「ここ数年の高騰で若干視点を変えてみたら、思わぬイレギュラーが存在した」

‘80s CHAMPION REVERSE WEAVE CREW NECK
今野: 3つめは〈チャンピオン〉のいわゆる“目付き”と呼ばれるロゴ入りの変わり種。ロゴの右斜め上にレジスターマークが付いた“珍ピオン”のひとつです。

阿部: 80s?
今野: はい。何枚か所有していますが、全てプリントトリコタグ時代のものなので。ベルベルジンの山田さん曰く「〈リーバイス〉の®タグと同じ扱いなんじゃないかな」と。
阿部: あの〈リーバイス〉の®タグ(ブランドネームがなく赤タブに®のみ記されたもの)って何の意味があるの?
藤原: 〈リーバイス〉に関してはカウントだと言われていますね。100本に1本単位で®タグを入れることで納品時などの本数計算をラクにしていたんじゃないかと。
阿部: そういう意味があるんだね。じゃあ、この〈チャンピオン〉も同じようにカウントのためなのかな?
栗原: しかも80年代のある時期のみ限定的に採用された仕様のため、 圧倒的に玉数が少ないですね。
阿部: なるほどね。今野くんはいつ頃から探し始めたの?
今野: 2年くらい前ですかね。それまでは“目なし”中心で見てましたから、そこまで気にして見てなかったワケですが。ただ、ここ数年のリバースウィーブの高騰で若干視点を変えてみたら、思わぬイレギュラーが存在していました。

藤原: 正直なところ、売る側のぼくらもかつてはなるべく目付きは避けて、目なしやプリントものばかりを買い付けてましたから、当然市場に出回る玉数も少なくなりますよね。
栗原: ぼくはこれ気にしたことがなかったので、もしかしたら過去に買い付けていても気づかず普通に売っていたかもしれません。
阿部: ちょっと前までは目付きなら4800円くらいで買えた気がするんだけど、いまはどれくらいするの?
藤原: その約倍くらいの値がついてますね。
阿部: もはやそんなことになってるんだね。

今野: でも、「ベルベルジン」の山田さんにお願いしても、この2年でたった5枚しか見つけられなかったので、そうそう出てくるものじゃないとは思いますね。
栗原: 意図せずとも何枚かは買い付けていたのかもしれませんが、気にせず売っていたんでしょうね。
阿部: ギザジュウ的な感覚だね。
一同: (笑)
「V字型のステッチワークが今だからこそ新鮮に感じる」

‘90s THE NORTH FACE ASCENT COAT & JACKET
今野: 4つめは〈ザ・ノース・フェイス〉のアセントシリーズです。1990年代にジャケットとコートの2型が展開され、当時はほぼノーマークでしたが、このV字型のステッチワークが、いまだからこそ新鮮に感じるというか。最近は復刻版もリリースされたみたいですね。

栗原: 確かに当時は、この90sぽくない感じが敬遠されていた気がしますね。
阿部: そうね。数年前ぐらいから探してる人は探してるって感じかな。
栗原: なんか昆虫みたいなかっこよさがありますよね。
今野: 確かに(笑)
栗原: ちょうどヌプシシリーズとかと同時期にリリースされたと思うんですけど。他ブランドなら〈ファーストダウン〉とか。ただ、その辺りは当時タイムリーでもかなり見かけましたが、アセントはまず見なかったですよね。

今野: そうだね。ぼくはショートの方を4、5年前に古着で手に入れて、ロングの方はちょっと前に同じく古着で手に入れたんだけど、そもそもどういう経緯で作られたモデルなんだろうね。
阿部: 個人的にはあまりファッションな匂いはしないかな。
藤原: それか、タイムリーではヌプシ辺りよりも上位機種で単純に高価だったから、あまり市場に出回らなかったとか。
阿部: その線もあるね。

今野: まあ、当時は全くノーマークだったものが、一周回って気になる存在になる例のひとつではありますよね。モンスターパーカとかにも繋がる雰囲気もありますし。ただ、個人的には襟にロゴがあるのが少々気になるかなと。
藤原: 胸の方が良かったと?
今野: いや、個人的には袖口とかが好みかな。ブランドもモノ自体も好きなんだけど、ロゴの位置って結構好き嫌いが分かれるポイントなんじゃないかな?
藤原: 確かに。特にアウターだと隠せるものではないですからね。