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FEATURE
西本克利連載。預言者をつくりあげた男。彫り師・YASとのタトゥーを巡る対話。
MONTHLY NISHIMOTO IS THE MOUTH vol.02

西本克利連載。預言者をつくりあげた男。
彫り師・YASとのタトゥーを巡る対話。

預言者であり、カルトクラブ〈NISHIMOTO IS THE MOUTH〉を主宰する西本克利による連載企画。第2回目となる今回は、全身にタトゥーが入る彼の人生を変えたと言っても過言ではない彫り師のYASさんとの対話をお届けします。ふたりの出会い、彫る側と彫られる側の関係性、そしてこれからのタトゥーカルチャーについて語ってもらいました。

PROFILE

西本克利

1979年生まれ、埼玉県出身。2020年に某ドメスティックブランドを退社。その後、カルトクラブ「NISHIMOTO IS THE MOUTH」を立ち上げ、主にグッズを製作し販売している。
Instagram:@k_nisimoto_

PROFILE

YAS

仙台を拠点に活動をする彫り師。仲間たちとともに「FATE STUDIO」を仙台で立ち上げ、そのキャリアは25年以上にも及ぶ。都内のホテルの一室をスタジオとして間借りし、定期的に東京でも施術をおこなっていたが、今後は仙台のほかに、世田谷・下馬のスタジオに場所を移して活動する予定。
Instagram:@yapetas
srs-studio.com/

もしYASさんができなくなってしまったら、未完のままでいい。

ー おふたりの出会いからお話を聞きたいです。

西本:ぼくが〈VISVIM〉に入ってすぐくらいの頃にYASさんの存在を知って。それでコンタクトを取ったんですけど、2年くらいメールが返ってこなくて(笑)。

YAS:あれ、そうでしたっけ(苦笑)?

西本:そうですよ。諦めかけた頃に返事がきたんです。そのときは腕に入れたくて、写真を送って欲しいといわれて。そしたら3パターンくらい、トライバルタトゥーのデザインが返ってきて。そのときYASさんはまだ東京で施術をしてなかったから、仙台まで夜行バスで通おうと思ってたんですよ。

ー そこまでして彫って欲しかったと。

西本:そうですね。絶対やってほしくて。YASさんじゃなきゃダメだったんです。

ー 西本さんは14歳のときにはじめてタトゥーを入れたと言っていましたよね。

西本:そうですね。だけど、それは興味本位で入れたやつで、あまり思い入れがなかったんです。当時ぼくは25歳くらいだったんですけど、トライバル・タトゥーにすごく興味が湧いて、それで入れたいなと思って彫り師を探していたんですよ。ちょうど雑誌で特集が組まれていて、その中でかっこいいと思ったのが全部YASさんの作品で、すぐに連絡をして。

ー それで2年後に連絡がきたんですね。

西本:そうです。そしたらちょうど東京へ出張へ来るということで、ぼく自身の負担も減ったのでラッキーでした。それで出張で来ている期間に通い詰めて、2週間くらいの滞在期間で3~4回は行きましたよね。最初に右腕を埋めてもらって。

YAS:すごいハードな内容でしたよ。7時間とか、もっと彫ったときもあったので。そんなに短い期間で何度も来られる人はなかなかいませんから。

西本:いまはもう体力的に無理ですね。

ー 痛みとか、集中力とか、すごそうですね。

西本:当時はとにかく早く完成させたいっていう気持ちもあったんです。はじめて針を入れてもらったときのファーストタッチ、針が肌に触れたときに自分の人生をYASさんに捧げようと思いました。人間的にYASさんに惚れ込んでしまって、この人なら任せられるという確信があったんですよ。

ぼくは入れたいテーマを考えて、それに沿ったイメージをGoogleで画像検索して、あえてタトゥーとはかけ離れた写真やグラフィックをYASさんに見せるんです。だけど、YASさんはしっかりとぼくの想いを汲み取って、頭の中にあるイメージを具現化してくれるんですよ。もう本当に仕上がりがかっこよくて、それですごいなって思って。スキルはピカイチですね。

ー そこから10年以上の時間をかけて、全身にタトゥーが刻まれていったわけですね。

西本:最初に右腕、それから左腕、胸、左脚、右脚、お尻、後頭部、背中、首、顔と入れていきました。残っているのは足の裏と、チ○コ、前頭部、背中があとすこしだけなんですけど、全部YASさんに捧げるつもりでいますね。もしYASさんができないってなってしまったら、未完のままでいいと思っているので。

こんなアンダーグラウンドな彫り師さんは他にいない。

ー YASさんはいつ頃から彫り師としてのキャリアをスタートさせたんですか?

YAS:二十歳前からですね。きっかけはバイカーの本を見て。それで自分のカラダにも入れたいと思って、針を自分で入れたんです。それがはじまりですね。15歳くらいのときでした。

ー その時点で道を決めていたんですか?

YAS:はい。わざと腕の見えるとこにところに稲妻のマークを入れて。親に見せたかったんですよ、「俺はこの道でいくぞ」って。もうそのときに決めていたんです。

ー いまも彫り師として活動されているということは、その決意が揺らぐことがなかったということですよね。

YAS:いま44歳なんですけど、揺らがなかったですね。はじめから上手くなりたい、この道を極めたいと思ってしまったので。

ー 極めるというのは、どういう領域なんですか?

