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奥深きレギュラーTシャツの世界3。
Dig It Regular T-Shirt

奥深きレギュラーTシャツの世界3。

古着の楽しみ方は人それぞれではありますが、“年代”や“希少性”といった既存の価値観に捉われることなく“それをどう楽しむのか?”という視点が重要となるのが、レギュラー古着と呼ばれるカテゴリーです。このたび、その象徴たるレギュラーTシャツにフォーカスした古着イベント「ドレギュラーTシャツ展」が3度目のカムバック! そこで前回と前々回同様、同イベントを主催する「ドゥージョー(dojoe)」の中野さん、「ウェーバー(weber)」の畠中さん、「アノラック(AnoLuck)」のizmtさんの3名を緊急招集。各々がイベントに出品するTシャツから“ひとつかみ”した推しアイテムの見所、そしてレギュラーTシャツの楽しみ方について語って頂きました。少々長めではありますが、どうぞお付き合いください!

フルネーム系、ボディ縛り、ダジャレ、そしてシメの1枚。

Selected by AnoLuck
Item01_ Full Name T-Shirt

Izmt:2人ともちゃんと“レギュラー”というカテゴリーでしっかり選んでいるなぁ。

ー Izmtさんは今回、なにかテーマとかあるんですか?

Izmt:ぼくも“本当に最後まで売れ残りたくない一心”で、普通に選びました。ということで……まずは〈ポール・スミス(Paul Smith)〉ですね。デザイナー自身の名前をフルネームでつけるブランドってありますよね。〈タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)〉とか〈ジュンコ コシノ(JUNKO KOSHINO)〉とか。それらをぼくは“フルネーム系ブランド”と呼んでいます。

中野:どういうこと?(笑)。

Izmt:ぼくの持論なんだけど、フルネーム系ブランドはヴィンテージ扱いされづらいというのがあって。〈ポール・スミス〉のヴィンテージなんて聞いたことないでしょ? 品質表示タグを見る限り、80年代初頭に発売されたアイテムなのに状態も良く、しかも4色分解のシルクスクリーン。そこまでやっていながら、いまだ価値を見出されていないのもイイなぁって。なので、プリントうんぬんではなく〈ポール・スミス〉というブランドがおもしろいっていう話でした。

中野:さっきの夷撫悶汰もだけど、この年代だと転写プリントをしがちなんだけど、しっかりシルクの4色分解というのが格好良く見える理由かな。どことなくブルース・ウェーバー感もあったりして。

畠中:それは確かにある。

Izmt:こういう良いモノが出てくるから、フルネーム系ブランドは侮れないぞっていう。

Item02_ BOATHOUSE ROW T-Shirt

Izmt:次はボートハウス ロウ。これは〈ギルダン(GILDAN)〉のボディ縛りで集めた内の1枚で、若干古め。ボディ縛りと聞くと、ちょっとニュアンス的に勘違いされちゃうかもしれないんですが……。

畠中:(苦笑) 。“ボディを縛る”みたいに聞こえちゃうとね。

Izmt:そうそう、団 鬼六的なヤツじゃなくて(笑)。そもそも〈ギルダン〉は、2000年代以降20年間、全米トップシェアを守り続けているプリンタブルボディメーカー。その安さから色んなブランドや企業が使っていますが、それだけに良いデザインがなかなか出てこない。

ー 玉石混合の石多めということですね。ちなみに〈ギルダン〉ボディの特徴とは?

Izmt:1997年頃、他ブランドに先駆けてダブルステッチを取り入れ、その後、各メーカーがそれを倣った感じはありました。

畠中:コレさぁ、てっきりブランドの〈ボートハウス(Boat House)〉かと思ったら、全然違った(笑)。

Izmt:アメリカのペンシルバニア州フィラデルフィアにある湖のボートの溜まり場で、ライトアップされた景観が有名な観光スポット。つまりスーベニアTなんだけど、特色分解でライトアップの雰囲気を上手に表現しています。

中野:これはイイなぁ。

Izmt:ちなみに湖の対岸からしか見えない景色なんだけど、そこが高速道路の入り口らしく、停車して見ることが出来ないらしいよ。写真でしか見えない場所なのに、ちゃんとスーベニアTシャツがあるっていうのもヤバくない? ボートハウスという響きも長野県の清里っぽくて好きだなぁ。

畠中:Izmtちゃんは軽井沢と清里が大好きだもんね。

Izmt:うん(笑)。別荘地とか80年代の昭和感を残しているスポットに、すごく心惹かれるんだよね。

Item03_ The Used T-Shirt

Izmt:これは2000年代以降のバンドTなんですが、ザ・ユーズドっていうバンドのTシャツがユーズドになったというだけのダジャレです。ジャンル的にはポストハードコアですかね。まぁ、音を聴いたことないんで分かりませんが。

一同:(笑)。

ー そういえば前回もありましたね、アーティストものだけど誰だかよく分からないのが。

Izmt:ぼくの場合、単純にTシャツとしておもしろいかどうかでしか見ていませんからね。「そんな全身でバンドを応援してあげる必要ないだろ!」って思っていますし。

ー にしてもかなり着込まれていて、その名に違わぬユーズド感ですね。

Izmt:身頃と袖とリブといったパーツごとに色落ち具合が異なっているのって分かります? これは生地ロットが違うから。〈チャンピオン(Champion)〉や〈ヘインズ(Hanes)〉でも見つかりますが、そういうのはB級品扱いで、大概がアウトレット行きになっちゃいます。

ー で、こうして巡り合うと。

畠中:リブにまでプリントがかかっちゃっているけど狙いかな? もう少し全体のプリント位置を下げればイイのにね。

Izmt:失敗したんじゃない? でもそのリブにかかっていようがお構いなしにプリントしちゃっているのが、アメリカやメキシコっぽさかも。

中野:プリントやデザインではなく“ボディをしっかりと見る”。ヴィンテージだったら当然みんながやってきているけど、近年ものでそこまで深く考察する人はいないので、そういう目線で見て・ディグっているのが、すごくIzmtくんっぽいしおもしろい。

畠中:いないよね、そういうマニアックな見方をする人って。

Item04_ That’s it T-Shirt

Izmt:最後はこちら。胸にプリントされたThat’s itを日本語に訳すと“これが最後だ”。要は“これ以上はないから、もう勘弁してくれ”ということです。

一同:(笑)。

ー 切実なメッセージが込められた1枚と。企業モノとかですか?

Izmt:ちょっと分からないんですよね。ただこれも〈ギルダン〉縛りでピックした内の1枚です。プリントも、もう少しニュアンスが違えば、マイケル・ジャクソンの幻となった最後のコンサートタイトルっぽいですけどね。

畠中:でも、™️(トレードマーク=商標)が付いているってことは、何かのマーチャンダイズとか?

Izmt:そこがポイント。そもそもThat’s Itというフレーズに商標がおりるはずないので、ソレっぽく見せるために勝手に付けているだけだと思うんですよね。でもぼくは、こういうふざけたアプローチが好きで……これが今回のドレギュラーTシャツ展 イベントTシャツに繋がっていくと。だよね? 中野くん。

中野:そうなんです。

INFORMATION

ドレギュラーTシャツ展Ⅲ そして伝説へ…

会期:4月29日(金)〜4月30日(土)
場所:dojoe
住所:東京都渋谷区元代々木町9-8
電話:03-6884-2425
dojoe-tokyo.com

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