヨークのカッティングがメンズと異なる)なのに、前開きは左前のメンズ合わせな個体を見たことがあって。

藤原:そんなイレギュラーな個体もあるんですね。

阿部:こっちの〈ジェリー〉のも同じく70’sくらい?

藤原:そうですね。これは完全にサイズと色で選んだ感じです。かなり大きめですけど表記はLで。

阿部:この辺もちょっと前までは、結構安く出てたと思うんだけど。

栗原:そうですね。ホントにここ数年で、旧めのアウトドアものがまたじわじわ上がっていて。

今野:エクスペディション系とか若干オーバースペックな’70から’80年代頃のものがじわじわ上がってる印象あるね。現行品だと生地も中綿も全て進化しているから、あのモコモコした感じって不必要ですし、なんなら避けて通るべきものじゃないですか。でも、あの雰囲気が他にないから逆に新鮮に映って人気を集めているんだと思いますね。

「44を長年愛用していたのですが、今の感覚だと全然小さく感じる」

70’s SCHOTT ONE STAR(SIZE:50)

藤原:つづいては〈ショット〉のワンスターです。以前の古着サミットで阿部さんがブラウンのロングを見せてくれたと思うのですが、あれからぼくもずっとロングを探してはいるもの全く出会えず、先日ロングではないものの、納得のいく個体に出会えたので持ってきました。そもそも黒のロングって存在するんですかね?

阿部:ブラウンはあるのに、ブラックにないってことはないでしょ。絶対あるよ。にしても、デカいね。

藤原:サイズ50です。44のものを長年愛用していたのですが、いまの感覚だと全然小さくて。デザートスノーの25周年セールで見つけて即決しました。ニット上からでもダボっと着れますし。

阿部:ちょっと羽織ってみてよ。

藤原:自宅の鏡で確認したら自分的には似合っているなと……。

栗原:いや、そういう伏線はいいから(笑)

今野:全然イイじゃん。ていうか、50に見えないね。

藤原:そうなんですよ。肩もしっかり落ちますし。

阿部:年代的にはそれほど旧いものじゃないの?

藤原:70年代ですね。エポレットの星鋲が片方だけ欠損しているんですが。

阿部:まあ、そこはそれほど気にならないし、着た感じも全然違和感ないよ。いくらだったの?

藤原:3万ですね。

阿部:それは安いね。

編集部:全体的にデカいヴィンテージに注目が集まっていると?

藤原:徐々に落ち着いているとは思うのですが、もともとタマ数が少ないのでそうそう出てこないんですね。

栗原:あとは着丈の問題でしょうね。ジージャンとかもそうですが、着丈が短いアイテムは大きめじゃないとインナーとのバランスが取りづらい。

今野:ワンスターってもう1段階旧くなると逆に革質は良くないよね。

藤原:むしろこの年代がいちばん良いと思いますね。この後になるとぼく的にはレギュラーという位置づけになってしまうので、この’70sが年代的にもギリギリなラインでした。

栗原:ぼくらが10代の頃は旧さよりも値段でブランドが格付けされていたよね。〈バンソン〉を買えない人が〈ショット〉を着てるみたいな。

今野:そうだったね。“バンソン狩り”なんて言葉があったくらいだし。高校時代に電車に乗っていたら前に立ってるお兄さんが素肌に〈バンソン〉のレザーベストを着てたのをいまも鮮明に覚えているよ。タンクトップの上とかならまだしも、素肌にレザーを合わせるなんて、いまの感覚からしたら考えられないもんね(笑)。

一同:(笑)。

阿部:UKもの(〈ルイスレザー〉など)には興味ないの?

藤原:おそらく似合わないと思うんですよね。

阿部:そんなことないでしょ。UKものの方がエポレットもないし、着やすいと思うんだけど。USモノでエポレットなしってないのかな?

