ファッションとスポーツ。その境界はもうない。
――近年はランニングを筆頭に、スポーツとファッションの距離が一気に近づいています。その関係をどう捉えていますか?
吉川: 自分がそれを強く感じたのは、パリのファッションウィークでした。朝みんなで走って、そのまま朝食を食べて展示会へ行く。いまのパリは「ファッションウィークというよりランニングウィーク?」と思うくらい、毎朝どこかで誰かが走っています。
――ファッション関係者が普通に走っているわけですね。
吉川: そうなんです。〈サティスファイ(SATISFY)〉のようなブランドが出てきて、パフォーマンスとファッションの境界も変わった。スポーツウエアだけど感性があって、街でも着られる。そういう動きを身近に見ていたので、アジアにも広がっていくだろうという感覚はありました。
牧野: 自分がランニングを始めたのは20年くらい前ですが、当時はファッションの人間が走ること自体、いまほど普通ではなかった。むしろ「ちょっとダサいランニングをやってみよう」みたいな、カウンター的な気分もありました(笑)。
――それがいまでは、ファッションの一部になっています。
牧野: ただ、自分の場合は「ビームス」にいたことが大きかったと思います。〈アークテリクス(ARC’TERYX)〉をはじめとするアウトドアのものにも日常的に触れられたし、それを自分なりにランニングへ持ち込むこともできた。「ビームス」という軸足があったから、スポーツをファッションとしてアレンジできたんだと思います。