CLOSE
FEATURE | TIE UP
ファーストダウンが繋ぐ時代と人。Vol.1 Ovall
Back to the 80’s.

ファーストダウンが繋ぐ時代と人。
Vol.1 Ovall

1983年にニューヨークで誕生した〈ファーストダウン〉。80年代のアメリカにおいて、音楽やストリートカルチャーの隆盛を支え、マイケル・ジャクソンやノトーリアス B.I.G.といったアイコンたちの胸には〈ファーストダウン〉の山型ロゴが散見されました。いまでは80年代リバイバルとして、その時代のファッションと音楽は、若い世代から注目を集めています。では、80年代の魅力とはなんだったのか。さまざまな角度から、その時代を深掘りする4回連載。Vol.1では、ジャズ、ソウル、R&B、ヒップホップなど、ブラックミュージックを軸にグルーヴ感あふれるサウンドを鳴らすOvallの3人が、80’sミュージックについて語ります。

音楽的にも楽器的にも、いろいろなものが生まれた時代。

ー いまの音楽は表現も戦略も含めて緻密というか。昔は音楽の表現、ビジネスとしても、変に複雑ではなかったように感じるんです。皆さんに共通しているキラキラした音像は当時のムードも影響していると思うんですよ。

mabanua: ああ、たしかに。普通に楽しい音楽をつくって、レコードで出したとしますよね。それなりに評価されて、申し分なく生活できるだけのお金がインディーのバンドでも得られていたと思うんです。当時の人たちの表情からそれを垣間見れる感じがあって。この時代に音楽をやれていたら、どうなっていたんだろうなあ。そういう意味でのノスタルジックさもありますね。80’sの音源ってキラキラしている一方で丸くて暖かい感じもあるので、ギミックではないところでの音楽の伝わり方が隠されている気がしていて。そこはアーティストの人たちと話題になりますね。どうやったら80’sのバイブスを出せるのかなって。

Suzuki: ぼくは二人よりも世代が上で1975年生まれなんですよ。20歳くらいのときは80年代の音楽がちょっとダサかった時代だったというか。その反動で90年代の音楽をつくっている人たちは60年代や70年代の音楽を参考にしていたけど80年代はNGという感じなんです。だから80年代がリバイバルされるまでには時間が掛かったというか。晩年のマーヴィン・ゲイに「Sexual Healing」という曲があるんですよ。

ー 「What’s Going on」からは考えられない打ち込みの曲ですね。

Suzuki: 〈ローランド〉のTR-808というリズムマシンを使っているんですけど、マーヴィン・ゲイは1975年に「What’s Going on」で注目を浴びてからは低迷して、ちょっと病んでいた時期があるんです。そんなときにスタジオで808を使ったと聞いたことがあって、あの808のヨレがない音色がすごく印象にありますね。当時の最初期のヒップホップにしてもあの808の印象が強くて。

mabanua: 80年代は象徴的な機材が多いですね。シモンズっていうエレドラ(エレクトリックドラム)もいまだにサンプリング音源としてリバイバルされているし。90年代を象徴する機材は80年代ほどない気がする。

Suzuki: たしかに。90年代になるとMPCとかの最初期のサンプラーになるんじゃない? けど、80年代ほどのインパクトはないように感じるし、電子音の憧れみたいなものはシンセサイザーかもね。

mabanua: 音楽を始めようとして、いきなりMPCを買う人って少ないよね。みんな、鍵盤とかギターとか。ってなると、80年代は音楽的にも楽器的にもいろいろなものが生まれた良い時代だったかなあという感じがする。ライブも尋常じゃない数のお客さんが入ってたじゃないですか。いまだとアリーナ席は椅子で仕切られているけど、当時はスタジアムのアリーナ席に何もなくて、立ち見の人たちでパンパンになっているみたいな。

関口: 秩序がないみたいな(笑)。ジャズフェスとかもすごいよね。ポピュラリティがあった。

Suzuki: 日本でもLive Under the Skyみたいなジャズフェスがあったしね。当時の映像を観ると、チックコリアとかハービーハンコックが「俺たちはエレクトリックをやるぜ」という感じですごくて。

mabanua: 他にもハトヤみたいなホテルのプールに特設ステージをつくって、家族連れでジャズ、フュージョンを聴くみたいな。あれはすごいっすよね。音楽がどこにでもあったように感じるんですよね。

Suzuki: 音楽を楽しむ余裕が今よりもあったんだろうね。元々はエッジの利いた人たちが野外フェスをやっていたところに、だんだんとポピュラリティを帯びてきて、ポップミュージックも演奏されるようになってきた印象がある。

INFORMATION

FREAK’S STORE ONLINE SHOP

www.freaksstore.com

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事#FIRST DOWN

もっと見る