NEWS

連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.135 “どうでもいい”をあえてこだわる。そんなラルフのマルチボーダーポロ。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

この連載もいつの間にか17シーズン目! 新たにショップが全て入れ替わり、第135回目は、吉祥寺で今年10周年を迎えた「アンサンブル(Ensemble)」の2巡目。オーナーの竹内さんは、今回どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


竹内博昭 / Ensemble オーナー
Vol.135_1990年代〜2000年代初頭頃のポロ ラルフ ローレンのポロシャツ

ー2巡目の今回は、どんなニュー・ヴィンテージをご紹介いただけるのでしょうか?

前回は〈アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch )〉でしたので、今回もアメトラ繋がりで王道中の王道〈ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)〉の、これまた王道中の王道アイテムであるポロシャツです。といっても、種類・デザインなどあまりに数が多すぎるため“1990年代〜2000年代初頭頃のボーダー柄”という縛りを設けてご紹介したいと思います。

ーこういったボーダー柄のポロシャツって、筆者(45歳)の父親世代が80年代〜90年代に着ていたなってイメージがあります。店頭での反応はいかがでしょうか?

正直、たいして動きはしません(笑)。今回は…いや前回のアバクロもそうでしたが、ぼくが〈ポロ ラルフ ローレン〉もボーダーもポロシャツも好きということで、三拍子揃ったアイテムとして集めていたので、もっとみんなにも好きになってもらいたいなって。といっても、あくまで判断基準は“ぼくの個人的主観”にはなりますけどね(笑)

ー個人的主観はニュー・ヴィンテージを語る上で重要なので全然OKです! では早速、アイテムを見せてください。

まず素材ですが、基本は100%コットン。生地でいうとカノコが定番。まずはそちらから。ぼく的にはピッチの異なるボーダーと色を複数組み合わせたマルチボーダーが好みで、ベースカラーはちょっと知的で大人な感じがするブルーやネイビー、グレーを選びがち。

ポロ ラルフ ローレンのポロシャツ ¥8,690(アンサンブル)

中には、同じコットン100%でもカットソーやハイゲージのニットのようなソフトで伸縮性のある生地のものもあります。こちらがそれで、やや大人っぽく高級感のある雰囲気。

ポロ ラルフ ローレンのポロシャツ ¥8,690(アンサンブル)

ーこう言っちゃなんですが、見た目はすごく地味ですね。

そもそも夏のトップスといえば、第一にTシャツ、第二に半袖シャツ、そこから随分下がった第三候補に上がるのが半袖ポロシャツだと思うんです。その立ち位置も含めてアリかなって。ですが地味なりに意識したいポイントはあります。まず身幅。今回用意した“1990年代〜2000年代初頭頃”のシルエットは、比較的ゆったりめ。これによってイマドキのシルエットにも対応しやすくなっています。

ーシルエットは大事ですね。これでタイトめだと、それこそ“父親世代のあの頃感”が強くなってしまいます。ディテールで注目すべき点は?

基本的にどれも一緒ですが、袖先の仕様はリブとボディと同素材で作られたモノがあります。でもそれも、比較対象が並んでいる上でよく見ないと気付かない部分ですが。

―〈ポロ ラルフ ローレン〉ということは、やっぱりアメリカ製が人気ですか?

ポロ ラルフ ローレンのポロシャツ ¥8,690(アンサンブル)

ウチではあんまり気にしていません。今回紹介する中だとこれが唯一のアメリカ製ですが、ちょっと変な配色で万人ウケがしないけど、刺さる人には刺さる感じですし。

―たしかに渋め。生産国もいろいろありますよね。

中国、ペルー、ボリビア、スリランカ、シンガポール、マレーシア、フィリピンなどなど。別に品質の差があるワケではないのですが、経験則というか体感値的に「お、この色と柄イイじゃん!」と思ってタグを見たら、ボリビアとペルーだったということが多々あるので、この2つの生産国はテンションが上がります。

ポロ ラルフ ローレンのポロシャツ ¥8,690(アンサンブル)

ポロ ラルフ ローレンのポロシャツ ¥8,690(アンサンブル)

ー次はこちら。このタグに刺繍されている金色の小さな丸って、何を意味しているんですか?

