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家電を作る人、使う人。2つの視点からTWINBIRDを紐解く。
ABOUT THE GOOD LIFE

家電を作る人、使う人。2つの視点からTWINBIRDを紐解く。

「いい高さの冷蔵庫だな」。家電メーカー「ツインバード(TWINBIRD)」のショールームに入った瞬間そう思ったのは、きっと、潜在意識下にあったストレスのありかを言い当てられたような気がしたから。家電をひと目見て、ごく自然と暮らしに思いが巡ったとたん、彼らがライフスタイルメーカーを標榜するわけがスッと腹落ちしました。そう、「ツインバード」は家電メーカーであることにあきたらず、ひとびとの暮らしを豊かにする企業になるべく2021年にリブランディングをはかりました。新たに「匠プレミアム」「感動シンプル」というふたつのラインをたずさえ、都会と田舎、日常と非日常、アナログとオートマ……、さまざまな二律を軽やかに飛び交う。フイナムでは、その家電を「作る人」と「使う人」のそれぞれの視点から紐解きます。

  • Photo_Kazuma Yamano
  • Text_Masahiro Kosaka(CORNELL)
  • Edit_Yuri Sudo

CONTENTS

作る人・
古川泰之、小山 秀一郎
使う人・
相場正一郎

作る人・古川泰之、小山 秀一郎 「匠プレミアム」と「感動シンプル」。豊かな暮らしを二極で支える。

第一章では、「作る人」の話を聞きに日本橋のツインバードショールームへ。迎えてくれたのは、「ツインバード」ブランド戦略部 次長・古川泰之さんと、hakuhodo DXD アートディレクター・小山 秀一郎さん。ふたりは、リブランディングに際し小山さんが「ツインバード」と協業する形でチームを組み、コンセプトづくりから商品企画、コミュニケーションビジュアルのディレクションまで、広く取り組んできた。

写真左が古川さん、右が小山さん。

ー事前にブランドサイト上の「ものづくりと物語」というコンテンツを拝見してきました。商品開発の紆余曲折が、開発者の想いや試行錯誤の過程に焦点をあてながらていねいに綴られていて、失敗すら包み隠さない正直さ、ある種不器用なあけすけさに、じんわり胸が熱くなりました。

古川:ありがとうございます。

ーそうした精神は、創業からブランドに根付いているのでしょうか?

古川:あまり見せびらかすのは得意じゃないかもしれません。とくに新潟本社のスタッフたちは、職人気質で、寡黙で真面目なタイプが多い。でも、小山さんはそんな彼らにこそスポットライトを当てるべきだと言ってくれました。

小山:「ものづくりと物語」は、そうした想いから、うちのコピーライターと一緒につくっています。

ーなるほど。おふたりのファーストコンタクトは、リブランディングの話が出た当時ですか?

古川:そうです。弊社は創業72年、新潟県の燕三条に創業した会社です。いまでこそ家電メーカーとして知られていますが、もとはスプーンや爪切りなどをメッキ加工する会社でした。燕三条といえば金属加工の産地ですからね。それが、およそ39年前から家電業界に足を踏み入れ、近年では独自の冷却技術を生かしてコロナウイルスワクチン輸送用のワクチン運搬庫を開発したことで、会社の知名度も上がりました。小山さんをはじめ博報堂の方々と一緒にリブランディングをはじめたのもちょうどその頃ですね。

ーなかでも小山さんの役割は?

古川:たとえばロゴの変更など、おもにアートディレクション方面ですね。

ー2羽のツバメが寄り添う、あのロゴのことですね。

古川:昨年、「ツインバード工業」から「ツインバード」へ社名も変更しました。単なる家電メーカーではなく、これからは、暮らしをつくるライフスタイルメーカーに。そうした意志を込めて。

リブランディング後の新しいロゴ

ー小山さんは、信頼関係こそが仕事の要だと別の場所で話されていましたよね。その点、古川さんとの仕事はどうでしたか?

小山:「ツインバード」では、幸せになってくれる相手の顔を見ながら仕事ができたと思います。それも、隣で一緒に仕事をしている古川さん自身が喜んでくれることが、商品自体やブランディングにもつながっていくんです。幸せになる人の解像度が上がるって、豊かなことだと思う。そんなところに、仲間でつくっていく意義を感じたりしました。

古川:お互い美術大学卒で、僕も、もともとプロダクトデザインをやっていたんです。そうした意味でも、同じ目線で日々議論したり、熱い想いを交わしたりすることができました。だから、クライアント対制作者というより、一緒につくる仲間、という感覚でした。

小山:新潟にも何度も行きましたね。酒造にも行ったし、日本酒もたくさん飲んだ。それで、プライベートでも仲良くなっちゃって、一緒にキャンプ行ったり、カラオケ行ったりね。

