野を越え山越え谷越えて、栄光のフィニッシュゲートへ!
夜が明けて、レース2日目。空を覆っていた分厚い雲は徐々に去り、青空が広がっていきました。

8時40分、9つめのエイドステーションに山本がやってきた!

「あー! 疲れた! しんどい! 眠い!」。吐き捨てるように言う山本。ここは約93キロ地点。スタートから丸一日以上が経過しています。疲れないわけがないし、眠くならないわけがありません。

ここは最後のエイドステーションであり、最後の関門でもあります。あとはフィニッシュに向かって突き進むのみ。


手短に補給を済ませ、エイドステーションを出発する山本。フィニッシュまで残り12キロ、制限時刻まで残り5時間。大きなトラブルでも起こらない限り、完走は間違いない、はず。


しばらくすると、柴山も姿を見せました。山本が最後のエイドステーションを出発した2時間後のこと。

着実に前へ進んでいるものの、足取りは重い。フィニッシュの制限時刻まで残り3時間。順調にいけばフィニッシュまでたどり着けそうですが、ペースを落とせば間に合わない可能性も。予断を許しません。
そして11時45分、羊山公園のフィニッシュエリアに、山本の姿が!


山本博史、フィニッシュ! タイムは29時間45分42秒。100キロという途方もなく長い距離を、見事に走り切りました。
そのとき柴山は、フィニッシュ地点の5キロほど手前、このレースの最後の山を下っていました。さすがにペースは落ちていますが、一歩一歩着実に、力強く進んでいます。


最後の山を下り切りました。フィニッシュまで、あとわずか。
山本に遅れること1時間半、柴山もフィニッシュエリアへ!

柴山英樹、フィニッシュ! タイムは31時間19分55秒、制限時刻の40分前! 持てる力はもちろん、持っていない力までも総動員し、完走を果たすことができました。
今回の完走率は68.71%。約3割の選手が道半ばで涙を飲み、レースを終えました。天候は全体を通して概ね良好だったものの、夜間はにわか雨が降って気温が急降下し、「昼と朝晩の寒暖差が激しかった」と山本と柴山は口を揃えていました。コースに関しては「中盤以降のアップダウンの激しさに辟易した」とも。


野を越え山越え谷越えて、100キロという長い距離を走り切った山本と柴山。大きなトラブルや怪我もなく、制限時間内にフィニッシュへたどりついたことがなによりであり、ふたりが達成感に満ちあふれていることは、フィニッシュ直後の彼らの表情からうかがい知ることができるでしょう。「完走」というこのうえない結果を得て、大いなる満足とともに、「フイナム ランニング クラブ♡」の「FTR 秩父&奥武蔵」の100キロの部への挑戦は幕を閉じました。