バッグブランド〈フライターグ〉のプレスツアーで、スイスはチューリッヒを訪れた編集部。先日こちらの記事でブランドの本社や工場をご紹介しましたが、今回フォーカスを当てるのはチューリッヒ市内にある観光地の数々、そして食です。永世中立国だからこそさまざまな文化が流れ込み、不思議な調和をはかっている街・チューリッヒ。編集部員が目撃したその一端をレポートします。
- Photo_Ryosuke Hoshina
- Text & Edit_Yuri Sudo
- Special Thanks_チューリッヒ観光局、スイス政府観光局
国全体が金庫。
観光でチューリッヒを訪れたなら、そのコンパクトさに驚くはず。観光地と呼ばれるスポットが適度な距離感に点在していて、主要なところは4,5日もあればぐるりと巡れます。しかもトラム(路面電車)やバス、徒歩を使えば辿り着くので、スマホ片手に迷うこともありません。
通り雨前に空を覆った大きな雲。チューリッヒの天気は変わりやすく、予測できない。
さて編集部員は、プレスツアーの一環として、チューリッヒ市内にある2つの美術館を訪れました。スイスデザインに対する浅い知識を携えて行きましたが、すぐに圧倒されることに。スイスを取り巻くアート/デザインの膨大な歴史と奥深さを見ることになりました。
まずは「チューリッヒデザイン美術館」へ。
チューリッヒ中央駅からトラム/バスを15分ほど走らせると、最寄りの停車場「Toni Areal」に到着します。直線的でソリッドな建物がお出迎えしてくれ、聞けば建築事務所EM2Nによるものとのこと。チューリッヒ芸術大学も併設されていて、行き交う学生たちの洗練された佇まいに驚かされるばかりです。
「チューリッヒデザイン美術館」は、約150年前に創設され、約50万点超の資料を収蔵しています。コレクションは、ポスター・グラフィックデザイン・装飾芸術(テキスタイル、陶磁器など)・インダストリアルデザイン/プロダクトデザイン、の主に4分野で構成されています。
なかでも印象的だったのが、日用品も収集対象であること。たとえば、たばこのパッケージや百貨店で使われていたであろう紙袋、家電、コンセントに至るまで。ただフォルムやデザインが素晴らしいという観点だけではなく、その日用品の背景にあったスイスの出来事や歴史も合わせて紹介されているため、多角的に鑑賞することができます。
また、チューリッヒ芸術大学が併設されていることもあってか、芸術学校の学生とも協働しています。このときは「healing lights」をテーマにしたプロジェクトが行われていて、オブジェに特殊なライトを数秒かざすと、かざした部分が暗闇で光るという作品がありました。
スイスの歴史的なデザインたちの横に、瑞々しさあふれる斬新な作品が置かれている。そのふたつがあることで、この土地のものづくりの奥行きを感じさせてくれます。
次に訪れたのは「チューリッヒ美術館」。スイス最大の規模を誇るここは、1787年にその母体となる団体が設立され、1910年に最初の本格的な美術館建物が開館しました。ちなみに、建物はイギリスの建築事務所の「チッパーフィールド」がコンペの末、担当することになったとか。
旧館と新館があり、今回は新館をメインに鑑賞。3人の個人コレクターから長期寄託(長期貸与)されたコレクションが展示されていて、ひとつはエミール・ゲオルク・ビュールレ、ひとつはヴェルナー&ガブリエーレ・メルツバッハー夫妻、そしてフーベルト・ローザーです。
作品郡の、その年代とジャンルの幅広さについては他でも語られることが多いですが、そのコレクターたちについては忘れられがち。彼らの経歴や収集の経緯を知ると、また違った鑑賞の楽しみが生まれます。
エミール・ゲオルク・ビュールレはドイツ人の実業家で、主に兵器の製造と販売によって富を築きました。戦間期、彼の会社は中国やソ連を含む多数の国々に武器を供給し、第二次世界大戦中はナチス・ドイツやその他の軸心国(枢軸国)への大規模な兵器納入により特に大きな利益を得ました。戦後もそれはつづき、軍需産業は彼の経済的成功の基盤でした。1950年に入ってからは、朝鮮戦争の勃発と冷戦下での軍備増強に伴い、彼の会社は特に米国やスイスから多大な新規注文を受けました。
そんな経緯もあって、巨額の富を築いたビュールレは収蔵されている約600点の作品を比較的短期間で収集したそう。同氏は美術史を学び、特に印象派のポール・セザンヌを敬愛していました。風景画、肖像画、風俗画、静物画など、セザンヌの多様な作品群を集めていて、これがコレクションの中心です。そのほか、ルノワール、モネ、ファン・ゴッホ、ゴーギャンなどの作品を含むフランスの印象派およびポスト印象派も収蔵されています。
この美術館が挑戦的なのは、戦争における軍需事業者であるビュールレのコレクションがある一方で、戦争の犠牲者であるヴェルナー&ガブリエーレ・メルツバッハー夫妻のコレクションもあるということ。
夫であるメルツバッハーはユダヤ人のコレクターで、ナチス占領期を生き延び、その後毛皮貿易商として財を成しました。その後、妻であるガブリエーレとともに収集に情熱を注ぎ、彼らのコレクションは「色彩の喜び」と讃えられました。
特定の画派や国に限定せず、色彩を重視してフランスとドイツから集められ、コレクションに含まれる代表的な主要作家には、アンリ・マティス、アンドレ・ドラン、ヴァシリ・カンディンスキー、エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー、ポール・セザンヌなどが挙げられます。