栗原:30’sとかの旧いものならエポレットなしもありますが、40’s以降のダブルのライダースには基本的に付いているイメージですね。

阿部:個人的にはエポレットなしの方がスッキリ着られそうで気になるんだけどね。

今野:そういえば、この間〈ショット〉のライダースジャケットの本を見ていたら、〈デュラブル〉(ショット同様、エポレットにワンスター配したライダースジャケットを展開していた)みたいに〈ショット〉のワンスターの初期モデルでも線曲げのミリタリージップみたいなタイプのジッパー仕様の個体があったんだけど、見たことある?

藤原:はい。澤田さん(フェイクα店長)のところにあると思います。

今野:あれはかっこよかったな。

「両面ともにバランスの良いプリントタイプってじつはなかなかないんです」

80’s CHAMPION REVERSE WEAVE PARKA

藤原:最後は両面プリントのリバースウィーブを持ってきました。バックプリントものが好きで集めているのですが、その派生として両面プリントも気になっていて。さらに背面が大きなアルファベット一文字とかではなく、両面ともにバランスの良いプリントタイプってじつはなかなかないんですよ。年代は’80年代のトリコタグ時代が個人的ベストです。

阿部:全体的に〈チャンピオン〉の高騰もさすがに落ち着きつつあるんでしょ。

藤原:そうですね。ただ、一時のリバースウィーブ人気に反発するように、最近はそれ以前のヴィンテージスウェット(綿100%丸胴吊り編みタイプ)がじわじわ上がってる印象です。まあ、その最たるが先の話にも出た後付けパーカで。

阿部:そうなのか。でも、リバースウィーブ以前のヴィンテージスウェットって小さいサイズしか出てこなくない?

栗原:なので、トップスのサイズバランスが徐々に小さい方へと向かっている感じはしますよね。一方でジーンズはこれまでほとんど動かなかったW40ぐらいの大きめサイズが動き始めているので、若いコたちは“上は小さく下は大きい”がいまの気分なのかなと。

阿部:なるほどね。リバースウィーブの小さいのは動いてる?

藤原:そこは依然人気薄かもしれないです。まあ、リバースウィーブを選ぶタイプのコたちにはXL以上がいまなお根強いですね。あと、ちょっと前まではフード付きが強いイメージでしたけど、最近はクルーネックに移行している感じが見て取れます。

栗原:でも、プリントのバランスとか、風合いとか、良い感じのものはある程度価格が張ってもすぐに動きますね。もの自体は行き渡った感があるものの、良い個体を探している人は常にいて。

藤原:そうですね。結局は定番ですから常にチェックしていますし、ぼくも良い個体が出たら押さえるようにはしていますね。

第四講
阿部孝史

「小さなサイズしか出てこないので長年マイサイズを探していました」

U.S.NAVY UTILITY HICKORY JACKET

阿部:ひとつめは、USネイビーのヒッコリーカバーオールです。昔からチェックはしていたんだけど、これも小さいサイズしか出てこなくない?

栗原:デニムの方は小さいサイズばかりで、ヒッコリーの方がまだ大きなサイズが出てくる印象です。とはいっても、40ぐらいが多いですが。

阿部:40は小さいかな(笑)。デニムとヒッコリーの棲み分けは、デニムが一般兵用でヒッコリーが捕虜用ってことだよね。

藤原:まあ、背面にPのステンシル(Prisoner=囚人の頭文字)もありますし、一般的にはそう言われてますよね。

栗原:でも、本当にそうなのかな。というのも、それだけのためにわざわざ作ったとは考えにくくて。普通に作ったものに後からステンシルを入れて使いまわしたものなんじゃないかとも考えるんですが。囚人用だとデニムやHBTなんかは当時現用されなくなったものが使いまわされてたし。

今野:実際、デニムタイプにPのステンシルが入っているものもあるしね。

阿部:ヒッコリータイプで背面にステンシルが入ってないものもあるのかな?

藤原:ありますよ。一切入ってないもの、背面のみ入っているもの、袖に入っているもの、背中と袖ともに入っているものと4種類ありますね。

阿部:そうなんだ。タマ数はデニムよりやっぱり少ないよね?

藤原:少ないですね。さらにヒッコリータイプの方が市場での評価も高いです。ボタンは買った時から替えられていたんですか?

