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二極化していくアウトドアスタイル。 MONTHLY JOURNAL May. 2022 vol.2
Minimal

二極化していくアウトドアスタイル。
MONTHLY JOURNAL May. 2022 vol.2

ここ数年のアウトドアブームは、これまでの日本アウトドア史のなかでも最高到達点を記録したと言っていいでしょう。そのなかで、より多くの人がアウトドアの基本を知り、ギアの知識を身につけました。そしていま、アウトドアのスタイルは二極化しています。ラグジュアリーに不自由なくアウトドアを楽しむか、アウトドアの不便さを享受して自然に溶け込むか。今月のマンスリージャーナルは、そんな2つのスタイルのいまを探っていきます。Vol.2は、ミニマルにアウトドアを楽しむ編。

  • Photo_Utoo Takuma
  • Text_Keisuke Kimura
  • Edit_Yuka Koga

Cruise Bicycle+Cafe ガラパゴスな自転車屋に聞く、バイクパッキングの楽しさ。

UL(ウルトラライト)志向の高まりから、近年は自転車に必要最低限のものを積み、自転車で目的地へ行きキャンプを楽しむ「バイクパッキング」の波がやってきている。グランピングなどのラグジュアリーなキャンプとは真逆の、極めてミニマルなその遊びの楽しみ方を、業界を牽引する孤高のショップ「Cruise Bicycle+Cafe」の友村さんに聞きました。

PROFILE

友村 武志
Cruise Bicycle+Cafe オーナー

高校2年時から自転車店でアルバイトをはじめ、その後も大手自転車量販店で10年以上のキャリアを積み、2015年に自身のお店をオープン。当初は別の業態だったが、2017年から、現在の自転車とキャンプギアのお店に。

ー 友村さん、まずは、「Cruise Bicycle+Cafe」がどういうお店か教えてください。

友村:2015年4月にオープンしたんですけど、最初は店の半分がイタリアンレストランで、もう半分が自転車屋という、けっこう珍しい業態でやってたんです(笑)。そこから人の入れ替えがあって、2017年の9月にカフェ兼自転車に。そこから、ほどなくしてオリジナルブランド〈BYCRUISE〉を立ち上げて、自転車とキャンプに特化したいまのスタイルになったんです。

キャンプギアと自転車がびっしりな店内。友村さんも日々、自転車のカスタムと修理に勤しむ。

ー 近年は、ULの志向も高まって、バイクパッキングをする人もかなり増えたように感じます。

友村:確実に増えていますね。お店にも、そうした方がよく来ます。たぶん「バイクパッキング」と聞いて、一般的に想像するのって、自転車にたくさん荷物を積んで、都内から自然まで自転車を漕いで、現地で楽しむという感じだと思うんですけど、もっと気軽に楽しめるんです。

ー といいますと?

友村:たとえばですけど、最初は椅子とテーブルだけを自転車に積んで、道中でハンバーガーをテイクアウトして河川敷で食べるだけでもいい。これもれっきとしたバイクパッキングです。

ー たしかに、それだけでも自転車とキャンプの両方の気分を味わえますね。

友村:それと、自転車で都内を走るのは、ストップ&ゴーの連続だし景色もつまらない。なので、ぼくの場合は、クルマに自転車を積んである程度都会から抜け出たところで自転車をおろし、そこからバイクパッキングをすることもあります。たしかに都会から出発して自然に向かうのも達成感はあるかもしれないけど、楽しい時間が多いほうがいいじゃないですか(笑)。

ー もっとハードルは高いものだと思っていたけど、そうすることで気軽にも身軽にもなっていくということですね。一方で、専用の自転車がなければいけないと思っている方も多いです。

友村:たしかに荷物を満載にするなら荷物を積むキャリアも必要だし、ダボ穴というネジ穴も必要だったりします。けれど最近はベルクロのものも多いから、そんな心配もせずに済みますよね。あと、いまのキャンプギアは専用の袋に入っていることも多いから、それを自転車にくくるだけでいいと思うんです。

友村さんのバイクパッキングのお供であるクッカー。「これさえあれば、茹でたり、沸かしたり、焼いたりいろいろできます。最初はこれで十分」と友村さん。

ある日のバイクパッキングの様子。ここに映るギアすべてを自転車に積み、片道20キロほどを走るという。

ー 実際に、初心者の方ともバイクパッキングに出かけている友村さんですが、お客さんの反応はどういったものでしょうか?

友村:自転車の爽快感を味わえるし、道中の景色もダイレクトに感じられるし、外で食べるご飯はおいしいしで、感動してもらいます(笑)。と同時に、荷物も少ないし、こんなに気軽に行けるんだと驚かれる方も多いです。あまり難しく考えず、最初は自転車でピクニックへ行くくらいから、はじめてもらえたらいいと思います。それと、バイクパッキングは薪ではなくて、炭がいいです。軽いし、火の持ちもいいので。

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