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静と動でいえば静。写真家の名越啓介が3週間のアメリカ放浪で見たものとは? 

ここではない、どこかのなにかを撮影し続けきた、写真家の名越啓介が、今年の2月に約3週間アメリカにてトレインライダー(貨物列車で生活している人達)と共に生活し、撮影した新作写真展が開催されます。

これまで幾度となく名越の足跡を追いかけてきたフイナムですが、今回の新作はどうも様子が違います。

ご覧のように、いつものようにフリークスたちの素顔に迫るというものではなく、黙々と進む貨物列車のなかで自身とひたすら向き合いながら、そしてレンズを向けたのは、ひとではなくそとでした。

2022年のバレンタインデー。カルフォルニア、 ベーカーズフィールドからスタートした約3週間の目的地のない撮影。 生まれてはじめて貨物列車の隙間から見える美しい光景に心を奪われ、死んでもいいと思った。 車輪の真横で戦争が始まったニュースを聞いた。列車の轟音の中、不思議と静けさを感じた。
自由と不自由。世界が疫病、戦争の混乱状況の中、全ての人が同じ境遇にある事を知った。
どこにいても逃げることのできない現実に自問自答しながら自分の心と向き合った。
カメラのファインダーを覗いても待ってはくれない貨物列車は過去に向かって走って行く写真の様であった。
今まで被写体に頼りすぎた。自分などどうでもいい。被写体の魅力が伝わればいいと25年やってきた。それはそれで間違いとは思わない。
今回の写真は180度違う作品。ある意味被写体も目的地ももたず、マイナス20度の中ただ走る貨物列車の真横で車輪を見つめながら自分の心と正直に向き合い滲みでた作品達です。この作品を様々な視点で感じてもらえたら幸いです。
そしてその視点や感受性こそが人それぞれの個人の自由である事を信じてい ます。
名越啓介

そして、新境地とも言える本作の展示同じタイミングで、もうひとつの写真展が開催されます。

アパレルブランド〈ラディアル(RADIALL)〉のビジュアルとして写真家名越啓介が撮り続ける役者「渋川清彦」。昨年、その10年の軌跡を写真集『ALL.』にて発表しました。

フィクションとノンフィクションの狭間で。名越啓介、渋川清彦、ラディアルのセッションが形になりました。

今回、その発売より1年を経て、開催される写真展では、写真をそのまま活かすのではなく、印刷所での色味調整のテスト段階において偶然重なり合った写真たちを、新たに撮り下ろすという他では見られない手法をとっています。

常に新しい表現方法を模索し続ける、写真に対する名越の真摯な眼差しが、この二つの展示から感じ取れるはずです。

INFORMATION

ON THE LINE

期間:2022年6月10日(金)〜6月26日(日)
会場:DINER$ CLUB
住所:東京都目黒区青葉台1-5-2
営業:12:00〜19:00

期間:2022年7月23日(土)〜8月4(木)
会場:IMA:ZINE
住所:大阪府大阪市北区中津3-30−4

ALL.
期間:2022年6月10日(金)~6月24(金)
会場:RADIALL HEADSHOP
住所:東京都渋谷区神宮前3-30-6 Zet JINGUMAE B1F
営業:12:00〜20:00

オープニングイベント:2022.6.10 (⾦) 18:00~21:00
DJ: 渋川清彦, 笹井トシオ(BLAST JAMS!!)
MISAKI(ELECTRIC SERVICE )、⾼⼭洋⼀(RADIALL)

名越啓介
1977年奈良県生まれ。大阪芸術大学卒。19才で単身渡米し、スクワッター(不法占拠者) と共同生活をしながら撮影。その後アジア各国を巡り、2006年に写真集『EXCUSE ME』を発表。世界の辺境の地域やマイノリティーなコミュニティーに入り込んで寝食を共にしながら撮影するスタイルを続け、写真集『SMOKEY MOUNTAIN』、『CHICANO』、『BLUE FIRE』、はじめて国内を題材にした『Familia 保見団地』では『写真の会』賞受賞。2019年8月『バガボンド インド・クンブメーラ 聖者の疾走』、2021年4月には最新写真集『ALL.』をリリース。

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