こだわったのは生地の光沢感。

ー 〈77サーカ〉と〈ワイルドシングス〉は、昨年に続いて2度目のコラボレーションです。
森山:前回はモンスターパーカでコラボレーションさせてもらいましたが、今回は中綿のプリマロフトを薄くして、もう少し長いシーズン着られるようにしました。
栗原:確かにモンスターパーカは、中にスウェットを着るくらいで十分暖かかったですね。
森山:何枚もレイヤードできるほうが、オシャレを楽しんでもらえると思いまして。中綿を薄くした方が軽くなるし、ウエストのドローコードを絞って体に密着させると、薄くしても十分暖かいんです。そして、ウエストを絞ることで生まれるドレープ感も、中綿を薄くした理由です。

ウエストのドローコードを絞ることで美しいドレープが浮かび上がる。
ー 生地全体に施されているプリントの光沢感が、ドレープによって際立ちます。
森山:薄いナイロンに、オリジナルカラーをプリントして光沢を出しています。このアウターは、生地ありきで企画したもの。スポーティなナイロンの質感が好きで、そんな表情のコートが欲しかったんですよ。この2枚のジャケット(〈JCヒギンズ〉のアノラックと〈バットウィン〉のサテンジャケット)を工場に持ち込んで、何パターンかカラーサンプルを作ってもらい、中間くらいの鈍い光沢が出るプリントにしてもらいました。ブラックは一番光沢を出して、逆にオリーブはそこまで光沢を出さないようにしています。


本コラボの生地のターゲットになった〈JCヒギンズ〉のアノラック(左)と、〈バットウィン〉のサテンジャケット(右)
栗原:オリーブは、フライトジャケットのセージグリーンっぽくていいですね。
森山:オリーブを着る人は、そこまで光沢がいらないのかなと思ったんですよ。シルエットとディテールは最初から決めていたので、プリントと中綿の調整に時間がかかっちゃいました。ナイロンとプリントにも相性があって、生地次第で光沢感が違うから、いろいろと比べました。

栗原:基本的にディテールはシンプルだけど、光沢感がデザインに生きていますね。シルエットが大きいから、なおさらそう感じます。
森山:大きいシルエットをコットンで作ると、のっぺりとして、デザインに物足りなさを感じちゃうんです。特に沈んだ色のアウターには、デザインの主張が欲しくなります。でも、薄い生地に光沢を持たせれば、動きによって見え方が変わって、デザインとして映える。