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UNIVERSAL OVERALLにまつわる放談。 山田陵太はカバーオールを現代的な視点で見る。
WORKWEAR NEVER ENDS.

UNIVERSAL OVERALLにまつわる放談。
山田陵太はカバーオールを現代的な視点で見る。

1924年にアメリカ・シカゴで創業した〈ユニバーサルオーバーオール(UNIVERSAL OVERALL)〉。ワークウェアながら都会的な雰囲気のデザインが人気を呼び、世代を問わず支持を集めている。今回は古着のワークウェアにめっぽう詳しく、目がないというスタイリストの山田陵太さんに、定番のカバーオールとビームスに別注したジャケットを見てもらい、それぞれどんな印象を持ったのか、ファッションの現代的視点から話を伺ってみた。

  • Photo_Masashi Ura
  • Text_Yasuyuki Ushijima
  • Edit_Yuri Sudo

ワークウェアをうまくファッションに昇華した、今っぽいブランド。

ー 山田さんがはじめて〈ユニバーサルオーバーオール〉の存在を知ったのはいつぐらいですか?

山田: いつかは忘れましたが、サンタモニカ(古着屋)で〈ポインター(POINTER)〉のペインターといっしょに置いてあったような記憶がありますね。しかも、古着ではなく新品として見たイメージがあります。あまり古着でも見たことはないので、1924年創業と聞いていますが、比較的、後発で普及していったブランドだという認識ですね。

ー ブランドの印象としては比較的新しめのワークブランドという感覚ですか?

山田: そうですね。アメリカではどういう存在なのかはわかりませんが“現役のワークウェア”っていう感じかもしれないですね。90年代のワークウェアの流れで〈ディッキーズ(Dickies)〉なんかも古着でシャツはあるけど、カバーオールなどのアイテムはないので、もしかしたら、そういった立ち位置なのかもしれないですね。

山田: このカバーオールはエリのステッチが1本針なので簡素化された縫製にはなっていますが、ボタンは1930年代から流行したドーナツボタンを採用している。いろいろな年代のディテールが混ざっているので、そういう見方をするとおもしろいですね。

ー 現在のワークウェア、特に古着でのトレンドで顕著なものはありますか?

山田: 古着界隈では50年代~60年代のいわゆるゴリゴリなヴィンテージウェアが人気……というよりは、自分たちからすると“レギュラー”と呼んでいる、90年代のポリ混系のアイテムの調子がいい気がします。実際に若い世代からすると、そういった90年代のアイテムでも、自分たちが20代の頃の70‘S(センブンティーズ)という位置付けなので、立派なヴィンテージとして、認識されているんだと思います。

たとえばメディアの特集でワークウェアを組んだとしても、アーリーアメリカンな雰囲気よりは蛍光色のアイテムを混ぜたようなケミカルな雰囲気を押し出すようなスタイルが人気ですね。

〈ユニバーサルオーバーオール〉のカバーオールもフロントポケにオレンジのタブなどがついているので、こういったディテールは今っぽく取り入れることができるのかなと思います。

ー 今回、店内をいろいろと物色してもらいましたが、カバーオール以外で気になるアイテムはありましたか?

山田: フロントがダブルになったコックシャツっぽいアイテムとか、ウール素材のものがあったりして洒落ているなぁとは思いました。基本的にアメリカ人にとっては、ワークウェアは日本でいう「寅壱」みたいなリアル作業着という位置づけ。アメリカ北部ではリアルに工事現場の人がダック地のカバーオールを着たりしてますし、南部は気温が高いのでポリ混のワークパンツを穿いたりしている人を、アメリカに行くと見かけます。

そのワークウェアをファッションにしようという概念がないので、こういった元々ある形の素材替えやアップデートなどは、いかにも日本らしいアプローチだなとは思いますね。

INFORMATION

UNIVERSAL OVERALL

公式サイト

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