Jリーグをどうしていくか?
ーでは、いよいよJリーグのクリエイティブディレクターについて。ズバリどうですか?
清永:就任して、まだ2カ月で試行錯誤している段階だね。来年、Jリーグが創設30周年を迎えるので、それ以降にいろいろな施策があるんです。いまのところは、様子見しつつアドバイス程度くらい。たとえるなら、チームを移籍したばっかりで、みんなとコミュニケーションをとっている段階かな。

ークリエイティブディレクターは、どういう仕事内容になるんですか? Jリーグのブランド価値を高めることが目標になるんでしょうか?
清永:そういうことを考えつつ、みんなをまだ見ているところ。新しいチェアマンの野々村さんからはひとこと、「Jリーグをかっこよくしてください」と。ぼくの性格上、ドラスティックにガラッと変えるタイプじゃないから、気付かない程度にゆっくりとマインドから変われればいいなと。
鳥羽:それが本当にすごいっすよね。派手なことをやって変えるのはわかりやすいわけで。たとえば、教育も怖い先生に変えたら、クラスは表面的には統制が取れるけど、本質的には変わっていかない。本質的に変えていくには時間がかかる。でも、やっぱりみんな短期で結果を出したいからドラスティックな方に舵を切ってしまう。ぼく自身、これから長期的な方にシフトしていきたいけど、まだまだ短期のことも視野に入っちゃうんです。
ー清永さんは遠く先までを見据えているんですね。
清永:「JUN(ソフの親会社)」に入る前から、外部ディレクターなどいろんな話が来ていて、いつも尋ねていたのは、必要なのはぼくの名前ですか、脳みそですか?ということ。だいたい両方ですと言われるんだけど(笑)。名前だけなら、ぼくがやめてしまったらその会社で実装できない。そうじゃなくて、やってるひとが変わっていかないと。
鳥羽:キヨさんは、ロジックがあるのにオラオラした空気がないし、コンサルもできちゃう気質なのにコンサルっぽい感じもしなくて、その幅と懐の深さがすごい。さらにいえば、これを以前からやってきたということに価値がある。編集能力とビジネスセンス両方を併せ持つひとは、いまの若い子たちから少しずつ出て来ているけど、キヨさんのように24年前というのは断然早かった。

鳥羽:自分がイチ服好きとして〈ソフ〉の服を買いまくっていたときと、経営者になってからお話させてもらうキヨさんの印象は全然違うんです。ひとが密集している逆サイドのスペースを大きく使う話とか、ビジネスとしてもおお!って。俯瞰して物事を見ているんでしょうね。たとえるなら、キヨさんは元「バルセロナ」のグアルディオラなんです。
清永:そこはロジックじゃなくて、感覚的にやっているんだよね。でも、ロジックだと思っているひとは、〈ソフ〉を辞めるときに「どうせ何か考えてるんでしょう?」って。Jリーグのクリエイティブディレクターをやると発表したら、「ほら見ろ」って(笑)。
鳥羽:それだけキヨさんのやっていることが、世のなかのひとには戦略的に見えるような仕掛けがあるってことでしょうね。それは、文脈があるということ。しかも、流れを読むというよりも、本質的に考えた結果文脈になっちゃったと。
ーJリーグのポストに就任することになったのは、一種の流れなんですかね?
清永:流れもあるし、「大分トリニータ」のサポートを23年やってきて、スポンサー目線もサポーター目線もわかって、スポーツビジネス、ファッションビジネスもやってきたぼくのようなひとは存在してないわけです、日本では特に。客観的に考えても適任かな(笑)。クリエイティブができるだけじゃなくて、実際サッカーに長年携わってきた実績もあるし。
鳥羽:そりゃ、Jリーグ的には、移籍金ゼロでグアルディオラを取れたから、最高ですよね(笑)。
