青雲、それは君が見た光。
川田十夢
公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。
https://twitter.com/cmrr_xxx
http://alternativedesign.jp/
無意味から意味を考えてみる。
2011.03.08
花粉飛散終了のグッドニュースまで、悶々と続くであろう盆暗日記です。いつもは「見立て」を考えた上で、「誰も書いたことがない文章」を目指して書いたり作ったりしているのですが、花粉症発症の時期は、鼻のつまりと比例して神経が研ぎすまされていないので、斯様な日記をただダダ漏れるという試みです。

主人公パワーは冴えないエア・ドラマー。エア・ギターほどジャンルの確立さえままならないエア・ドラムを生き甲斐としている。ニューメキシコで銅発掘を仕事としているが、仕事の合間もエア・ドラムに興じる姿を見て、社長からも仲間からも親からも見捨てられてしまう。行き場を失った彼の顔を、エア・ドラム大会のフライヤーが直撃、B級映画ならではの急展開で大会出場、優勝、地元の親や仲間の信頼を勝ち取る。簡単にいうとそんなストーリー。
そんな中で、どうしても無視出来ないシーンと台詞があるので、ここで紹介したい。まず一つ目。大会出場のためにニューヨークに上京した主人公パワー、下宿先の二階に住む厳格なカトリックの娘さんに一目惚れする。彼女に、ロックの素晴らしさを伝えたいと、音楽を聞いてくれとせがむも、毎回無視される。それもそのはず、彼女は耳が聞こえない。それを知った主人公パワーは、エア・ドラムで音楽を聞いてもらおうと考える。レコードを彼女に選んでもらい、その曲に合わせてエア・ドラムを奏でる。ずっと聴こえなかった音楽を、彼女はエア・ドラム越しに聴く事ができた。感涙である。
二つ目にグっときたシーン。それはラストシーンだ。宿命のライバル、ダラスは、実際にドラムも叩けるし、ミュージシャンとしても成功しているし、親は銅採掘会社の社長だしで、絵に描いたような絶好の敵役。案の定、大会の決勝、クライマックスでも彼との一騎打ちとなる。結局、罠にも苦難にも負けず、パワーはダラスに勝利する。この時のダラスとパワーの会話が物凄くよかった。
ダラス「このやろう、、ドラムも叩けないクセに」
パワー「必要ないよ。僕自身がドラムだから。」
当事者でもないのに、わかったような事をいう人がいる。当事者なのに、まるで本質を理解していない人がいる。そんな人にこそ、この映画をすすめる。
自分も最後の、「僕がドラムだ」に感動を覚えました。
滑稽なんだけど、馬鹿にばっかりすることができない何かを感じました。観て、元気の出る映画でした。