デビューコレクションにしてラストコレクション。金子恵治の私物から生まれた一回限りのレーベル、サバ。

日本のファッションシーンは本当に成熟していると思います。

一昔前とは比べ物にならないぐらいに選択肢が増え、そしてそのほとんどが良い作りをしているというこの状況は、世界中を見回しても決して普通のことではありません。

そして生真面目な日本人の気質ゆえに、どんどん服が丁寧に親切になってきたと思います。素材はこれで、産地はあそこで、縫製はこんなで。。とにかく服が雄弁になりました。

もちろんいいことではあるのですが、そうではない服があってもいいのかな、と思います。

この度、一回限りのコレクションとして発表される、〈サバ（SABA）〉は、フイナムではお馴染みの金子恵治さんがディレクションするワンオフレーベルです。

「私にとってかけがえのなかった服を、ある人にとってかけがえのない服へ」

これが〈サバ〉のテーマです。

金子さんの私物の中で、売ることもせず捨てることも出来なかったモノから、このコンセプトが生まれたそうです。

つまり、金子さんがそう思ったのだから、他の誰かも自分と同じようにずっと残してくれるのではないかと。

服作りに関しては、基本は金子さんが所有している服がベースになっています。あまりデザインをいじらずに、なるべく生地使いのみで変化を狙ったとのこと。

その生地は、オリジナルではなく流通しているものから選んでいるとのことですが、かなりマニアックなものをチョイスしており、他では使用されていないものばかり。

生地には過度に手を入れず、素の良さを活かし、経年変化で味を出して自分のものにしてもらいたい。そんな気持ちで製作されました。

ひとつひとつの服の説明はいたしません。写真もモノクロです。それがブランドからのメッセージです。ここから伝わるムードになにかを感じたなら、ぜひ実物を手に取ってみてください。9月17日（土）から順次発売です。