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【FOCUS IT.】男服としてのジョン スメドレー? レショップと5525ギャラリーの三者で組み立てたカーディガンの魅力を語り尽くす。

先日、この欄で〈キャプテン サンシャイン(KAPTAIN SUNSHINE)〉と〈ジョン スメドレー(JOHN SMEDLEY)〉の美しきコラボレーションを紹介したばかりなのですが、またしても〈ジョン スメドレー〉を中心とした、魅力的な取り組みが発表されました。

今回は「レショップ(L’ECHOPPE)」と〈5525ギャラリー(5525gallery)〉とのトリプルコラボレーション。〈キャプテン サンシャイン〉のものとはまったく違うストーリー、ものづくりの過程を描きながら、ともに非常に物欲をそそる逸品に仕上がっています。

発売を直前に控えたタイミングで、「レショップ」の金子恵治さん、〈5525ギャラリー〉のTITOさん、そして〈ジョン スメドレー〉の国内正規代理店である「リーミルズ エージェンシー」さんにお話を伺いました。

メンズライクなカーディガンを求めて。

ーまさかこんなに短いタイミングで2回も〈ジョン スメドレー〉さんがらみの取材をさせていただくことになるとは思いませんでした(笑)。

金子:そうですよね(笑)。ありがとうございます。

ー今回のカーディガンの着想源としては、元々金子さんが「エディフィス」のバイヤー時代にクルーネックのカーディガンをつくったことがあったんですよね。

金子:そうなんです。今日ここにあるアーガイル柄のカーディガンは、その翌年に「リーミルズ(エージェンシー)※注:ジョン スメドレーの国内正規代理店」さんがインラインでつくったものなんですが。

「レショップ」コンセプター、金子恵治氏

リーミルズ:ただ、そもそもは2021SSシーズンに合わせて、24ゲージのシーアイランドコットンでスウェット型のものを作ろうという話があったんです。

TITO:そうでしたね。僕自身が着られるようなサイズ感の〈ジョン スメドレー〉ということで、そういうご提案をさせていただきました。

金子:その流れでけっこう進んでたんですよね。リブはこれにしようとか色々細かいところも決まっていて。〈ジョン スメドレー〉の編み機で作れる最大サイズなんかを探りながら、サンプルを何度か作ってもらったりして。

ーそんなに進んでたんですね。

金子:そうなんですよ。けど、新しい型ということもあって、色々な意味でタイムリミットが来てしまって。

リーミルズ:はい。結局のところ、お二人のご希望に添えるようなところまで、着地としてうまくいかなかったんです。編み地の感じとか。なので改めて秋冬シーズンに向けてなにか作れないかな、というお話をさせてもらったんです。

〈5525ギャラリー〉TITO氏

TITO:最初のスウェットの企画は、どちらかというと〈5525ギャラリー〉に寄せてもらってたと思うんですけど、このカーディガンはまたちょっと違っていて。金子さんってよくアンサンブルを着てるんですよね。タートルにVネックを合わせたりしてて、そういう感じでニットを作れればいいなっていう話になったんです。

金子:それで、僕が昔「エディフィス」で丸首カーディガンを別注したことがあって、っていう話をしたんです。当時〈ヴィヴィアン・ウエストウッド〉の丸首カーディガンを女性がよく着ていたと思うんですけど、あの印象がすごくよくて憧れがあったんです。なので、あれのメンズ版を作りたいということで、別注しました。それが、、

リーミルズ:2001年AWですね。

金子:もう20年前ですね。。今も〈インバーアラン〉とか、いろいろな丸首のカーディガンを愛用してて、やっぱりいいんですよね、、とそういう昔話から今回の話につながっていきました。

