フィクションとノンフィクションの狭間で。名越啓介、渋川清彦、ラディアルのセッションが形になりました。

フイナムでも度々お世話になっている、写真家・名越啓介の最新写真集『ALL.』が発売されています。本作は、かねてより親交のある役者渋川清彦を被写体に、そこにさらにアパレルブランド〈ラディアル（RADIALL）〉を絡ませることで生まれました。

役者の写真集とも、アパレルブランドのビジュアルとも違う、境界線の曖昧な独特な立ち位置の作品となっております。それはこの名越の言葉からもよくわかります。

デニス・ストックが撮ったジェームス・ディーンの有名な写真がある。
その写真はまるで故郷を歩くような“当たり前の日常”の写真に見えた。しかしそれは“映画撮影の合間”に現場で撮影された写真である事を聞いて圧倒されたことを覚えている。
今回の写真展は、渋川清彦という一人の役者をアパレルブランド「RADIALL」のモデルとして、渋川の故郷である群馬県渋川、東京、横浜、熊本、長崎、カリフォルニア州ベーカースフィールド/フレズノ/ジョシュアツリー…。4年ほど旅をかさねて撮影した写真達。
役者は写真の中で昔からその現場にいたかのようにその場に馴染む。フィクションとノンフィクションの世界を彷徨い続ける放浪者のようだ。どの場所にも引けを取る事無く、ただそこに存在する渋川清彦を感じとっていただけると幸いです。
名越 啓介

本作の発売を記念して、写真展「THE MAN」が開催されています。名越啓介、渋川清彦、そして〈ラディアル〉の三者により、ありありと映し出された剥き身の生の躍動感を、じかにその目で見てみませんか？