阿部:そうそう。かなり長いこと探していたから、ボタンは後で替えることもできるし、まあいいかなと。

藤原:でも、純正ではないものの、ボタンもそれぞれ同年代のチェンジボタンを使っていますし、ボタンだけでもそれなりの価値はありますよね。

栗原:もしかするとヒッコリーは一発旧いのかもしれないですね。2次大戦前頃にデニムを採用したため、その前に使っていた前身モデルを捕虜用に回した可能性もあるんじゃないかと。

阿部:なるほど。そういう考察はさすが栗くんだよね。前に聞いた、ガンナースモックはデニムのランドリーバッグを再利用してつくられたんじゃないか説とか、なるほどなぁって思ったし。

藤原:ボタンといえば、前にデニムの方が何枚かデッドストックで入ってきたんですが、USネイビーの刻印が入ったプラボタンではなく、白無地の貝ボタンを使っている個体がいくつかあって。で、この白無地のボタンって、ヒッコリーに付いてることがよくあると思うんですよね。

阿部:メディカル系のユニフォームに付いてたりするボタンだよね? となると、デニムとヒッコリー、どっちが古いというのは断言できないかもね……。

栗原:そうか。そうなるとヒッコリーの方が前身モデルの線は完全に消えましたね(笑)

一同:(笑)

「一昔前だったら1万円以下で見つけられたんだけどね」

40’s U.S.NAVY GUNNERS SMOCK ANORAK

阿部:つづいてもUSネイビー繋がりでガンナースモックを持ってきました。背面と胸に国際信号旗で徐行を意味するサインのプリントが施されていることから、救助や補給時に使用されたものだと思うんだよね。このプリントに一目惚れしました。そういえばサルベージパーカって呼んでる人が多いよね。

栗原:日本だとサルベージパーカが一般的ですが、アメリカではガンナースモックと呼ばれていますね。

今野:これの企業系のプリントものとかもありますよね。

阿部:あるね。あと、カレッジものも見たことあるんだけど、あれは何物なんだろうね?

栗原:おそらく学校や企業が戦後に軍放出品を安価で買い上げて流用していたんでしょうね。昔に聞いた話なのでどこまで本当なのかはわかりませんが、このモデルは化学薬品などで汚染される可能性がある作業時に着られていたので、その場合1度使用したものは都度廃棄していたらしいんですね。兵士それぞれに支給されていた訳ではないからか、他のネイビーものではよく見かける個人名のステンシルが入った個体は見たことがないかもしれません。

阿部:へえー。なるほどね。デニムタイプもあるけど、あっちはその名の通りガンナーが着用していたんでしょ?

栗原:デニムもツイルもどちらも用途は変わらないと思うんですが、ツイルの方は実際に砲兵が着用していた画像も残っているので、いずれの素材もサルベージ、ガンナー両方に使われていたのかと。

藤原:これSサイズですけど阿部さん着られるんですか?

阿部:失礼な(笑)。身幅もあるし、作り自体大きめだから全然大丈夫。

編集部:タグや表記もないのにどうしてSサイズと断定できたのでしょうか?

藤原:パッチポケットに縦のステッチが入っていて、1本ならS、2本ならM、3本ならLなんですよ。

栗原:一昔前はそんなに高いモデルでもなかったんですが、アメリカ本国で急騰して以来、日本の国内市場もやむを得ず高騰している状況ですよね。

阿部:そうみたいだね。一昔前だったらプリントなしでアンダー1万円でも余裕で見つかったよね?