¥42,900

ーTITOさん主導のスウェットから、金子さん主導のカーディガンへと移行していったわけですね。

TITO:今回、カーディガンの話になって、〈アニエス・ベー〉のスナップT(プレッションカーディガン)のことが話題になりました。

金子:そうでしたね。

リーミルズ:ちなみにクルーカーディガンというのは、〈ジョン スメドレー〉のウィメンズにおける大定番なんですが、一方でメンズにはほとんど展開がない型です。

金子:当時は、これでMサイズなんです。いまだとXSくらいというか。メンズとは思えないですよね(笑)。肩もなかにグッと入っていて超クラシック。けど当時はこれが普通だったんです。

ー確かにかなりタイトですね。

金子:いまだったらもう少しゆったりしたフォルムのクルーカーディガンを作れたらいいなというのが、今回の企画ですね。そういうサイズバランスみたいなものは、TITOさんはすごくお上手なので、「リーミルズ」さんと三者で進めていったという感じです。

ーあとは今回はこのネームがなにより特徴的だと思います。

TITO:最初、ネームのデザインの話を色々していたんですけど、その案が難しいと言われて。じゃぁこっちでまずは作ってみていいですか?と確認してOKをいただいたので、ネーム屋さんにつくってもらったものなんです。

金子:それって普通じゃないですよね(笑)。採用されるかどうかもわからないのに、いきなり版を作るわけなので、リスキーですよね。

TITO:そうなんですけど、僕はそういうの結構最初に作っちゃうんですよね、下げ札とか。最初に一回作ってみると、イメージしやすいんです。

ー何より特徴的なのは、英字三文字でサイズを表現しているところだと思います。

TITO:以前の〈ジョン スメドレー〉はこういう表記だったよね、というのを金子さんから聞いたんです。

金子:そう、こういう風に略するんですよね。この表記って〈ジョン スメドレー〉しかないと思うので、ここだけでブランドらしさがわかるんです。

リーミルズ:とにかく着眼点がすごいなと思いました。

TITO:金子さんは小売のプロで目利きなんですけど、僕はずっとブランドをやっているので、こういうネームが付くだけで全然違ったものに見えるということが実感としてあります。こうして〈5525gallery〉のネームを載せるだけで、見え方が随分変わると思うんです。

金子:この企画ってもはや、このネームをつけた商品を作りたい、というのがモチベーションになってましたよね(笑)。

TITO:そうですね。

金子:最初に上がってきたこのネームが好きすぎてクオリティが高すぎて、とにかくこれをつけるために、アイデアを振り絞ったみたいなところがあったと思います。いや、こんなにかっこいいネームないですよ。

TITO:ありがとうございます。あとは単純に名前が入るのってやっぱり嬉しいですよね。改めて見てもこのネーム、独特ですよね、MADE IN ENGLANDの文字もいいですし。

ーJOHN SMEDLEYの文字がとくに違って見えますよね。

TITO:その部分、実は刺繍じゃないくて刺繍風なんです。全部刺繍にするとコストと合わなくなってくるので、業者さんと相談しながら作りました。なので、このネームはうちで作って支給させていただいているんです。それにしても、そういう流れについてもよくOK出ましたよね(笑)。

現行のネームタグ

リーミルズ:たしかにジョン スメドレー社のレギュレーションは厳しいんです。けど、これは基本的なネームのデザインは逸脱してないので、いけたと思うんです。このネームは、それ自体が売り物になるくらいのビジュアルですよね。

金子:現行の良さと当時の良さがミックスされてますよね。

TITO:金子さんが得意な部分と、僕がアレンジできるところと、最終それをリーミルズさんがまとめてくれるという安心感みたいなものでできあがってますよね。仕上がったものもスニーカー履いてる人がTシャツの上に羽織ってもいいし、ドレスっぽいスタイルに合わせてもいいという。

ーたしかに。上品な雰囲気をベースとしながら、幅広いスタイルに合いそうな感じはします。

NAVY:SIZE:M

BEIGE:SIZE:S

TITO:あとは第一ボタンと第二ボタンの間隔について、すごく議論したことを覚えています。

金子:そこ大事ですね。

TITO:一つ目のボタンをあけたときの見えがかりが大切なんですよね。あと、ここにグログランテープを貼って、なおかつ袖のターンアップも取り入れています。

金子:そう、これってすごくクラシックなニットのディテールですよね。だから、僕だけでつくると、もっとクラシックなものになってしまうと思います。きっとリブももっと細くすると思いますし、第二ボタンも等間隔にしちゃうと思います。

