渋さを感じるけど、さりげなく遊びもある。
フェイスの組み合わせが決まったところで、つぎはベルト選び。ここはデザイナーの腕の見せ所ともいえるポイントでしょう。ベゼルと同じ色を選んでワントーンでシンプルに決めるのもいいですが、色合わせの妙を楽しみたいところ。ちなみに、上下で異なる配色を選ぶこともアリです。「やっぱりインラインにある組み合わせはしたくないですね」と、藤井さんも頭をフル回転させながらベルトを選んでいきます。

最初に手に取ったのはベージュ。〈ノンネイティブ〉でも数多くのアイテムで採用され、ある意味藤井さんらしいカラーともいえますが、文字盤に合わせながら「うーん」と悩ましげな様子を浮かべます。
「あまりピンとこないですね。ちなみにベルトループは1連と3連でどちらかを選ぶ感じですよね? じつはターコイズを差し色として使いたくて。だけどベージュに合わせるとちょっと可愛らしくなっちゃうんですよ」

ベルトループは3連にした場合、3つそれぞれ異なる色を選ぶことも可能です。どうやら3連のうちのひとつにターコイズを使いたいご様子。ベルトとフェイスのコンビはもちろん、同時にベルトループとの組み合わせも模索しながら、全体的なカラーバランスを眺めて相性を探ります。

「ターコイズとグレーは相性がよさそう。グレーって結構いろんな色に合わせやすいんですよ。黒やネイビー、それにオリーブとかミリタリーカラーにもフィットしますし。そこにワンポイントでターコイズを入れると、石の入ったバングルみたいになるかなと」

ということで、ベルトはグレーに決定。3連のベルトループは「グレー、ターコイズ、グレー」とセレクトし、バックルは黒を選択。「これで一度組んでみたい」とのことで、すべてのパーツをセッティングして藤井さんに渡すと、「いい感じですね」とご満悦の様子。しかしながら、まだ決定には至らず。なにやらテーブルにあるベルトループのパーツ群を見つめる藤井さん。


「やっぱり3連のベルトループのうち、バックル側にくるやつを黒にしていいですか? 腕に巻いた時にバックルから、黒、ターコイズ、グレーとベルトループが続くことで、グラデーションっぽくしたくて」
絶妙な色の違いにまで気を配り、カラーリングへのこだわりを見せます。オーダー通りにベルトループを交換し、ふたたび組み終わった〈G-SHOCK〉を手に取ると「これなら使えそう。完成ですね。なんかありそうでなさそうなカラーリングじゃないですか?」と、ようやく安堵の表情を見せてくれました。



「これだけ色の数があると、どうしても迷ってしまいますね。だけど、さっき話したようにグレーって何にでも合わせやすい色だし、こういうターコイズのワンポイントがあると、女性にも褒められそう。渋さを感じるけど、さりげなく遊びもある、みたいな」

藤井さんがそう語るように、グレーをベースにすることで使いやすさがありながらも、効果的に差し色を入れることでファッションアイテムとしての魅力がプラスされています。どこか〈ノンネイティブ〉らしさも感じる配色です。
「このワンポイントがそうさせているのかな。黒地の服でステッチだけ水色にしたりしてて、いつもそれくらいでいいのかなって思っているので」