体験との結びつきで、アウトドアは一歩先へ行く。
ー 2021年、これほどまでにアウトドアが伸びたのはサウナと同じく“体験”だからでしょうか?
小林:ですね。アウトドアがサウナ以上に伸びているのは、体験することで多くの気づきを獲得できる場だからじゃないかと。もちろんコロナで勢いづいたのはあるけど、普通に生活していたら見落としがちなことを発見できます。
たとえば釣りをしてみて“こんなにきれいな魚が泳いでいるんだ”と分かれば、帰りに川沿いにゴミを捨てて行こうなんて思わないはず。もちろん魚が“気持ち悪い”って感じるひともいるだろうけど…(笑)。“きれい”とか“気持ち悪い”って気づけたってことそのものが重要なんだと思います。“今日釣ったの、どんな魚なんだろう”って調べ始めるとかね。

ー アウトドアを通じてそんな気づきを得るひとが増えていくかもしれませんね。
小林:だといいですよね。環境や食のことを考えはじめたり、その結果ちゃんといいものを買うようになったり。「パーヴェイヤーズ」には体にいいものや長持ちするものしか置いていません。アイテムは10年経ってもヘタらないものだけ。
低価格なものに慣れていると質のいいものは高く感じるかもしれませんが、10年以上じっくり使えるって考えたら環境にも、精神的にも、減価償却を考えても、そっちの方が絶対にいい! って気づけるはずだと思うんです。
その気づきを手助けするために、これからはつくり手や売り手側がもっときちんとメッセージを発信していく必要があるな、と思います。「パーヴェイヤーズ」はいろいろ置いてあって混乱させるお店かも、と最初に言いましたが、そこはていねいな接客でカバーしたいと考えています。最高の体験のためにぼくらができることをやっていけば、アウトドアはもっとライフスタイルに溶け込んでいくはず。きちんと交通整理していかないとです。

ー ちなみに、それを実践しているブランドやショップはあるんでしょうか?
小林:〈ゼインアーツ〉がほんとに見事! ファミリー向けで、高すぎない価格で、痒いところに手が届くようなアイテム、ってところから軸がブレないんです。どのアイテムも同じカラーで、ブランドイメージに合わないようなアイテムはいまのところひとつもなくて、提案が明確だからユーザーは混乱しようがないと思います。
知り合いづてで聞いたんですが、顧客のために常に考えている事はなんですか? という質問を〈シュプリーム(Supreme)〉のオーナーにした際に“ユーザーを混乱させないこと”と答えたとか。その精神は〈ゼインアーツ〉に重なるところがあるなあと思います。

ー 正しくいい体験をするひとが増えていった結果、2022年はどんな流れができるんでしょうか?
小林:すでにいい相乗効果が生まれているサウナとキャンプの組み合わせは、来年以降爆発的に伸びていくと思います。アウトドアサウナの施設をつくりたいという話はよく聞くし、仕事として持ってこられることもかなり増えました。だからこそ、乱立することでクオリティが下がって“こんなもんか”と思わせないためにも、楽しみ方をきちんと伝えていきたいところです。