TITO:〈5525ギャラリー〉のシャツがその間隔なんですよね。けど、毎回第二ボタンでは悩むんです。

リーミルズ:トラディショナルマナーとして、大切なポイントだと思います。

TITO:首元のリブも太すぎると、カジュアルっぽくなってくるんですよね。

金子:これくらの太さだとメンズっぽさも出てきますよね。これ以上でもこれ以下でもない、絶妙なバランスなのかもしれないですね。

約20年前のカーディガン。首元のリブの太さは控えめ。

TITO:今回のカーディガンは24ゲージなんですが、これが30ゲージだとだいぶ繊細になってくるので、これもまたちょうどよかったですよね。すごくコーディネイトしやすいアイテムだと思います。

金子:僕はSサイズを着てるんですけど、僕もTITOさんも着れるアイテムってなかなかないんです。だから、僕主導で始まったこの丸首カーディガンをTITOさんがずっと着てるって聞いて、すごく嬉しいんですよね。

Sサイズを着用

TITO:自分用にとりあえず5着キープしてます(笑)。僕みたいに大振りな体型の方だと〈ジョン スメドレー〉を着たいけど着れないっていう方、たくさんいると思うんですよね。

ーたしかに。かなり大柄な方でもLサイズであれば着れそうです。

TITO:あと思うのは「レショップ」だから成り立つアイテムでもあるのかなと。というのも、カーディガンってやっぱりすごく難しいアイテムなので、「レショップ」のリテラシーがあって成立するんだと思います。

リーミルズ:このアイテムは黒から始まったと思うんですけど、〈アニエス・ベー〉のプレッションカーディガンしかり、黒という色で、クルーカーディガンの甘さを打ち消しているというところがポイントだと思います、黒があってそこから他の色を考え始めたわけなので。

ー黒は共通で、「レショップ」と〈5525ギャラリー〉でそのほかの展開色が違うんですよね。

金子:はい、うちはグレーとネイビーなので、ベーシックな色合いで展開してます。5525の方は、いまこの色が欲しい!っていう色ですよね。

TITO:僕はひとつ色を決めたら、それを並べたときに綺麗な色を選ぶんです。金子さん、ベージュ似合いそうですよね。

金子:僕、古い〈ジョンスメドレー〉のVネックでこの色持ってます。

ーグリーンもいい色ですよね。

金子:「レショップ」のインラインでは、ゲージ違い(30ゲージ)ですけど、同じ色のポロがあるので、アンサンブルで着れます(笑)。

リーミルズ:24ゲージと30ゲージのアンサンブルっていうのが、またいいですよね。

金子:〈キャプテン サンシャイン〉のポロと合わせようかな(笑)。あれは30ゲージなので。

リーミルズ:今回の企画も〈キャプテン サンシャイン〉のポロも、誰が作って誰が発信するのか、というのがうまくはまったアイテムだと思うので、ありがたいですね。

金子:あと、今回はちゃんとメンズのクルーカーディガンができたな、というのがいいですよね。以前作ったのは、レディスの大きいのを作ったという感じだったので。

ー確かに上品ななかに、力強さというか、雄々しい感じがありますよね。

金子:今回、この三者でなかったら、丸首のアイデアとか出さなかったと思います。そもそも普通に作って売れるとも思えないですし。けど、表現としても、みんなそれぞれがいいと思えるものになってるし、自信を持って出せるものになりました。

INFORMATION

レショップ青山店

住所:東京都港区南青山3-17-3 1F
電話:03-5413-4714
レショップ オンラインストア

5525gallery Official Web Store

※10月23日(土)AM11時発売

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