FEATURE
A GIFT TO MYSELF Vol.01 賢者の贅沢。自分へ贈る最高のギフト。
MONTHLY JOURNAL DEC. 2022

A GIFT TO MYSELF Vol.01
賢者の贅沢。自分へ贈る最高のギフト。

今年も残すところあと僅か。1年の締めくくりに自分へのご褒美を考えている方も多いはず。いろいろな選択肢があるなかで、一通りファッションを楽しんできた大人たちはこれまで一体何を手にしてきたのだろう。ここでは〈マディソンブルー(MADISONBLUE)〉の中山まりこさん、〈ゴッド セレクション トリプルエックス(GOD SELECTION XXX)〉の宮﨑泰成さん、選曲家で音楽プロデューサーの田中知之さんに声を掛け、自分へのギフトについて話を聞きました。それぞれのご褒美に対する考え方からモノ選びのこだわりが見えてきます。

02 : Interview with Yasunari Miyazaki 買い物によって研ぎ澄まされるモノ選びの基準。

PROFILE

宮﨑泰成
クリエイティブディレクター

1989年、東京生まれ。大学を卒業後、2013年に〈ゴッド セレクション トリプルエックス〉をスタート。自身の好きなカルチャーを表現したデザインで支持を獲得。22年12月、名古屋に新店をオープン。来年はブランド設立10周年を迎える。
Instagram:@nari_x_x_x_

ー始めに、今回用意してもらったアイテムの紹介をお願いします。

宮﨑:このカバンは昨年のクリスマスに手に入れたものです。〈ゴヤール〉のもので、ロゴを入れてもらいました。愛犬も同じ柄の首輪をつけています。

ーどうしてこちらを購入されたんですか?

宮﨑:同じく〈ゴヤール〉で似たようなバッグを使っていたんですけど、ファスナーのついてないタイプだったんですよ。それを持って旅行とかに行くと、ちょっと不安だったりして。何かいいものがないかなと思って探しているときに、ちょうどこのバッグと出会ったんです。そのとき、藤原ヒロシさんも一緒にいて、せっかくだからということで自分のブランドのロゴに加えて、〈フラグメントデザイン〉のロゴも入れさせてもらいました。

昨年のクリスマスに「伊勢丹」で購入したというバッグ。裏側には〈ゴヤール〉のフォントで自身のブランド〈SEQUEL〉の文字をプリントしている。同じ柄のポーチと愛犬の首輪も。

ー〈ゴヤール〉は宮﨑さんにとって特別なブランドですか?

宮﨑:すごく特別というわけではないんですけど、このブランドのものを愛用している人に対して、品のある印象があって、僕はそのイメージがすごく好きなんです。こういうバッグを僕のようなファッションと組み合わせたら面白いかなと思ったのもありますね。

ー実際に使ってみてどうですか?

宮﨑:近年やっと海外出張も行けるようになったので、とても重宝してます。国内でも2泊くらいの旅行ならこれで十分荷物が入りますし。普段は手ぶらで行動することが多いんですけど、荷物が多いときはこれを使っていますね。

ーあと、もうひとつのご褒美は〈ロレックス〉の時計ですね。

宮﨑:これは今年のご褒美です。ヴィンテージの〈ロレックス〉が好きで、その中でも「エクスプローラー I」がお気に入りなんです。これは1966年のトロピカルダイアルといわれるものです。

初めて買った時計も実は「エクスプローラー I」で、ヴィンテージのものをいくつか持っているんですけど、同じモデルでも年代によって表情が変わるところがユニークだなと。それで色んな時計を見ながら、自分の好みのものを探しています。

〈ロレックス〉の「エクスプローラー I」。普段は〈フラグメントデザイン〉と〈ビジュードエム〉がコラボしたジュエリーケースに入れて保管しているそうだ。

ー食事や旅行など、体験をご褒美に選ぶことはありますか?

宮﨑:あまりないですね。誰かの誕生日やお祝い事でご飯をご馳走することはあるんですけど、自分のためにそういったことをすることはないです。仕事柄、普段から色んな方々とご飯を食べる機会も多いので。

もちろん旅行も好きなんですけど、それってタイミングだと思うんですよ。誕生日とかに狙ってスケジュールを押さえるよりも、何かふとしたきっかけで旅行に行って、思うがままに経験するほうが心に残るのかなと思っています。

ーもの選びの視点はどんなところから影響を受けていますか?

宮﨑:原宿が地元なので、そこで受けた影響はすごく大きいかもしれません。あとは藤原ヒロシさんと一緒にいることも多くて、ヒロシさんが自分の年齢のときにどんなものを選んでいたのか聞く機会もあります。そういう話をしながら、気になったものをチェックしたりしていますね。ヒロシさんは色んな経験をしているから、やっぱり学ぶべきことがたくさんあるんです。

ーそうした中で宮﨑さんの琴線に触れるものがどういったものになるのか気になります。

宮﨑:デザインはシンプルなものが好きですね。そして、長く使えるかどうかとか、自分にとって価値があるものかどうかがやっぱり大切なポイントですね。年齢を重ねることで無駄遣いをしなくなりました。今年33歳になるんですけど、以前はとにかくいろんなものを買って試していたんです。それこそ「流行っているから買ってみよう」っていう、ただそれだけの理由で買い物をしていたこともあります。だけど、そういった経験を経て、自分にとって価値があるものだけを選ぶようになりました。

ー買い物の経験値を溜めていくことで、その感覚がどんどん研ぎ澄まされていったわけですね。

宮﨑:結局、最初に入門編みたいなものを買っても、最終的にはより優れたものが欲しくなる。だったらきちんと下調べをした上で、自分の気持ちが満足するものを買いたいなと。以前、カメラを買ったときにちょっと悔しい思いをしたことがあって。そこで勉強させてもらいました(苦笑)。

だけど、それでよかったなと今になって思います。僕は買ったこともなかったり、経験したこともないのに物事を否定するのは好きじゃないんです。もちろん、人によって好き嫌いはあると思います。だけど、それをするのは実際に使ったり、経験してからのほうがいいのかなと。

ーそうした買い物をするのに、誕生日などの節目はいい機会になりそうですね。

宮﨑:新年、自分の誕生日、ブランドの周年、それにクリスマス。色々とイベントはありますね。その他にも細かなご褒美は毎月のように買っているかもしれないけど、そうした節目には自分自身にとって特別なものを買いたいっていう気持ちになりますね。

あとは、やっぱりどういう想いやシチュエーションでそれを買うのかっていうのが大切になってくると思うんです。例えば、〈ティファニー〉のアクセサリーを買うにしても、国内で買うよりもニューヨークの本店で買ったほうが気分は上がりますし、特別感が増しますよね。そしてそれが思い出に残ったり。そういうお金では買えない付加価値があるような買い物の仕方をしたいなって思います。

ー最後に、今年は宮﨑さんにとってどんな年だったか、そして来年はどんな年にしたいか教えてください。

宮﨑:コロナの規制が緩和されて海外出張に行ったり、街にも外国人が増えたりとか、ようやく終わりが見えてきたように感じます。コロナ禍の3年間、僕なりに楽しく過ごしてきましたけど、今年になってからやっと日常が戻ってきた感覚があります。今月は名古屋にお店をオープンしたり、来年はブランドの設立10周年でもあるので、より気持ちを引き締めて頑張ろうって思っています。今まで10年間1つのことを続けたことってないんですよ。来年の10周年に向けて気合が入ります。今はその準備中ではありますけど、さらに忙しくなりそうなので、今後ともぜひご期待ください。

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