戦争孤児としてチューリッヒの家庭で育ったメルツバッハー。チューリッヒへの恩返しとして、チューリッヒ美術館へより多くの作品を寄贈しました。
なぜこれほどまでに充実したコレクションが揃ったのか。それはスイスの土地柄による2つの要因があるそうで、ひとつはスイスは居住可能な地域が限られているため、外国人が訪れやすく、言語や文化が共存しやすい国だから。そしてもうひとつは戦時中も爆撃を受けにくく、国全体が金庫のような役割を果たし、富(歴史的な作品郡)が集中したから。
言語の隔たりはありますが、作品の美しさは万国共通で感じられるもの。そして美術やデザインを通して国の文化を知るのも旅行のおもしろさであることを改めて感じました。
異国の地でヒーリング。
スイスの自然と言えば山のイメージが強いですが、国内には大きな湖がたくさんあり、湖上を行く船も充実しています。ツアー内ではチューリッヒ湖をぐるりと巡る優雅なクルージングが行われました。
チューリッヒ湖は長さ約40kmほど、最大幅が約3〜4kmの細長い三日月形の氷河湖です。南東に向かってボートを走らせると、東岸(左)と西岸(右)にそれぞれ街が広がっていることに気付きます。
東岸はゴールドコースト、西岸はシルバーコーストと呼ばれていて、由来としては日照時間が長い黄金の海岸という意味でゴールドコースト、それと対照的にシルバーコーストだそう。いずれも富裕層が住む街で、ゴールドコーストは特にトップクラスの富裕層が住むエリアと言われています。
その証拠に、東岸には豪華なヴィラやプライベートプール付き住宅が立ち並び、落ち着いた雰囲気。この日は平日にもかかわらず、夕方からアペロを楽しむひと、プライベートボートでクルージングを楽しむひとが見受けられました。
きっと日本人が訪れると、その時間の流れの穏やかさに気づくはず。思わず自然の変化や音に耳を傾けたくなります。仕事であくせく働いて、いつの間にか日が暮れて。忙しく過ごす日々はそれはそれで尊いものですが、その余裕のなさに疲れることもあります。チューリッヒはそんなひとにこそ訪れてほしい、最高のヒーリングスポットです。
ここからはチューリッヒの印象的な景色を写真でプレイバック。わかりやすい派手さではなく、ひとびとの生活が息づき、文化が交差する素晴らしい場所でした。
旧市街は起伏のある地形で、路地という路地すべてに石畳が敷かれ、新旧さまざまなショップが並ぶ。
チューリッヒの第5区は、近代的な建築と活気あるビジネスシーンで知られている。
自転車がビュンビュン道路を走る様子も何度も見た。後ろに滑車を取り付けて赤ちゃんやワンちゃんを乗せたりなど、自由な使い方もヨーロッパならでは。
海外旅行のおもしろさはこんなところにも。その国・土地ならではのデザインが効いた看板は不思議と心躍る。
道端では飼い猫が自由に散歩している。
豊かに広がった食文化。
最後に、プレスツアー中に食べた現地の食事を一部お見せします。隣国の文化が流れこみ、それを柔軟に受け入れるスイスだからこそのラインナップ! 野菜も魚も肉もどれも新鮮で、食の豊かな広がりを感じました。
〈フライターグ〉本社の社食で食べた一品。ヴィーガン用のメニューで、大豆ミートを使用したハンバーグ。ボリューミーなのにもたれない。
ボートクルージング後、チューリッヒ湖畔にある「Fischerstube」で食べたパスタ。魚介をふんだんに使った豪快な料理に舌鼓を打った。
チューリッヒ美術館の横に併設されたカフェ「Kunsthaus Bar」で食べた昼食。パラっと炒めたフライドライスの上に茄子のソテーがのったひと皿。水がおいしいからか、野菜もみずみずしくておいしい。
モッツァレラチーズとトマトのサラダ。バルサミコベースのソースがやけにおいしくて、他の卓からもつまむほどだった。揚げた薄切りのパンもいいアクセント。
甘辛くソテーした茄子をチアシードやサワークリームソースと合わせたひと皿。滋味深い味わいだった。
最後に、スイスはチューリッヒの空気を少しでもお裾分けしたく、読者プレゼントを5セット用意しました! 内容は以下の通り。
①フライターグ協賛:バッグ&ネックウォレットセット
②チューリッヒ観光局協賛:スイスならではのお土産セット
③編集部セレクト:「チューリッヒ美術館」で購入した雑貨セット
④編集部セレクト:アートブックショップ「Nieves」「Never Stop Reading」で購入した雑貨セット
⑤編集部セレクト:老舗高級グローサリー「H. Schwarzenbach AG」で購入したお菓子セット
応募要項は下記インフォメーションよりご確認を。
FREITAG
フライターグ公式サイト
フライターグ公式インスタグラム
チューリッヒ観光局公式サイト
チューリッヒ観光局公式インスタグラム
スイス政府観光局公式サイト
【読者プレゼント】
応募〆切:11月6日(金)23:59
応募方法:以下のリンク先から、簡単なアンケートにお答えください。アンケートにお答えいただいた方の中から、抽選で当選者を選ばせていただきます。当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。
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