ファンクションは本物であればあるほど、いい。

ー 職業柄、リサーチなんかで街にも出かけますよね。
池田:年中ですね。やっぱり都内だと青山周辺が多いかもしれないです。
ー そうしたときは、どんなコーディネートが多いんですか?
池田:それ用にって感じではないですけど、最近のぼくのスタイリングのテーマが、ドレスダウンとかディスファンクション。まさに今日のコーディネートもそうで、ブーツはGORE-TEX®、バッグはナイロンで機能的だけれど、合わせる服は天然素材だけにして、GORE-TEX®の防水性はあえてひろわない(笑)。
ー いま、街着にもファンクションを組み込むっていうのがひとつのトレンドではあると思うんですけど、池田さんの目にはどう映っていますか?
池田:そのファンクションが本物であればあるほど、全体のコーディネートの外しになるから面白いわけであって、そのために使うならいいんじゃないかと個人的には思っています。そういう意味では、〈ダナー〉も〈ブリーフィング〉も本物だし、普段のコーディネートに組み込むのはアリだなと。


ー すべてを機能的にするのではなく、あくまで全体のバランスが大事ということですね。街歩きで、いまお持ちのような小さなショルダーバックを使ったりする機会はありますか?
池田:特に夏は、結構使うんですよね。というのも、夏になるとパンツの生地が薄くなるじゃないですか。そんなパンツのポケットにスマホや財布なんかを入れると、ポケットがだらんとなってしまって、シルエットもへったくれもなくなる。そうしたときに、サブポケット的に使うんです。
ー リネンのパンツなんかは特にそうかもしれないです。ウエストにもストレスがかかりますしね。
池田:そうなんです。あと、こうしたバッグは旅先でも使いますよ。特にヨーロッパはスリが多いから、たいていミニショルダーバッグを持って、そのなかにスマホや財布、パスポートを入れて、コートの中に忍ばせているんです。これだとマチもあるから収納力もあるし、余計な装飾がないからコートの中にも忍ばせやすい。
蛇足になっちゃいますけど、職業柄か、人と同じじゃつまらないっていう感覚が強いんです。だから電車ではなるべくスマホを見たくなくて、いつも文庫本を読むんです(笑)。このバッグは文庫本のサイズにもぴったり。

ー デザイン面ではどうでしょうか?
池田:最初見たときに、いい意味でさりげないのが印象的だったんです。一般的なコラボレーションってお互いのキャラクターが押し出されるけど、今回のものはそのあたりがさりげない。バッグに関しては限りなく〈ブリーフィング〉だし、シューズも限りなく〈ダナー〉。いいバランスで成り立っていますよね。
ー たしかに、どのアイテムも〈ダナー〉のレザーと〈ブリーフィング〉のアイコンであるウェビングベルトを、最小公約数で合わせた感じですよね。
池田:そうそう、最大ではなく最小のイメージですね。それとシューズに関しては、タンから〈ブリーフィング〉のウェビングベルトがちょろっと出てる。そこに黒のレースアップがちょっと〈ジョン ムーア〉に見えなくもなくて、そんな気分でも履けるなって思って。