CLOSE
FEATURE | TIE UP
ファーストダウンが繋ぐ時代と人。Vol.1 Ovall
Back to the 80’s.

ファーストダウンが繋ぐ時代と人。
Vol.1 Ovall

1983年にニューヨークで誕生した〈ファーストダウン〉。80年代のアメリカにおいて、音楽やストリートカルチャーの隆盛を支え、マイケル・ジャクソンやノトーリアス B.I.G.といったアイコンたちの胸には〈ファーストダウン〉の山型ロゴが散見されました。いまでは80年代リバイバルとして、その時代のファッションと音楽は、若い世代から注目を集めています。では、80年代の魅力とはなんだったのか。さまざまな角度から、その時代を深掘りする4回連載。Vol.1では、ジャズ、ソウル、R&B、ヒップホップなど、ブラックミュージックを軸にグルーヴ感あふれるサウンドを鳴らすOvallの3人が、80’sミュージックについて語ります。

ダウンジャケットは、ヒップホップのスタイルである

ー 音楽以外の部分でいうと、80年代から連想するものとして何が挙げられますか?

関口: 大学生の頃はすごく時間があったので、美術館の展覧会によく行っていたんですね。そのときにバスキアとかキース・ヘリングとか、いわゆるポップアートが好きになって。それ以前はモネとかルノアールとかの王道から入っていって、宗教画とかも観たりしたんですけど、同じノリでポップアートと呼ばれるものに触れるようになって、「これも同系列で観ていいんだ」と親しみがありましたね。あの自由な感じがすごく好きで。

mabanua: ぼく、去年に家を建てたんですよ。すごく建築について調べて、70年代後半から80年代前半にかけて建てられた家や建物ってすごくいいんですね。おしゃれ以前に無駄なものがないんですけど、洗練されたカッコ良さがあって。無駄のなさと攻めている感じが共存している建物が多いんです。でも、日本ではその頃に建てられた建物は老朽化によって壊されたりしていて。

関口: 残さないと、どこも同じような街並みになってきてしまうもんね。

mabanua: 一方でリノベーションする建築家もいるんだけど、個人的には今の建物ってがっかりするものが多いんですよ。最近はガラス張りのデザインがやたらと多くないですか?

ー ちょっとグリーンを添えました、みたいなものに統一されていますよね。

mabanua: そうそう。大阪の味園ユニバースの楽屋に、当時のキャバレーの内観の写真が展示されていて。その装飾の感じが『ブレードランナー』みたいな世界観だったんですよね。ディズニーランドにしても、スペースマウンテン辺りのエリアは食堂の造りも含めてすごく好きで。でも、ウチの奥さんにそれを伝えても、まったく理解してもらえなくて(笑)。

ー よくクルマにも例えられますけど、デザインは昔のままで、中身は最新のスペックが搭載されているみたいなハイブリッド感ってなかなかないですよね。

Suzuki: 音楽でそれにあたるのがプロツールスとかのソフトウェアですね。パソコン上で音楽をつくれるようになって、80年代とかの楽器を使わずに昔の音までもデジタルで再現するっていう。表現の幅も広がれば、コスト的にもメンテナンスやいろいろな面で便利なんです。

mabanua: 音楽業界的に辛かったのは90年代後半というか。アナログ機材が廃れてきて、デジタル機材がプロツールスとかパソコンの中で音楽をつくれる環境が生まれ始めたときの音質が一番悪いんですよ。今はそれが良くなってきて、昔風の音から今っぽい洗練された音までデスク上でつくれるようになって。ようやくバランスがとれてきた感じですね。90年代後半くらいのJ-POPは音楽的にはおもしろくても音がとにかく細くて。

関口: 機材の進化と音楽の伝わり方は必ずしも一致しないんだよね。

Suzuki: そうだね。90年代になると、日本と欧米の距離が近くなってきて、それまでは憧れで音楽をつくっていた部分から追いつきたい気持ちもあったと思うけど、時代が進んでいくと今のように同時進行で行き始めていくんだよね。

ー ブラックミュージックを軸に、最新から昔の音楽の要素まで感じさせるOvallらしい話だと思います。ところで、ダウンジャケットから連想する音楽的なイメージってどんなものがありますか?

関口: イメージ的にはやっぱりヒップホップかなあ。いま思い浮かんだのはRUN DMCですね。

mabanua: メソッドマンとかウータン・クランとかも。でも、リアルタイムでダウンジャケットがはじめて印象に残ったのは、Dragon Ashとラッパ我リヤが一緒にやった「Deep Impact」のミュージックビデオですね。(YouTubeを観ながら)これですよ!水色の光沢のダウンジャケットをふわふわさせていて。

全員: 爆笑

Suzuki: 80年代のヒップホップとしては、〈アディダス〉のスーパースターかウルトラスターを履いて、ダウンジャケットかトラックジャケットを着ているイメージですね。おもしろいと思うのは、2000年代はラグジュアリーな細身のシルエットになってくるのに、80’sから90’sにかけてはデカイことが正義みたいなところがあったりして。今でこそ、どのサイズでもかっこいいとなっているけど、ダウンジャケットがヒップホップのスタイルであることは、今も昔もこれからも変わらないんだと思いますね。

First Down

1980年代にアメリカに生まれたダウンジャケットブランド。90年代に入ると、音楽とファッション好きの若者たちへ急速に受け入れられるようになり、ニューヨークを象徴するブランドへと成長。2018年秋冬より、シルエットやカラーを現代へと「フリークス ストア」が復刻させた。ファーストコレクションは、世界的に有名な某ストリートブランドの元ネタにもなった、テープ使いやリバーシブルのデザインが特徴的なバブルダウンジャケットを中心に、FIRST DOWN の定番とも言えるモデルをラインナップ。ただ復刻するだけではなくシルエットは現代的かつ都会的にアップデートしている。

INFORMATION

FREAK’S STORE ONLINE SHOP

www.freaksstore.com

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事#FIRST DOWN

もっと見る