ー「ツインバード」のロゴには「作り手と使い手の“共創”」が掲げられていると伺いましたが、おふたり自身も、ほかでもない共創の関係だったと。

古川:たとえば、ひとつの商品のプロモーションを制作するにあたっては、必ず、開発者や作り手のいる工場、燕三条の地域、生活者の暮らしのなか、という3つの環境で撮影するんですよ。それぞれの場所に置かれたときの、それぞれの見え方を大切にしたくて。小山さんとはその全部でしっかりと話をしてきました。とても豊かな時間でしたね。

小山:それこそ、“豊かさ”についてはよく話をしてましたよね。都会ってめちゃくちゃ便利で効率がいいし、カラオケも楽しいけど、新潟のでっかい自然のなかでキャンプする、そうした豊かさもあるし、「ツインバード」はそのどちらにも立っていたいよねって。

小山:暮らしの“豊かさ”を「ツインバード」の商品に落とし込むには。そんなことを考えてきましたよね。

古川:「匠プレミアム」と「感動シンプル」という2つのブランドラインは、まさにそこから生まれたものです。

小山:「匠プレミアム」は、“匠の暗黙知”みたいなものを宿らせた家電商品群。たとえば「防水ヘッドケア機」は、ヘッドセラピストの極上のもみほぐしを体験できるように。「全自動コーヒーメーカー」は、熟練のバリスタが一杯ずつ豆から挽いてハンドドリップしたかのような味わいを表現できるように。

古川:「ジョジョのスタンドみたいな」って、小山さんはよく表現してますよね(笑)

小山:うん、匠が乗り移る。たとえばこの「全自動コーヒーメーカー」に乗り移っているのは、今回監修をお願いした南千住の喫茶店「カフェ・バッハ」の田口護さん。

“コーヒー界のレジェンド” 田口護氏監修のもと、豆の風味を損なわない低速臼式フラットミルと、6方向からお湯を注ぐシャワードリップでプロのハンドドリップを再現。83℃と90℃の2段階の適温抽出で、豆本来の味を引き出す。

古川:田口先生は、コーヒー界のレジェンドです。2000年の沖縄サミットでは国からお呼びがかかって、各国の首脳たちにコーヒーを振る舞ったことでも知られています。喫茶店経営にとどまらず、豆の産地をしょっちゅう飛び回っていて、農園の開拓や教育にも力を入れている。コーヒー文化を次世代へと継承していくことを、本気で考えて、実践している方です。

ー喫茶店文化の礎を築いてきた重鎮であるだけでなく、コーヒー業界そのもののことを深く考え、いまなお世界で活動されていると。

古川:それだけに、最初に先生のもとに伺ったときは、「コーヒーメーカーなんて邪道だ」って言われるんじゃないかとドキドキしました。それが、開口一番「ライフスタイルは時とともに変わっていくべきだ」っておっしゃるんです。毎日ハンドドリップでコーヒーを淹れたくても、忙しくてできないときもある。そのときに機械の力を借りるのも、ライフスタイルだと、賛同してくださって。

小山:でも、「いまのコーヒーメーカーはけしからん!」って話にもなったんですよね?(笑)

古川:そうそう。挽き目はぜんぜん揃ってないし、挽くときに豆に熱が加わって雑味が出てしまう。湯温も高温すぎる、と。そこで開発したのがこの「全自動コーヒーメーカー」でした。いちばんの見どころは低速臼式フラットミルとその刃です。手裏剣みたいなかたちの2枚の刃を合わせ、低速回転させる。それが味の大きな決め手になっています。

ーこんな形状のミルは見たことないですね。通常は、何十もの細かい刃で形成されていますよね。

古川:この刃によって、押しつぶすのではなく、ハサミでカットするようなイメージで豆を挽けて、粒度が揃う。田口先生が最初にこの構造を見たとき、「これは新潟でないとできないね」と太鼓判を押してくださいました。

小山:「全自動」といいながら、湯温や挽き方などはある程度のレンジから選べるし、本当にコアなコーヒー好きにもちゃんとささる商品だと思います。感覚的には、ライカのマニュアルカメラを使っているときに近い感じというか。

古川:さらにおもしろいのが、これ、コーヒーカルチャーも否定してないんですよ。挽くだけのモードも搭載してあって、つまりミルとして使うことで、挽いた豆を使ってハンドドリップでコーヒーを淹れられる。忙しい平日は機械の力に頼っても、お気に入りのケトルでコーヒーを淹れたいときもあると思うんです。

ー週末とか、来客時とか。

古川:アナログとオートマ、日常と非日常を行ったりきたりできる商品です。燕三条って、鶴口のケトルなどの産地でもあるので、そうしたプロダクトへのリスペクトも込めています。

