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FEATURE
たかがTシャツ、されどTシャツ。 10人のMY BEST Tシャツ。
MONTHLY JOURNAL JULY 2023

たかがTシャツ、されどTシャツ。
10人のMY BEST Tシャツ。

Tシャツほど着る人のスタイルが表れたり、その人だけのストーリーが込められたファッションアイテムはないかもしれません。旅先で手にしたものに、無地だからこそ素材やシルエットにこだわったり、憧れの先輩といっしょにつくったTシャツだったり。興味のない人からしたら、たかがTシャツかもしれません。でも、その人にとったらスペシャルなもので、ある意味“究極の自己満”なファッションアイテムとも言えるはず。10人が選ぶ今夏のお気に入りTシャツに込められた、そんなスペシャルなストーリーを聞きに行きました。

STYLE8.竹村 卓

PROFILE

国内外で活躍する編集者、ライター。〈エルブリトス スケート アミーゴス(El Burrito’s Skate Amigos)〉を主宰し、自らプリントを手掛けている。著書に『New New Thailand 僕が好きなタイランド』(トゥーヴァージンズ)や『ア・ウェイ・オブ・ライフ~28人のクリエイタージャーナル』(Pヴァイン・ブックス)がある。現在、タイ国政府観光庁のウェブサイト内で「ニューニュータイランド 僕たちが好きなタイランド」を連載中。
Instagram:@taqueria_tokyo、@meandmyburrito

スーベニアグッズへの愛。

13歳でスケートボードと出合い、アメリカンカルチャーに憧れて21歳の時に渡米した竹村さん。アメリカ横断・縦断したことがあるというだけに、そのアメリカ愛は計り知れません。そんな竹村さんが好きなのが、レストランやカフェ、ミュージアムなどに立ち寄った際にオリジナルグッズをチェックすること。

「なかでも、ダイナーとか、タコス屋みたいな、地元のお店のグッズが大好きで。いま着ているTシャツも、1930年にオープンした『ホテル パイサノ』というホテルのコーナーで買いました。ドナルド・ジャッドがアトリエを持っていた、テキサス州のマーファという場所にあります」

1930年に建てられた「ホテル パイサノ」は、1956年公開の映画『ジャイアンツ』でこの地を訪れた、ロック・ハドソン、エリザベス・テイラー、ジェームス・ディーン、デニス・ホッパーが宿泊した歴史のあるホテル。4人の名前を冠したスイートルームもつくっています。

胸元に単色刷りのワンポイントという、主張しすぎないこのさりげなさがいい。ササっとノリでデザインされたんでしょ、なんて思っていたら大間違い。ホテルのクラシックな紋章に、異なる字体を組み合わせるなど、シンプルな中に考えられたデザインが光ります。

「マーファの街にはオシャレなホテルやグランピング施設もあるんだけど、ここがすごくよかったんだよね。このTシャツも、由緒正しそうなデザインを胸元だけにプリントするという、バランスがかわいいなと。普通なら背中にもプリントを入れてしまうけれど、そうしないのがいいですよね。1着しか買わなかったけど、何着も買えばよかったな」

カレッジものも好きで、大学のコープにも立ち寄るそうですが、「最近はスポーツっぽいボディが増えてきて残念」とのこと。思わずベースとなるボディの好みを聞いてみると、納得のいく答えが返ってきました。

「このTシャツも〈ギルダン〉のボディを使っているんだけど、やっぱり昔ながらのコットンの、どこにでもある感じがいいんですよね。最近は、自分でつくっている〈エルブリトス スケート アミーゴス 〉の服を着ることが多いんですけど、縫製がいい〈ギルダン〉があったら最高だなって(笑)。ボディをつくってみたい気持ちはあるんだけど、借り物感と言いますか、サンプリング文化と言うのがよくて、ありものボディにプリントしています」

Tシャツはほぼ服屋で買わないと言う竹村さんですが、着心地にひかれ例外で毎シーズン買っていると教えてくれたのが、〈ザ・ノース・フェイス パープルレーベル〉のクールマックス混のネイビーの2枚パックT。そんなことをサラッと言われたら、名品の予感しかしません。

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