オーダーでつくれるんだったら、もうそれってゴールなんじゃないかな?

―そもそも「ロット・ナンバーワン(LOT No.1)」を知ったのはいつ頃だったんですか?
金子: 去年の12月かな? 田(デン)さんともうひとり、〈リーバイス®︎︎︎〉の方にお会いする機会があったんです。そのときにお話を聞いていたら「このデンさんっていう人が実は職人で、『ロット・ナンバーワンっていうのをやってます』」と。そんなサービスがあったんですね!? となったとこからです。
―知ってから「やってみたい」までは早かったんですか?
金子: そうですね。〈リーバイス®︎︎︎〉はぼくも昔からヴィンテージを買ったりしていたけど、オーダーでつくれるんだったらもうそれってゴールなんじゃないかな? って。自分のサイズで好きな表情のリーバイスがつくれるならもうそれでいいや、みたいな。ぼくが〈リーバイス®︎︎︎〉を追い続けてきたことの終止符として、オーダーしちゃおうと。本当はもっと早くに来たかったんですけど、少し遅くなっちゃいました。
―それで、実際にオーダーされたものの話ですけど、どんな風にイメージを固めていったんでしょう?
金子: “TPO”みたいなテーマでやってみたいなって。トラッカージャケットとジーンズのセットアップっていうのを、もっといろんなTPOで使えるようにできたらいいなと思って挑んだんです。それで、素材を色々見せてもらったら、夏向けにいい素材があるなと。ヴィンテージだと夏はなかなか穿けないし、気軽に穿けるのがあったらいいよなと、その生地を見て思いました。その生地感が、「701」っぽかったんですよ。

〈リーバイス®︎︎︎〉初の女性用5ポケットジーンズ「701」。写真は現行の〈リーバイス®︎︎︎ ビンテージクロージング〉のもの。
―マリリン・モンローが穿いていたウィメンズの型ですよね?
金子: そうそう。「701」が昔からホントに好きで。色落ちも形も結構良いのが出てくるんですけど、ぼくはサイズ的に穿けないから諦めてたんです。「701」はカミさんに買ってあげてばっかりで。いい「501®︎︎」が出てきたときよりも、いい「701」を発見した時のほうが結構テンション高い気がします。
―バイヤーとしての性って感じですね。今回選ばれたこの生地、普通の「501®︎︎」なんかよりも少しだけ薄いですよね?
金子: はい、色もライトオンスって感じですよね。リジッドから洗って、しばらく穿いたくらいの感じが良さそうだなと。昔、〈リーバイス®︎︎︎ビンテージクロージング〉が始まる前の〈リーバイス®︎︎︎〉の復刻物をめちゃくちゃ買ってて、いまもいっぱい持ってるんです。信じられないくらいボロくなってるんですけど。

デニム生地は15種類から選べる。悩んだ挙句、701をイメージして11.7オンスの薄手のデニム生地を選択。
―それは最初から結構エイジングされたヤツだったんですか?
金子: いえ、復刻はリジッドしか買ってないです。それこそシンチバックがついてるやつとか、古い〈リーバイス®︎︎︎〉のライトオンスが結構好きでしたね。そういう過去のいろんな点が今日のこの生地に繋がった感じ。それがこう、ギュッと入ってるんだけど、ヴィンテージのゴリゴリの復刻みたいなものをつくるつもりはまったくなかったです。

ボタン、タブ、ステッチといったパーツもそれぞれ数種類の中から好みのものを選択できる。ステッチの色は縫製箇所によって変更することも可能。

ヒップポケットの位置やサイズ感は大戦モデルを参考に。
―史実の再現というような視点ではないと。
金子: はい。ステッチやライトオンスのデニムは「701」みたいで、だけど大戦モデルのディテールを入れたり。結果的にはそんな風になったんですけど、ぼくとしては夏に着られるセットアップがつくれたらいいなっていう気持ちでした。事前にあんまりイメトレできてなかったから、ぶっつけ本番でしたね(笑)。でも生地を見た瞬間、いろいろアイデアが降りてきました。