新生活にぴったりな髪型ってどんな感じ？

ヘアサロンがひしめき合う代官山に、今年3月末にオープンした「miles」。オーナーを務める小野貴史さんは、14年ほどこの近辺のヘアサロンに立ち、約2年フリーで活躍していた確かな腕の持ち主です。店名は音楽や映画などのサブカルチャー好きに集まってもらいたいという願いから、ジャズ界の巨匠、マイルス・デイヴィスの名を拝借。小野さんと15年来の付き合いだという3人と一緒に店を運営しています。

お店は代官山駅から歩いて数分の場所。物件探しに難航していたとき、この場所で営業していた美容室が移転して空くことを、いつもカットしているお客さんから教えてもらったそうです。ちなみに内装を手がけたのも、お客さん。小野さんとお客さんの信頼関係の深さが窺えます。

店内は自然光がしっかり入る明るい空間です。まず気になったのはインテリアで、ル・コルビュジエの代表作「LC7 スイベルチェア」のリプロダクトがスタイリングチェアとして使われています。話を聞くと近々〈USM〉のサイドボード「USMハラー」を設置する予定なのだとか。写真では見えませんが、シャンプー台のそばには〈スティルノボ（Stilnovo）〉をオマージュしたライトもあり、そのセレクトセンスはさすが。スピーカーは1986年に製造された〈タンノイ（TANNOY）〉で、上質な音が店内に流れます。そんな空間のなかで過ごす時間はいい気分転換になるはずです。

壁にはアメリカ人俳優のヴィンセント・ギャロが監督を務めた映画『ブラウン・バニー』のポスターが飾られ、入り口の近くにはカセットテープや日本の昔懐かしいカルチャー誌をラインナップ。それらは小野さんの好みで揃えられています。1990年代や2000年代初頭を知らない世代にとっては新鮮で、洒落た先輩から音楽やファッションを教えてもらった子どものころの感覚が蘇るはず。髪をカットしてもらっているときには、小野さんたちと映画や音楽の話に花が咲きます。

カットされるひとのことを考え、似合うヘアスタイルの提案を最も大切にしたいという小野さん。新生活にフレッシュさが欲しいなら、普段は掛けないパーマをゆるくかけてみたり、ヘアスタイルのニュアンスを少し変えたりするだけで、気分も大きく変わるといいます。髪型に迷ったら、イメージしている方向性を伝えて相談してみると、新しい自分に出会えるかもしれません。

今回つくってもらったのは「耳が隠れるくらいの長さで清潔感のあるスタイル」。モデルの方は年末にニュアンスパーマをかけていて、クセ毛になじんできた状態。やや乾燥ぎみの髪質かつ毛量が多く膨らみやすいので、その重さを活かしつつ全体を梳くことで膨らみにくくしています。襟足はタイトに仕上げて、すっきりとした印象に。カジュアルさもある大人のスタイルが完成しました。

ワックスはキープ力が高いハードタイプの「ダンスデザインチューナー ロッキンムーブ」、ジェルは潤いのある質感をナチュラルに演出する「モデニカ ナチュラル J」。この2つがあれば、大抵のヘアスタイルをカバーできるとのこと。濡れた髪をタオルで乾かしたあとに、ワックスとジェルを1：1で混ぜて髪になじませます。今回はワックスのホールド力とジェルのツヤ感で、ゆるく残ったパーマを活かし色気のある仕上がりとなりました。