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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.72 “ひっそりと20周年”を迎えるも復刻しなさそうなナイキSB初期名機。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

ショップが全て入れ替わってリスタートしたシーズン9も今回がラスト。最後を飾る第72回目は「ダンジル(danjil)」のコージさんに締めていただきます。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


コージ / danjil 店長
Vol.72_ナイキのナイキ ズーム エア ユーアールエル

―今回、紹介していただくニューヴィンテージなアイテムとは?

前回が〈オークリー(OAKLEY)〉の「アイコンバックパック」だったので、今回はスニーカーでいきます。〈ナイキ(NIKE)〉の「ナイキ ズーム エア ユーアールエル(NIKE ZOOM AIR URL)」なんてどうでしょうか? 最近、改めて古い靴はイイなって思っていまして、久しぶりに引っ張り出したのがこちら。〈ナイキ〉のSB(スケート・ボーディング)ラインの誕生が2002年で、その初期に登場したモデルです。

ナイキ ズーム エア ユーアールエル ¥43,780(ダンジル)

―懐かしいですね。筆者もブルズカラーを所有していました。約20年前のモデルですが、状態的には結構良さそうに見えます。

実際にスケーターがライディング時に着用していたものでなければ、アッパーは問題ないし、ソールのゴムの劣化もあまり見られないのですが、ソールの剥がれはどうしても避けられません。なのでウチではほぼデッドに近い、状態の良いモノのみを仕入れて、さらにソールを一度剥離させて接着し直すというリペアを施した状態で、店頭に並べています。このモデルってエアユニットが外に露出していないじゃないですか。どうしてもそこから破損してしまうケースが多いので、インソールにズームエアを搭載する作りも”いま履ける”という意味ではポイントです。

―ステッチを露出させないアッパーのデザインもそうですよね。

ですね。両サイドと甲部分がそれぞれ1枚仕立てになっていて、仕上げもめちゃくちゃ丁寧でイイんですよ。〈ナイキ〉はこういった切り替えデザインがやっぱり上手ですね。ただ、そこがコスト的に割りに合わなかったのか、そのあとすぐにメッシュテキスタイルとメッシュ状の成形樹脂パーツで2層構造にした「ナイキ ズーム エア イーキュー(NIKE ZOOM AIR E-CUE)」が登場して、そちらに注目が集まっていきました。

―コージさんも当時履いていたんですか?

もちろん! 1stカラーは気に入って結構、履いていました。といっても「ダンク SB(DUNK SB)」が登場したら、すぐそっちに乗り換えちゃいましたが(笑)。スケシューらしからぬ洗練されたルックスでデザインも画期的だったんですが、気付いたらシーンから消えていて……。ぼくはスケートで履いたことがありませんが、薄くデッキコントロールがしやすそうなソールなので絶対調子イイと思うんスよ。リリース当初はそこが格好いいと思ったんスけど、 徐々に「なんか物足りない」と感じるようになって……。でもそれも約20年も経つと、一周どころか二周して「めちゃくちゃイイな」と自分の中で再評価の機運が高まっています。

―たしかに“スケシューらしからぬ”という言葉がシックリくるというか。

自分、〈ナイキ〉の「スティング(STING)」っていう1970年代のランニングモデルが好きだったんですが、それと雰囲気が似ているんスよ。ステッチを隠す作りなんかは革靴っぽいし、ボトムスの裾を被せちゃうと何を履いているのか分からないところもおもしろいですし。00年代初頭にスケートシューズの主流がボリューミーなモデルに移行していったなかで“あぶれたモデル”というイメージを持っている人も同世代には多いと思いますが、若い世代の目には新鮮に映るんじゃないかなって。最近トレンドになっている〈アディダス(adidas)〉の「サンバ(SAMBA)」に代表されるようなロープロファイルなフォルムは足馴染みもいいし、ぜひ復活してほしいなと思って今回ピックアップしました。

ナイキ ズーム エア ユーアールエル ¥43,780(ダンジル)

―当時は、どういう感じで売り出されていたんでしたっけ?

たしかローンチ当初の販路は、スケートショップと〈シュプリーム(Supreme)〉くらいだった気が。あとこのモデルの特徴としてはカラバリの多さも挙げられます。1stデリバリーはたしか……ブラック×ブラック、通称“ニックス(ブルー×オレンジ×ホワイト)”、通称“抹茶”の3種類。そのすぐあとに2ndデリバリーの新色も登場し、わずか1年足らずでかなりカラバリを連投していたイメージがあります。

―ユニークなカラバリも話題になっていましたよね。ホワイト×ブラックにイエローストライプのやつとか。

ヒールに背番号”0”が刻まれた通称”阪神タイガース”ですね。同じようにホワイト×オレンジ×ブラックでヒールに背番号”1”が刻まれたカラーは、”読売ジャイアンツ”と呼ばれています。とはいえ別に日本のみのリリースというワケではないため、当時は「なぜ?」と色んな噂が飛び交っていたのも懐かしき思い出です(笑)。ちなみにぼくは海外で買い付けていました。当時、日本のインポートシューズショップでは15,000円くらいで販売されていたので、向こうで約80ドルくらいだったのかな。

ナイキ ズーム エア ユーアールエル ¥43,780(ダンジル)

ナイキ ズーム エア ユーアールエル ¥43,780(ダンジル)

―その頃、どうやって合わせていたんですか?

結構、Bボーイ寄りだったかな。〈リーバイス(Levi’s)〉の「501XX」の46インチとかでウエストをギュウギュウに絞って穿きつつ。いまだったら〈アクロニウム(ACRONYM)〉のカーゴパンツで、裾はワンクッション。古着屋らしからぬセレクトですが(笑)。00年代初頭はグレーだったりブラックカラーのパンツが主流だったので、こういった足元のアクセントになるようなシューズがハマるんですよね。

―ちなみにカラーごとに値段の差もあるんですか?

1stデリバリーのブラックやニックスとかは完品状態だとちょっと高くて、他に比べて5000円ほど相場が上がります。逆に1番安いのがメープル(茶色)とか。あとハイカットタイプもあるんですが、そちらは結構見つかりやすいので、比較的手頃な値段で取引されている模様。どちらにしろ、まだ持っているという人も多いと思いますよ。ぼくも当時買ったまま自家製デッドストックになっていたコレクターから譲ってもらったりしていますし。

ーなるほど。やはり時間が経ってもしっかり履けるというのが重要ですね。

いまのスニーカーって、アッパーにシンセティックレザー(合皮)を使用しているのが大半じゃないですか。あれって、時間が経つとカチカチに硬化しちゃうのが難点でして。だったら値段は高くとも、ちゃんと履けてちょっと他人と差を付けられる、へそまがりな「ナイキ ズーム エア ユーアルエル」をぼくはオススメします!

コージ / danjil 店長
2003年、東京・西南エリアにおける古着のメッカとして知られていた町田に、1980年代〜2000年代のアメリカンカルチャーにまつわるアイテムをラインアップする古着屋「danjil」をオープン。今年7月7日に20周年を迎えた同店では、ストリートカルチャーやアメリカンスポーツにまつわるアイテムがところ狭しと並び、訪れる“好き者”たちを悶絶させる。また、新進気鋭のブランド〈コットンパン(COTTON PAN)〉のディレクターでもある。
インスタグラム:@danjil2

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