PROFILE
WISMコンセプター。情熱的で直感的なバイイングがモットー。が、実は繊細なディレクションを細部に施す凄腕仕掛け人。
PROFILE
様々なブランドで経験、研鑽を積み、故郷である岡山にて2021年SSシーズンに〈アンセルム〉をスタート。苦労人。
ー 今回、児島の工場で「ウィズム」が別注したデニムをちょうど製作しているということで、急遽お邪魔させていただきました。お二人が出会ってから数ヶ月間で、めまぐるしい展開がありましたね。
堀家:そうですね。僕たちが初めて会ったのは去年の10月くらいで、そこから秋冬ものを少しだけ展開させてもらって、そのあと年明けにまずスエットの別注、そしてインラインのデニムなどが続きました。
ー とにかく惚れ込んでますよね。
堀家:自分は直感的にいいと思ったんですけど、スタッフもみんないいと思ったみたいなんです。うちのスタッフには、古着好きもいれば、ストリート、そしてデザイナーズ好きもいるんですけど、そのどこにも属してないような不思議なブランドだと思います。ちなみに別注スエットやデニムは、1〜2日で完売しました。
山近:ありがたいですよね。そのデニムやスエットを作っている現場を今回は見てもらえたらと思います。まずは縫製を担当してもらっている工場です。
山近:基本的に僕がお世話になっている工場さんはどこも上手なんですが、ここはそのなかでもずばぬけてうまいですね。こないだ飲みながらここのスタッフさんと話してたんですけど、「いい縫製工場がつくった服は、糸が語りかけてくる」って(笑)。でもそれくらい自信があるんです。
堀家:いい話ですね、それ。いまの〈アンセルム〉を気に入って買うバイヤーとかお客さんって、どこどこ出身のデザイナーがやってるから買いますみたいなことではなく、しっかりものの良し悪しで買ってますよね。それがいいなと思って。
ー 堀家さん的には、古着屋さんに置かれているというのも大きいと仰ってましたよね。
堀家:そうなんです。古着屋さんって当然古着をいっぱい見ていて、目が肥えているわけですよね。けどこの〈アンセルム〉のデニムは他所にはないし、古着にもないという感想を持ったからこそ、仕入れているはずなんです。古着屋さんはブランドではなく服そのものを見ている人たちだと思うので、その人たちが唸るということがこの服の素晴らしさを証明していると思うんです。
ー たしかに。そもそも古着屋さんが新品を置くというのも、なかなかハードルが高いように思います。
山近:堀家さんも元々は古着屋さんにいたんですよね。
堀家:そうですね。そんなに長い期間いたわけではないんですけど。でも古着屋さんの“同じものは世界中に一つとしてなくて、安定供給できないものを提案する”という尖ったマインドは理解しているつもりです。
山近:僕自身も古着はめちゃくちゃ好きで、たくさん買うんですけど、古着っぽく加工されたようなものはなんか着たくなくて。だからあえてヒゲのないデニムをつくっています。
堀家:ヒゲがないのはそういう理由なんですね。初めて〈アンセルム〉のデニムを見たときに、ちゃんと言語化できなかったんです。それはなんでかって思うと、やっぱりヒゲのありなしは大きかったのかもしれません。
山近:あとは膝の裏とかも、いわゆる色落ちしたデニムとは違う感じになっているかと思います。
堀家:そういうのがあるだけで、途端に違う感じに見えてきます。そしてそこはすごく競争率が高いエリアですよね。
山近:はい。だからそこはわざと外しにかかってます。最初にこれができたときは、あまりに今までになさすぎて「売れるかな?」とは思いました。かっこいいとは思ってたんですけど、理解してもらえるかな、と。
堀家:確かに見たことないデニムですよね。
山近:でも、これをそのまま他所に持っていっても、同じものはできないと思います。それくらい手間がかかっているので。