久しぶりにアートブックに触れ、やっぱりいいなと再確認。
本日の出店を終えた三田さん、「せっかく都内に来たので、気になる本屋さんへ行きたい」と、手際よく片付けをしてカングーに乗り込みます。

三田さん流の運転の楽しみ方は、「オーディブル」を聴くこと。プロのナレーターによる音声サービスを利用して、人気の小説を聴きながらドライブの時間を有意義なものにしているのだとか。
「前までは音楽を聴いたり、ラジオを聴いたりしていたんですが、ここ数年は決まって『オーディブル』を楽しんでいます。運転と、聴く小説の相性って抜群なんですよ。意識はもちろん運転に集中しているんだけど、容量をすべて使うわけじゃないですよね。そこにある空いた脳の領域にオーディブルがピタッとハマるんです。聴き流せるラジオとはちがって、物語を聴きながらストーリーを追いかけるのがいい。適度に集中力を継続させてくれるから、飽きないし、眠くもならないのでおすすめです」


本屋のオーナーらしいドライブの楽しみ方を教えてくれた三田さん。「オーディブル」を聴きながら、次の目的地へと向かいます。
「これから伺おうと思っているのは『ATELIER』という本屋さんです。オーナーの早水さんはぼくと同じく『TSUTAYA TOKYO ROPPONGI』の出身者で、その後に古書店での勤務を経て独立されたんです。アートブックやデザイン系の古書を中心に扱っているんですが、以前はオンラインとイベント出店のみという形態でした。それが最近はアポイント制でお店にも伺えるようになって、ずっと気になっていたんです」

本屋さんが気になる本屋さんということで、期待に胸が高まる中、「カングー」は参宮橋にある「ATELIER」を目指します。


閑静な住宅街の中にポツンと建つマンション。その1室に「ATELIER」はお店を構えています。奥行きのある部屋は窓に向かって左右の両壁を本棚で埋め尽くしたレイアウト。デザインやアート系の古書がびっしりと収納されています。もともとは建築やデザイン系の事務所として使われていた場所を、そのまま居抜きで使用しているのだとか。大きな窓から入る気持ちのいい日差しも、空間の魅力を高めています。


「SNSで見ながら『内装が素敵だなって』ずっと思っていたんですけど、居抜きと聞いてびっくりしました。そうは思えないくらい早水さんらしい空間になっているというか。デスクとして使われていた部分は、大型のアートブークも置きやすくて、すごく理に適ってますよね」

気になるアートブックを見つけ、早速レジへと向かう三田さん。本を眺めながら「久しぶりにアートブックを手に取って、やっぱりいいなって再確認しました」とうれしそうに話します。
「『BOOK TRUCK』も団地の本屋も、そこまでアートブックの需要がないんです。だから遠ざかっていたんですけど、久しぶりに見て、むかし働いていたお店のことを思い出しました。当時の気持ちが蘇ってきたというか、アートブックって見ているだけで楽しいし、刺激的ですよね」

気になっていたお店に来て、うれしそうに買い物をする三田さんを見ていると、本当に本が好きなんだと実感します。「ATELIER」のことも、すごく気に入っていた様子です。
「扱っている古書はマニアックになりすぎず、なおかつ値段も手を出しやすい価格に設定されているので、アートブックの専門店でありながら間口が広いところが魅力的だと思いました。空間もとても素敵だし、すごくバランスのいいお店ですよね」