ポロ ラルフ ローレンのポロシャツ ¥8,690(アンサンブル)

諸説ありますが、B級品やアウトレット品を意味しているとのことです。こちらはグレーベースでピッチと色の異なるボーダーで要素多めのようですが、意外とまとまりのよい1着です。

ーサイズに関してはいかがでしょうか? なんとなく古いカノコのポロシャツってタグのサイズ表記と実測値が結構違うことも多いなと。

ぼくの場合、ボーダーの柄&色さえ良ければ、SでもXXLでも買い付けちゃうのであまり気にしていません。なぜなら、サイズ感ってお客さんの好みじゃないですか。1枚でジャストに着たい人もいれば、大きめの下にTシャツやロンTを重ねて着たい人もいるでしょうし。

ー竹内さんだったら、どう着こなしますか?

夏場なら、ゆとりのあるシルエットのチノショーツとラフに合わせて、バランスを取ってという感じですかね。世の中的に無地のポロシャツ=オジさんの着る服っていうイメージが根強くあるじゃないですか。そこでボーダー柄のアクセントが加わることでアリになる。それはポロプレーヤー(PP)のロゴ刺繍も然り。着れば“いい人そう”に見えるのに、逆に着る人が着ると“すごく不良っぽく”も見えますし。

ー「君たちはどう着こなすか?」と問いかけてくるようなアイテムですし、マウンティング合戦とまったく無縁という点もイイ!

無地に比べると、ボーダーの方がタマ数自体は少ないと思うのですが、文字通り星の数ほどのバリエーションが存在するので、ここで紹介したモノと完全に同じモノが簡単に見つかるかと言えば、そうではない。でも¥10,000以内のプライスで普通に買える。これくらいの価値観がちょうどイイんじゃないかなと。ウチだって¥8,690均一ですからね。

ー年代ディテール関係なく均一価格で、しかもどちらかといえば没個性。そこもこのアイテムっぽいですね。

今回取り挙げたようなマルチボーダー柄の場合、色を拾ってレイヤードしたアイテムやシューズ、帽子や小物の色とも合わせやすく、要は着こなしに取り入れやすい。ニュー・ヴィンテージ的なモノ選びとしては、そういった点も大事だと思っています。

ー〈ポロ ラルフ ローレン〉の、それもボーダー柄ポロシャツを見る目が変わりました。

極論ファッションに興味がない人でも〈ポロ ラルフ ローレン〉は知っているワケじゃないですか。ヴィンテージとして評価されているアイテムもあってマニアもいますし。でも、それってひとつの側面であってインラインでみんなが着ている大多数はそうじゃない。その“そうじゃない”ポロシャツに面白さを見出すと、もっと〈ポロ ラルフ ローレン〉を楽しめるんじゃないかなって。

ーこだわるほどに深みにハマっていくみたいな。

それこそ底なし沼みたいな(笑)。個人的にはボーダー柄のピッチとか色をメチャメチャ厳選していますが、周囲からすれば「あ、〈ポロ ラルフ ローレン〉なんだ」としか見られないし、どうでもイイとしか思われない。それで、いや“そこが”いいんだと思います。〈ポロ ラルフ ローレン〉のポロシャツは。

竹内博昭 / Ensemble オーナー
古着好きが高じて、自身で古着屋を始めようと2016年1月に「アンサンブル(Ensemble)」をオープン。自身のルーツであるアメカジをベースに“ジャンルに囚われず、おもしろいと感じたアイテム”を主にアメリカ買い付けでピックアップ。店内いっぱいに並ぶアイテムはどれもコンディション良好、プライスはお手頃。今年1月で10周年を迎えたばかり。
インスタグラム:@ensemble_kichijoji

TOP > NEWS

関連記事#NEW VINTAGE

もっと見る