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川田十夢公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。https://twitter.com/cmrr_xxxhttp://alternativedesign.jp/

青雲、それは君が見た光。

川田十夢
公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。
https://twitter.com/cmrr_xxx
http://alternativedesign.jp/

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AR三兄弟を軸にして考える、パロディとセルフパロディの違いについて。

2012.10.04

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9月16日発売のGQ「23 men with Hermès 8inch Ties」という特集の中で、AR三兄弟はエルメスのネクタイのモデルをつとめました。そこで彼らは、かっこいい大人に混じって、他のモデルとは明らかに違うアプローチを見せています。
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一方、10月6日発売のMEN'S Preciousでは、自らの連載枠の中でモデルデビューを果たしました。三人とも全身Gucchiに身をつつんでいます。
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前者はパロディ、後者はセルフパロディです。見た目は同じような感じだし、その違いについてあまり議論にならないですが、実はとても大きいです。次回以降連続で書こうと思っている「広告代理店が代理しているものは何か?」「編集者が編集しているものは何か?」にもつながる話なので、無粋ですが詳しく説明します。

前者のGQの場合、AR三兄弟に求められているのは、状況を軽くしてくれる役割です。平たくいえば、ユーモア担当。第一線で活躍する日本を代表する人物たちの並びのなかで、ちょっと変なポーズだとか発言をしてくれるだろうという期待ありきのオファーだと言えます。彼らが普段行っている活動が、重いものを軽くしたり軽いものを重くしたりなので、歴史あるブランドのモデルであっても、こういう態度がパロディとして公然と許されます。

では、後者のセルフパロディとは何でしょう。自らが作った世界のパロディを作ることです。AR三兄弟はこれまで、二回に渡って一流モデルを起用した雑誌連動ARアプリを提供してきました。舞台でいうところの舞台装置とシナリオを、自ら開発して役者に演じてもらっていたわけです。そこに、自らが舞台に上がるとどうなるか。セルフパロディです。Gucciという大きなブランドのもとで、具体的にやってみせたという訳です。
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二次創作について、よく議論される社会になってきました。自分自身をパロディにする覚悟がある上で行うパロディと、そうでないパロディには、決定的な違いがあると僕は思います。どちらも涼しい顔でやってのけるAR三兄弟は、やっぱりかっこいい存在だと思うのです。

追伸
今朝起きたら眼鏡が枕元にありませんでした。いろいろ探して、結局あったのは冷蔵庫の中でした。キンキンに冷えた眼鏡をつけた僕は、いつもよりも冷ややかな目でインターネットを見つめました。そこに散在する言葉の、なんて薄っぺらいこと。覚悟のない批判や批評ばかり。セルフブランディングを履き違えた、つまらない説教ばかり。なんでお前から説教されないといけないんだ。教えは、ちゃんと乞われてからするものだ。正しいだけの言説の向こうに、何があるというのだ。言い訳が必要な表現なんてするな。表現のなかで全部言えばいいじゃないか!そもそも、作り手の声が小さ過ぎる!!批評家の声が大き過ぎる!!なんだか前が白くなってきた!!今日はここまで!!!(冷えたレンズと興奮の血まなこで眼鏡が曇りました)

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