いつでも手に入れられて、着続けられるモノ。
ー袖リブの仕様以外に、偏愛的なチェックポイントを教えてください。
Genma: いまでもイギリス本国のECサイトをまめに覗くようにしていますし、古着にしろ現行品にしろ、色がネイビーやブラックで風合いのよいモノがあると、つい手が伸びちゃいます。昔はもっとシルエットがボテッとしていたんですが、現行のシルエットの方が好みかな。それをちょっとオーバーサイズで着るのがいまの気分です。
ーシーズンごとに買い足していると、ドンドン増え続ける一方では?
Genma: ひとつのモノに執着して増やしていくというのが好きなんでしょうね。昔の『ブルータス』で、ジョルジオ・アルマーニさんのワードローブを紹介しているページがあって。そこに掲載されていたネイビーのカシミヤだけがズラッと並んでいる写真を見て、「いいなぁ」と思った瞬間に、いまへと続くマインドが形成されたんだと思います。
ーなるほど。再現性はエッセンシャルという観点においても、重要なキーワードだと思います。
Genma: 〈コム・デ・ギャルソン〉を例に挙げると、基本的にいつの時代もフィットが変わらないんですよね。なので、5年前に買ったジャケットがLサイズだとしたら、いまお店に並んでいるLサイズも基本的には同じフィット。〈ジョン スメドレー〉もそう。毎シーズン、ワードローブに足していけるというのは非常に素晴らしいことだと思います。
「1着、オシャレなのが紛れ込んでいますね(笑)」と手に取ったのが〈アンダーカバー〉の別注モデル。襟のサイズは小ぶりに、袖は5分袖になっている。「やっぱりジョニオくんがイジると洒落た雰囲気になりますね」と源馬さん。
ーご自身の好みや感覚が、昔とは変わったと感じますか?
Genma: ひとは変わって然るべきだと思うんです。ぼく自身も色んな時期があって相当変わってきているし。ただ、その中でも変わらないモノもあるっていうのがいいなと思っていて。その変わらないモノが何かと考えたら、やっぱり一番長く手元に残っている〈ジョン スメドレー〉のニットでした。
ーイギリスでの生活や、そこで得た経験も大いに関係していそうです。
Genma: そうですね。それがなければ、ここまでハマってなかったかもしれない。モッズだったり色々なカルチャーと紐付いていたり、いまだにタグに“MADE IN ENGLAND”と記されているといった土着的な部分に惹かれたので。それらも含めて、肌で覚えている感覚があるんだと思います。
源馬さんといえばブラックやネイビーのイメージが強い。ただこの日、テーブルの下を覗いてみると意外にもカモフラ柄のカーゴパンツがチラリ。風合いからてっきりヴィンテージかと思って尋ねてみると「届いたばかりの〈コモリ〉なんですよ。ウォレットチェーンがつけられるストラップも気が利いているんですよね」。
ー他のブランドのニットに浮気したりは?
Genma: ラグジュアリーブランドと呼ばれるようなブランドを試したりもしましたが、結局、〈ジョン スメドレー〉に戻ってきましたね。そっちはメチャクチャお洒落なんですが、だからこそちょっと違うというか。ぼくはあくまでも裏方の人間ですからね。ずっと一緒に仕事をしているカール・テンプラーというスタイリストがある時、現場にトレンディな格好をしてきたPRエージェンシーの子に、「裏方の人間なんだから、俺や大輔みたいに上から下まで黒かネイビーであるべきだ」と指摘したことがあったんですが、たしかに自然とこういう格好をしてしまう。とはいっても“裏方の人間だから、こうでなきゃいけない”ということでなく、ただこのスタイルが自分には一番しっくりくるという話で。
ーインタビューで「“こういうアイテムだからこういう人が着るべき”と決めつけず、オープンマインドであることが大切」ともお話しされていました。
Genma: オープンマインドは本当に大事ですね。「コレは着ちゃいけない」とか「アレとコレを混ぜちゃいけない」とか、「別にどうでもよくない?」って思いますし。〈ジョン スメドレー〉だって、カルチャー的背景でいえばモッズが着たりもしていますが、たとえここのニットを着ていても、きっと誰にも気付かれない。その匿名性の良さもあると思います。袖を通したことがないひとは、ぜひ1回着てみてほしいですね。本当にクセになりますから。
ー匿名性は時に没個性にも思えるけれど、だからこそ好きなように取り入れられると。長袖ポロシャツの着方のコツがあれば教えてください。
Genma: まずボタンは上まで全部留めて、さらにちょっとだけ腕まくりをしてください。これに関しては、ある種のフェティシズム的なところもあると思います。もしくは袖先で親指の付け根が隠れるくらい長めに着るのもイイですね。
ー最後にお聞きします。源馬さんにとって“エッセンシャル”とは?
Genma: 人間にとって絶対に必要な空気と呼吸という行為を真のエッセンシャルと定義するのであれば、その位の感覚で付き合えるモノが、ぼくにとってのエッセンシャルかもしれませんね。“定番”よりもう少し自分に近くてフィットする存在といいますか。
ーいわゆる“一生モノ”というのとはまた違うのでしょうか?
Genma: ひとつのモノに対してずっと使い続けられるなんて言葉を、ぼくは信じていないんです。むしろ消耗品の中に一生モノがあると思っていて。いつでも手に入れられて着続けて使い続けることができるからこそ、自分にとっての必要不可欠=エッセンシャルと言えるんじゃないかなって。こんな答えで大丈夫ですか?
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