藤原:そうですね。最近だとコンディション次第ですが、4、5万くらい付いてますね。

栗原:以前の古着サミットで今野くんが紹介したシニアコーズ(大学卒業時に寄せ書き調に落書きしたコーデュロイパンツ)も、あの当時はそんなに高くなかったんですが、徐々に本国の若いディーラーがその存在に気が付き始め、近年だと1000ドル以上で取引きされています。ガンナースモックも同様に彼らによって相場が上がっていますね。日本で’90年代に起きたヴィンテージバブルがいままさにアメリカで起きているんですよ。ラインクルーマン(USAFで滑走路誘導員が視認性を高めるために着用した黒×黄のナイロンジャケット)とか、スヌーピーのスウェット(1960年代に〈メイヨー スプルース〉がライセンス販売した漫画『ピーナッツ』のプリントスウェット)とか、後付けパーカなんかがまさにそれですね。まずアメリカ国内での相場が上がって、それが日本の相場に影響を及ぼしてる。

今野:ラインクルーマンはホントにすごいことになってるみたいだね。

栗原:この間、NIGO®さんのオークション(ファレル・ウィリアムスが運営するデジタルオークションハウス「ジュピター」にて11月に開催された『パーソナル・アーカイブ・セール “フロム ミー トゥ ユー”』)って見ましたか?

阿部:最後までは追ってないけど、出品されたアイテムはチェックしたよ。

栗原:あのオークションにもラインクルーマンやスヌーピーのスウェットが出品されていましたが、ラインクルーマンは9000ドル、スヌーピーの方は5枚セットで5000ドルで落札されていました。あと〈リーバイス〉のピエロパンツ(ロデオ大会でピエロが穿いた超オーバーサイズのデニムパンツ)も9000ドルまで上がっていましたね。

阿部:嘘でしょ(笑)。すごいことになっているんだね。

栗原:でも、それらのオークション結果はあくまでNIGO®さんの私物っていう付加価値込みの価格なので、アメリカの若いディーラーたちにはそれを理解してもらいたいけど、今後はそんな値段を吹っかけてくることも多くなりそうです。

今野:その波に乗って手放そうかな(笑)。

「ブルドックものはウエアに限らずつねにチェックしてます」

30-40’s BOSS OF THE ROAD CHORE COAT

阿部:つづいては〈ボス オブ ザ ロード〉のカバーオールです。エクスペディションダウンコレクターの友人と以前古着サミットにも持ってきた〈ザ・ノース・フェイス〉のベージュのブルックスレンジとトレードしました。自分でもフレンチブルドッグを飼っていたし、奥さんがイングリッシュブルドッグとフレンチブルドッグのグッズブランドをやっていることもあり、ブルドッグものは夫婦揃って好きだからずっとチェックしているんだよね。年代は30’sから40’sぐらいかな?

藤原:UNION MADEボタンが付いていますが「by Lee」の文言もないですし(ブランドを展開していた〈エローサー ハイネマン〉は1946年〈リー〉に買収され、ブランドをしばらく継続したまま傘下に入っている)、おそらく’30年代末から’40年代初頭頃じゃないかと。ウチにヒッコリーの個体があったんですが、それは打ち込みボタンにチンストラップ付きだったので、それ以降の型だと思いますね。

今野:ポケットの形が変わってますよね。台形気味というか。

阿部:かなり歪だよね。〈ヘラクレス〉とかにも台形のポケットあるよね。

栗原:阿部さんってカバーオールのイメージが強いんですが、何着くらい持ってるんですか?

阿部:いや、そんなにないよ。現状は10着あるかないかぐらいかな。

今野:裕くんなら、いくら付ける?

藤原:39万8000円ですかね。そこまでコンディションが良いワケではないので。

阿部:それでもそんなに付くんだね。〈エローサー ハイネマン〉は同時期に〈キャントバステム〉も展開しているよね。どういう棲み分けだったんだろ?

藤原:確かに。それぞれ若干異なる仕様なことは間違いないのですが。

栗原:〈キャントバステム〉はオーバーオールのイメージが強いけど同年代でカバーオールもあるんだっけ?

藤原:あるある。

今野:そういえば、〈キャントバステム〉の方では〈リー〉のバディ・リーみたいにオーバーオールを着たマスコットドールもリリースしていて、随分前にオークションで1万円で出たのですが、その時はスルーしてしまって。

阿部:もったいない。

藤原:〈ボス オブ ザ ロード〉でも張り子の販促用マスコットドールがありましたよね。

今野:あったね。一般的に知られているのはブルーのシャツを着た個体なんだけど、確か真柄(尚武)さんが白いバージョンを見たことがあると言っていたよ。

阿部:ヴィンテージが好きな人って、ブルドッグ好きが多いよね。

藤原:そうですね。

「今回のテーマは“間違い探し”です」

VINTAGE BANDANA

阿部:では、最後はまたバンダナで閉めさせていただきます。今回は“間違い探し”というテーマで何枚か持ってきました。まずはこの2枚。何が違うと思う?