ー「都会と田舎を行き来する豊かさ」の話にもつながりますね。

小山:そうした、文化まで実装されている感じが、超イケてますよね。なのに、「全自動コーヒーメーカー」って、さらっと言うよな……って、個人的には思ってますけど(笑)

ーつづいては「感動シンプル」シリーズの冷蔵庫について。実は、ショールームに入った瞬間、「いい高さの冷蔵庫だな」って思ったんです。個人的に、いま冷蔵庫の買い替えを検討しているのですが、容量を求めると、どうしても迫力が出過ぎるのが気になっていて……。「背伸びせず使える冷蔵庫」なら、家のキッチンに置いても圧迫感がなさそうです。

古川:こだわったのは、まさに高さなんです。通常、同じ400リットルくらいの製品は、平均的な身長の女性にとってはかなり使いづらいんですよ。とくに最上段は奥まで見えないし、手が届かない。この容量の冷蔵庫は大体180cm以上あるから、平均的な成人男性の視点からすると、2m20cmくらいの冷蔵庫を使っているようなもの。だから、ぐっと横幅を広げて、奥行きも縮めました。

すべての寸法を人のからだのサイズに合わせて設計した、新しいかたちの4ドア冷凍冷蔵庫。冷凍室の食品収納容量は、*351-400Lクラス最大の約72リットル。両開きのフレンチドアで扱いやすく、中身も見やすい。*独立野菜室を持つもの(2023年3月現在 国内販売 自社調べ)

中身が見える冷蔵庫 ¥200,000

ドアを開けずに中身が見える ”タッチ&ビュー機能” を搭載した、4ドア冷凍冷蔵庫。 ドアについたセンサーに軽く触れると、ハーフミラーが透けて、開けずに庫内が確認できる。

ー「なんで気づかなかったんだ!」という観点ですね。

古川:気づいてみると、そうですよね。でも、「届かない」という “潜在的なストレス” に気づいている人は、意外と少ないかもしれません。

ー“当たり前” の裏に隠されていた不便や不満をすくいあげ、家電を開発することで、それを解消すると。

古川:使うひとの気持ちに寄り添って本当に必要なものは何か、その本質を考えて、圧倒的にシンプルなものをつくる。それが「感動シンプル」の考え方です。現代の家電は便利さを売りにして、多機能すぎるきらいがあります。かえって不便なこともありますよね。100万人のファンを狙うより、たった5万人に圧倒的に愛される。「ツインバード」全体のそんな想いにもつながります。

ー「背伸びせず使える冷蔵庫」。ネーミングにストレスを取り払った痕跡が見えるのもいいですね。どんな不便を解消してくれるのか、一目でわかる。生活のほかの部分も見直してみたくなります。

小山:効能が見えるのはいいですよね。すべてのお客さまに時間をかけて話ができるわけじゃないので、いかにわかりやすくネーミングしていくのかには、こだわりました。

小山:今後は、この2つのラインをしっかり “面” で提案していきたいのが僕の想いです。そうすることが、多くの人の暮らしをより豊かにすることにつながると思う。

ーたしかに、ただ「家電を買った」で終わらず、「家族とのこんな時間が増えた」「生活のこんな不便が解消された」「この家電をだれと一緒に使いたい」など、ツインバードの家電を使うことでそうした気づきがたくさんありそうですね。

小山:「from 燕三条」ということも、もっと声高に伝えていきたい。たとえば今治タオルのように、家電に産地があるっておもしろくないですか? 

古川:今年の2月に「BEAMS」さんとポップアップストアを開催したのですが、カトラリーや鍋など、同じ燕三条のメーカーが一堂に会しました。お客さまも、その空間を楽しんでくれたようで。

小山:東京って、編集された街じゃないですか。でも、ものづくりにおいての最先端はやっぱり地方なんですよね。

古川:新潟県は米どころであり酒どころであり、大正デモクラシーの頃、日本が西洋化するときに洋食を食べるための日本製のフォーク・ナイフ・スプーンを最初につくったのもこの土地でした。おいしいものをおいしく食べる文化や長い歴史があるんですよね。

INFORMATION

TWINBIRD

問い合わせ先:ツインバードお客様サービス係
電話番号:0120-337-455
承り時間:平日-月曜~金曜9:00~17:00 (土・日・祝日・弊社休業日は除きます)
公式Instagram
公式サイト

【ツインバードのある暮らし。新生活キャンペーン】
賞品に新潟の古民家ホテルの宿泊券などをご用意したInstagramの投稿キャンペーンを実施中(投稿締切りは5月10日まで)。詳細はInstagram公式アカウントのピン止め投稿、またはリンクツリーのキャンペーンページリンクをご覧ください。

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