STYLE 2 先人たちがつくってきたモノに敬意を表す。
ー 〈チャンピオン〉のような定番品を着続けることで、菊池さんが自身の変化に気づく瞬間もありますか?
そうですね。もちろん変わることがすべてではないと思っていますが、それでも、変化は恐れない方だと思います。ブランドのディレクターとしても、世の中の動きを見極めて、自分がどういうカードを切るべきかをつねに考えています。みんなから、「考えすぎだ」って言われるくらい(笑)
ー どういうときに考えてしまうんですか? たとえばアートなのか自然なのか、菊池さんにとっての服作りのインスピレーション源は?
最近は、寝る前の時間にハッと思いつくことが多いですね。それで、眠れなくなることも。ただ、インスピレーションの話でいうと、特別なことはなにもしていません。そもそも〈ホリデイ〉では、シーズンテーマがあって、そこを深く掘り下げていくようなモノづくりのアプローチはしていませんし、私自身は、これまでメンズとレディースブランドで20年以上キャリアを重ねてきました。だからなにを元に服づくりをしているかと聞かれれば、過去の経験がなにより。
ー 紋切り型の価値観にとらわれる必要はない、ということですね。ところで、ふたつ目のスタイリングでは、ヘビーウェイトTの代名詞的存在である「T1011」シリーズを選んでいただきました。着心地はいかがですか?
やっぱり生地の厚みがいいですね。ヘビーウェイトの独特なこの感じ。古着のTシャツはもちろん雰囲気はあるんですが、薄くくたってしまっているものが多くて、大きなサイズだと綺麗にシルエットが出ないんですよね。とくにこうしたレイヤードスタイルに使うなら、ハリがあってきちんと見える生地のものがいい。

ー メンズアイテムとレディースアイテムをちょうどいい塩梅で組み合わせたスタイリングは、やはり菊池さんの真骨頂ですね! オーセンティックなカレッジプリントのTシャツを、ざっくりとしたサイズ感でレイヤードするのが新鮮に感じました。
このレイヤードスタイルは〈ホリデイ〉ではスタンダードな合わせなんです。だから今回カレッジTを拝見したときからスタイリングはこれに決めてました。ビビッドなカラーリングも決め手でしたね。
ー Tシャツ×デニムといった王道のコーディネートにサイズや色選び、小物で遊びを加えるというのは明日にでも真似できそうです。ちなみに〈ホリデイ〉で洋服をつくるときには、〈チャンピオン〉をはじめとする歴史あるカジュアルメーカーのアイテムを意識したり参照したりすることも多いですか?
おこがましいですが、もちろんそうした洋服が基盤にあってして、自分たちのものづくりがあると思っています。そこから、「自分たちだったらどうつくるのか」。個人的にはとくにカットソー類が好きで、アメリカのスポーツメーカーのものはこれまでにたくさん着てきました。なかでもUSコットン風のアイテムは、自分たちでつくりたいとかねてから考えていました。そうしたときに、〈チャンピオン〉をはじめさまざまなブランドの定番品を見つめ直すと、先人たちのすごさを再確認できます。

