一緒に作業するときに、共通点を認識しやすい。
ー 今回の取材のスタート前、佐々木さんと川瀬さんが「はじめまして」と言って挨拶されていたのを見ました。それなのに、空間とユニフォームがしっかりとマッチしたものになっているのが、すごいなと思いました。
中室:佐々木さんがこの空間のCGの立体図を上げてくださるのが早かったのと、そのクオリティがとても高いものだったので、それをすぐ川瀬さんにお見せしたんです。だけど、お題を投げたのはほぼ同時だったにも関わらず、これだけ共鳴したものができ上がったのはすごいですよね。本当にお二人には感謝しています。
ー 佐々木さんと川瀬さんは、表現するにあたって難しかった部分はありますか?
佐々木:〈モノリス〉のプロダクトって、生地もディテールもデザインも、すべてに理由があって、つくるのは大変だろうけど、コンセプト自体はすごく明確じゃないですか。だから理解しやすくて、スッと入り込めました。なにがOKでなにがNGっていうのがすぐに分かりましたし。
川瀬:ぼくも同じ意見です。〈モノリス〉の哲学やプロダクトへの考え方を聞いたときに、なるほどなって思ったんですよ。すごく明確で理解しやすかったと同時に、中室さんの描いているビジョンもすごくイメージしやすかった。それならこういうウェアがいいんじゃないかって、割とスムーズに思い浮かんで。だから中室さんのパスがよかったんですよ。

ー ブランドのコアがしっかりしていたから、あとはそれに合わせるだけだったと。
中室:バッグのつくり方って、服とは全然違うんですよね。ぼくはディレクターで、実際にデザインするのはデザイナーなんです。だから明確な指針みたいなものがないと、きっとバラバラになるだろうと思ったんですよ。プロダクトのことをあれこれと一緒になって考えていると、たまに煮詰まったりもするんですけど、こういうきちんとしたコンセプトがあると、そこに立ち返ることができる。つまり複数の人間で一緒に作業するときに、共通点を再認識しやすいんです。そして、佐々木さんや川瀬さんのような方々にも関わっていただくときにもそれが作用する。本当にコンセプトって大事だなって思いましたね。
佐々木:ヴィトゲンシュタインって、ぼくの10年越しのテーマで、現地にも訪れていろいろ眺めたことがあるくらいなんです。あの感じをどうにか自分のデザインに活かしたいとずっと考えていたんですけど、なかなかその機会がなくて。
中室:10年越しの蔵出しなんですね。ハマるところがなかったんですか?
佐々木:空間コンセプトが商業デザインの対極にあるのでなかなか難しいんですよ。だけど、今回ようやくそれが叶った感覚があって。それがぼくは嬉しかったですね。
中室:〈モノリス〉をつくっている自分が言うのもなんですが、ローンチから1年経って、ようやくこのブランドが分かってきた部分もあるんです。やっぱりスタートからまだ間もないときは、なにが正解でなにが不正解なのかなかなか判断しづらくて。だけどこのお店をつくることを通して、それが明確になりました。お二人とやりとりを重ねるなかで、迷うことがなかったんですよ。1年経ってようやく “モノリスらしさ” ってなんなのか、それが分かってきました。
川瀬:季節の切り替わりだったりとか、また新しいお店ができたときは、さらにアップデートしたものができたらいいですよね。Gジャンとかでもファーストモデルとセカンドモデルがあったりするじゃないですか。そういう感じで2店舗目ができたときは、ぜひセカンドをつくらせてください(笑)。
佐々木:ぜひ、お願いします!

ー このお店がオープンして、ブランドとして期待することを最後に教えてください。
中室:やっぱりプレッシャーはすごく感じているんですが、先程もお話したように、この空間にある緊張感みたいなものが自然と伝わればいいなと思っています。空間もユニフォームもそうですが、〈モノリス〉のバッグを一番よく見せれるものを、お二人がデザインしてくださったので。このショップに漂う空気のなかであれば、プロダクトの魅力をよりよく感じてもらえると思うんですよ。いろんな理由、いろんなロジックが詰まったアイテムなので、言葉でも説明できるんですが、それを肌で感じ取ってもらえたら嬉しいですね。




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