残念ながら開催中止が決定。
2021年2月28日に開催予定だった「第15回 湘南国際マラソン」は、2020年12月10日、主催者により「開催中止」が発表されました。
新型コロナウイルス感染症の影響によりあらゆるレースが軒並み中止となるなか、距離短縮やコース変更も視野に入れながら開催への道筋を模索していた今大会。感染拡大に歯止めがかからない現況を踏まえ、中止という苦渋の決断を下さざるを得なかったようです。残念ですが、昨今の状況を鑑みれば仕方がありません。
国内屈指の人気トレイルレースに参戦。
開催中止の発表により、「湘南国際マラソンへの道」と題して続けてきたこの連載企画もその道が閉ざされてしまいましたが、今回は、湘南国際マラソンに向けた一連の流れのなかで当初から出場を予定していたトレイルランニングレースの模様をお届けしたいと思います。
「第15回 湘南国際マラソン」の開催中止が発表された2日後の12月12日、同大会に出場予定だったフイナム ランニング クラブ♡のメンバー数名は、静岡県の三島にいました。翌13日に開催されるトレイルランニングレース「伊豆トレイルジャーニー 2020(IZU TRAIL Journey 2020・以下ITJ)に参加するためです。
大会前後2週間の検温およびオンラインシステムを通じた記録の義務付け、会場でのマスク着用、消毒やソーシャルディスタンスの徹底、密を避けるための分散スタートなど、あらゆる感染対策が講じられたうえで開催されたこの大会。
協賛(トップパートナー)は湘南国際マラソンと同じ〈ザ・ノース・フェイス〉。三島駅前の選手受付会場に設けられた同ブランドのブースをのぞいてみると、湘南国際マラソンで設置される予定だった給水用のステンレスジャグが置かれていました。
「湘南、走りたかったな〜」と残念がる、フイナム ランニング クラブ♡部員のエリちゃん。ゴミの削減を目指して「マイボトル必携」という新ルールを掲げた「第15回 湘南国際マラソン」。もし予定通り開催されていれば、レース中は自らが携帯するボトルにこのジャグで給水するはずでした。依然として先行き不透明な状況が続くなか、世界初のマイボトル・マラソンが開催されるのはまだしばらく先のことになりそうです。
いざ、スタート地点へ。
トレイルランナーのあいだで国内屈指の人気レースとして知られるITJ。種目は従来の70キロの部に加え、今回より26キロの部が新設されました。
フイナム ランニング クラブ♡のメンバーが今回参加したのは70キロの部。伊豆半島南西部の松崎町を出発し、半島を北上しながら山々を越え、温泉地として有名な修善寺を目指します。コースは一部変更され、距離は66キロに。スタートは12月13日の朝6時。制限時間は14時間です。
スタート前のゲートにて。左から、フイナム ランニング クラブ♡部長の榎本一生、部員のエリちゃん、副部長の山本博史、そして部員の鈴木すずさん。66キロにおよぶ長い旅の始まりです。
トレイルランから学べること。
トレイルランのレースの舞台は主に登山道や林道。ロードのマラソンと比べて参加者が少ないこともあり、密になりにくく、自然とソーシャルディスタンスが保たれます。
10〜20キロおきに設置されるエイドステーション。ここで選手は飲み物や食べ物を補給できます。
トレイルランニングのレースでは、マイボトルを携帯して自ら給水するのが当たり前。マイボトル以外にもレインジャケット、ライト、食料などが「必携品」として指定され、ランナーはそれらを収納するザックを背負って走ります。手ぶらで身軽に走って給水所の紙コップ等で給水するロードのマラソンと決定的に異なる点です。
51.2キロ地点の土肥駐車場のエイドステーションには、受付会場のブースにも置かれていた〈ザ・ノース・フェイス〉のロゴ入りの給水用ステンレスジャグがありました。
今大会の参加賞のひとつ、大会ロゴ入りのソフトフラスク。スタイリッシュなデザインで気が利いています。
湘南国際マラソンに話を戻すと、2021年2月28日に開催予定だった同大会が「マイボトル必携」という新ルールを打ち出したのは、マイボトルを持ちながら走ることが当たり前のトレイルランニングレースからヒントを得ているそうです。
こういった環境に配慮した価値のある提案を、長年トレイルランニングのサポートをしてきた〈ザ・ノース・フェイス〉がやるからこそ、説得力があります。
レース中盤、このエリア屈指の景勝地として知られる伊豆山稜線歩道に出ると、目の前の景色がパーっと広がり、美しい一本道のトレイルが伸びやかに続きます。
目の前に富士山、左手に駿河湾。レース終盤、達磨山から戸田峠へ下るあたりがITJのハイライトです。
そしてフィニッシュ!
フィニッシュゲートをくぐり、仲間と感動を分かち合う。それまでのツラさも瞬時に吹っ飛ぶ格別なひとときです。こうしてフイナム ランニング クラブ♡のメンバーによる伊豆半島縦断の旅は幕を閉じました。
レースを終えて。
「やっぱりレースっていいよね」。今回ITJに参加したフイナム ランニング クラブ♡のメンバーたちはみな口々にそう話していました。「よーいドン!」でスタートして、多少の差はあれど同じ時間帯に同じ場所を走り、その体験を他の誰かと共有する。これはレースでしか味わえない醍醐味です。今回のITJを通じてそのことを改めて実感しました。
「第15回 湘南国際マラソン」は中止となってしまいましたが、いずれ大会が無事に開催され、美しい湘南の海沿いの道を思いっきり走れる日がきっと来るはず。今後もフイナムでは、ITJで学んだトレイルランニングにおける環境への配慮を胸に抱き、マイボトル・ランナーにまつわるアレコレを紹介していきます。乞うご期待。
Text_Issey Enomoto