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テクニクスが繋ぐ、ヒト オト 暮らし。 関 祐介
Life with Technics.

テクニクスが繋ぐ、ヒト オト 暮らし。
関 祐介

専門用語が飛び交い、素人には少しとっつきにくいオーディオ機器。でも、音楽が生活とともにあることで、間違いなく暮らしに彩りを与えてくれます。今回は建築デザイナーの関祐介さんに、空間・暮らしという観点から〈テクニクス(Technics)〉のコンパクトステレオと完全ワイヤレスイヤホンの楽しみ方を紐解いてもらいました。

減らすことで増えるデザイン要素。

ー さきほど理想のデザインというお話が出ましたが、関さんがデザインする空間において、何か統一されているコンセプトなどはありますか?

関:これはすごく難しくて。いわゆる「作家性は?」と聞かれることは多いんですけど、本当にケースバイケースなんです。基本的にクライアントの要望に沿うという、いわばサービス業的な面もある仕事なので。自分が実現したいことよりも、まずはクライアントのやりたいことありきなんですよね。そのプロセスからできあがったのがこのお店だったりするんです。誰も信じてくれないんですけども(笑)。でも、自分的にはすごくそこを大事にしています。

ー いま取材を行っているカフェ「スニート(Sniite)」のデザインも手掛けられていますよね。

関:はい。「スニート」に関してはオーナーの神戸氏(神戸 渉)とも友人同士だったので、物件探しから一緒にさせてもらったんです。オーダーの内容は「完全に任せます」ということで、要望としては〈テクニクス〉のターンテーブルと〈アルテック(ALTEC)〉のスピーカーを置きたいってことだけだったんですよね。オーナーがカルチャーや音楽を好きなので、それを大事にしたいということで。

ー 壁を見ても感じますが、躯体がそのまま残っていて、物件の素材を活かした空間だと感じます。

関:「スニート」に関しては、ちょっと残し過ぎかもしれないぐらいですね(笑)。天井のパネルも、前の使用者が原状復帰したままの状態なんですよ。照明の跡もそう。電源もプレートが付いているところだけ通っているんですが、もともとあったものをそのまま残しただけで、わざと付けた訳ではなくストーリーを大事にしました。ここまでいじらずに残すっていうのは、自分としても初めてだと思いますね。

ー 手順としてはどのように行うんですか?

関:解体のときに、残すべきところを指示しながら剥がしました。壁を剥がす時に、上の部分を少し残すようにしたりですね。物量は減っているんですが、デザインの要素は足している感覚、つまり石彫や木彫のようなものです。コストも抑えられるし、物が減ることでデザイン要素が増えるというのは面白いことだと考えていて、そういう足し算引き算のバランスを調整していくというのが、いま現在の「Yusuke Seki Studio」のデザインだと思います。これは日々変わっていくものなので、来年はまったく違うことを言っているかもしれません(笑)。

ー カフェという切り口で考えると、桜新町にオープンした「オガワコーヒー ラボラトリー(OGAWA COFFEE LABORATORY)」はまったく異なる空間になっていますよね。どちらも関さんがデザインされていますが。

関:南さん(クリエイティブディレクターの南 貴之)がディレクションしているんですが、京都で長く続くコーヒーの会社が東京に出店するにあたって、“京都の精神性”を示したいということを明確に伝えられたんです。大事にしたのは、京都らしさとは何なのかということ。

ー 京都という都市のどこを切り取るかと。

関:他の都市に比べて京都は長い歴史を持っているという部分にフォーカスしました。そこから、長い間変わらないものは何かを考え、一番は太陽光などの自然現象なのかなと。それを大事にして、美しく見える空間が京都らしさなんじゃないかとなりました。格子を入れるだとか、わかりやすい部分ではないところで京都を表現しようと。僕はそのまま踏襲するのではなく、モチーフを自分の中で消化して、いまの時代に合う形で新しくデザインしたいと思うんです。

ー それは、どのような部分に表れていますか?

関:たとえば、テーブルは浮造という木目を立体的に仕上げる加工をしてあるんですよ。本来は銘木といわれる高価な天然木などに施すことが一般的なんですが、それをホームセンターで売っているようなベニヤ板に施しています。この辺りにはうちらしいミックス感を表現した部分ですね。

ー 他にも工夫はあったんですか?

関:カウンター周囲の床に京都市電の電石と呼ばれている石を敷いています。京都市電はかつて京都を走っていた電車なんですが、そこで使われていた石がいまも京都の石屋さんで扱われているんです。そういうことをお店にきた人がコミュニケーションを取りながら知ってくれたらいいな、と思っていて。そんなディテールにもこだわりながら、自然光が美しく流れ込み、時間の流れが綺麗に見えるような空間を表現しました。

INFORMATION

Technics

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