今野:色が足りない。

阿部:あっさり(笑)。正解です。単純にカラー違い。

藤原:ミスプリントってことですか?

阿部:少なくともミスプリントではないかな。ライトニングとかネイティブと呼ばれるこの柄は、とにかくカラーバリエが豊富なんだけど、よく見るとプリントの方法が複数あったようで。このネイビーに関していうと、そもそも版が違う、もしくは同じ版を使いつつも白い部分をネイビーで再度プリントしてるという可能性もあり……。

栗原:確かにミスりようがないですもんね。

阿部:そうそう。同柄の赤ベースもあるし。

藤原:抜染なんですかね?

今野:いや、白い生地に色を入れた捺染だね。この柄は人気の柄なんですか?

阿部:柄自体は人気だけど、この版抜けのような柄がレアというわけではなく。だからあまり詳しくなくても楽しみながら探してもらえるかなと。

今野:ちなみに参考までにどれくらいするものなんでしょう?

阿部:2、3000円とかかな。安く出してる店なら800円くらいでも見つけられると思うし。

藤原:赤の方が少ないっていうのは、どうしてわかるんですか?

阿部:単純に赤を全然見ないんだよね。気にしてなかったっていうのもあるけど(笑)。

今野:これって全て2色刷りなんですかね?

阿部:いや、3色刷りのものもあるね。

今野:逆バージョンはないんですか?

阿部:白ベースに黒やグレーの単色はあるけど、白×ネイビーや白×赤は見たことないかも。

藤原:何年代頃のものなんですか?

阿部:表記が「All Cotton」だし、60’s以降かな。じゃあ、次はこれ。

今野:表記の違いですか?

阿部:そうそう。あとは染め方が違うね。このインディゴ染めのものが一番旧くて表記は「IRONWEAVE」のみ、その次は「FAST COLOR+IRONWEAVE」、最後が「IRONWEAVE表記なし」という時系列だね。

藤原:IRONWEAVEは商標ですか?

阿部:うん。TM表記の入ったIRONWEAVEのステッカーが存在するから、間違いないね。他に、両面を意味する「TUSIDE」や二重を意味する「DUPLEX 」って表記もあるけど、それらも商標を取られた特殊素材を意味するワードだと思う。

藤原:この中だと、やっぱりインディゴ染めは高価なんですよね?

阿部:最近また上がってるね。ま、とにかく売りに出ることすら少ないから仕方ないかも。

藤原:年代は’30年代ぐらいですか?

阿部:そうだね。「FAST COLOR」の表記が30年には存在してたから、’30s以前もしくは前後であることは間違いないかと。では、最後はこのカウボーイ柄。

栗原:探している人も多い人気の柄ですね。

阿部:そうそう。端までプリントが入ってることもあり、人気が高いんだよね。この柄にイベントのプリントが入ったバンダナを持ってるんだけど、そのイベント年が1930年だったから、それ以前には存在していた柄ってことになるよね。さっき「FAST COLOR」が1930年に存在するって言ったのは、このバンダナを発見したから。

藤原:違いは、ロープのモチーフが周りにあるかないかですか?

阿部:もう少し悩むふりしてよ(笑)。この柄には赤以外に、ネイビーとパープルがあるんだけど、所有しているものに限っては全部ロープモチーフが描かれていて、このロープモチーフなしの方が圧倒的に少ない。この柄に関しては、そもそもの版が違うと思うよ。

栗原:この柄は過去に何枚か売ったことありますが、そこを気にしたことは一度もないですね(笑)。

阿部:だよね。そもそもロープの有無に興味を持ってる人すら、ほぼいないでしょ(笑)。

一同:(笑)。

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