A STYLIST JOURNAL
池田尚輝
スタイリスト
ハッスルにて坂井達志に師事。'05年渡米。帰国後現在はファッションを中心として様々なフィールドで活動。
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ふるほん っていいな
2011.04.10
読書を頻繁にするようになって、だいたい6−7年。その間に自分としては沢山のタイト
ルを読んだが、その内の大半が古本。昔の作家の物を読む趣味だからか、割と古本でも探
せば欲しい物が出て来るが、主な魅力はランダムに書棚に並んだ(ジャンルは分かれてい
るけど)各タイトルとの偶然の出会い。ヒットから予想外のホームランまで出るけど、後
悔するほどの愚作ということはまずない。
中国とかアメリカとかの思想本、山岳文学、明治から昭和初期の耽美な作家達の世界、池波正太郎の旨そうな物の話から「男の作法」、落語の話から現代もの、もちろん海外作家も、あらゆる世界から世界へとぴょんぴょん飛べるのは、自分でキーワードを入力・検索して得る情報とはまた性質が違うと思う。
この前ふと訪れた軽井沢の追分(オイワケ)というエリアは、瀟洒なヨーロッパの雰囲気
の旧軽井沢や駅前のショッピングセンターとも別質の旧き徳川時代の面影を感じさせる渋
い田舎の風情。
軽井沢、殊に追分にゆかりのある昭和の作家・堀辰雄の文学記念館があってその向かいに
は「村のふるほんや」なる蔵造りの店。前の晩、読み返していた堀辰雄の「雉子日記」と
いう短文に出て来た田部重治(たなべじゅうち)という英文学者・登山家の棚を発見。地
元ならではの編集に嬉しくなる。追分礼賛的な随筆が収録されていて、一気にこの地への
イメージが深くなった。
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