YAS:たとえばGakkinさんというタトゥーアーティストがいるんですけど、彼はもう極みの領域に入っていると思うんですよ。どんな相手に対してでも、自分の色がすごく出ているんです。そこにブレがない。一方でぼくの場合は、お客さんの話を聞いて、それに合わせて突き詰めていく感じ。だから常に新しいことを模索しているというか。

ー 受けとったアイデアをより高度に表現するような感覚ですか?

YAS:そうですね。世界に出ても「すごいね」と誰かに言ってもらえるようにしたいんです。一般的にはトライバルっていう枠で見られがちなんですけど、ぼく自身は技術や緻密さを重視して施術してますね。

ー はじめはどなたかに弟子入りされたんですか?

YAS:彫り師のスタジオに出入りしていたんですが、1年くらいで行かなくなってしまって。それからは独学ですね。絵を描いたりだとか、彫らせてくださいと人に頼んで入れさせてもらって。それを積み重ねて現在に至ります。

だけど、ぼくの場合はまだまだ発展途上というか、試したいことがたくさんあるんです。テーマ的なこともそうですし、構図的なことも含めて。

西本:すごいですね。YASさんのキャリアでまだ発展途上って。今回の対談も無理言ってOKをもらったんです。普段YASさんはメディアに出ないから。そこもかっこいいんですよ、スキルがあるのに表に出ないっていうのが。ブラックジャック的な感じで、こういうホテルで彫っているというのもすごいですし。こんなアンダーグラウンドな彫り師さん、他にいないです。

ー 今回どうして受けてくれたんですか?

YAS:西本さんだったからですね。他の方に頼まれても出てなかったです。西本さんはぼくの中でも特別な存在で、自分自身、西本さんに出会う前と後ではすこしスタイルや意識が変わったように思うんです。

西本さんが求めることのひとつに“細かさ”ということがあって。本当に限界の限界までの細かさを求めるんです。それを見たお客さんが「自分にもやって欲しい」と広まっていったので。

西本:左足のふくらはぎがすごいんですよ。ピラミッドの壁画をYASさんに見せて彫ってもらったんですけど、これを真似できる人は絶対にいない。ぼくはYASさんがやったことないことに挑戦してほしくて、わざと無理難題なオーダーをするんです。挑戦状みたいなイメージで。だけど、ちゃんとそれをクリアされるんです。それがぼくはうれしくて、クセになっちゃったんですよね。

YAS:もう毎回挑戦ですよ(笑)。見たことがないし、やったことのないようなオーダーをいつもされるので。

ー 「できない」とは言わないんですか?

YAS:ほぼ言わないですね。言いたくないし、「できる」と言っちゃうんです。

西本:この右腕もやばくて、黒の上から白い線を描いているんですけど、全部一本の線で一筆描きみたいになっているんです。

YAS:スタートとゴールが一緒で、一本でダーっと針を入れましたね。

西本:これは本当にすごいです。海外へ行くと、「お前のタトゥはヤバいから、彫り師を教えろ」っていろんな人に言われて。まだ国内ではマイノリティで生きづらさは感じますけど、海外との許容の差をすごく感じていて。ぼくは本当にアートのひとつだと思っているんですけど。

日本で顔に入れるというのは、かなりハードルの高いこと。

ー 顔に入れるというのは、はじめから決めていたんですか?

西本:決めていました。

YAS:だけど、2、3年くらいずっと「やめたほうがいい」って説得したんです。人生が変わっちゃうから。それでも西本さんはずっと「入れたい」と言っていて、最初に鼻だけ入れて、「これで最後にする」と約束してくれたんですよ。だけど、それじゃあ全然止まらなくなってしまって…。

西本:完成形が見たくなっちゃったんです。それで鼻の次に顔のサイドも入れてもらったんですけど、中途半端な感じが気になってしまって。

ー その頃はまだ〈VISVIM〉にいらっしゃったんですよね。

西本:いました。会社には止められていたんですよ、絶対に入れるなって。それはYASさんにも伝えていたんですけど、結局入れたくなってしまって、最終的に会社も退職することになったんですけど。

でも、ぼくは顔に入れてよかったと思ってますね。後ろめたい気持ちや後悔はゼロです。これで自分の認知度が高まったし、預言者になることができたので(笑)。

ー 先ほど「アート」と表現されていましたが、タトゥーの場合、西本さん自身が作品になるわけですよね。それはどういう感覚なんですか? ある意味、カラダの90%以上を埋め尽くされている人にしかわからない感覚があると思うんです。

西本:顔に入れたときは、入れちゃったなぁっていう感覚でした。それまではコンビニ行く感覚でタトゥーを入れてましたけど、顔の場合はやっぱり感慨深さというか、いつもとはちょっと違う感覚がありましたね。家帰って鏡を見て、「わぁ、かっけぇなぁ」って。たまに自分の顔を見ると、すげぇなぁって思うんですよ。ここまでやっちゃったか、と。

やっぱり人生変わった感じはあって。これのおかげで〈NISHIMOTO IS THE MOUTH〉もはじまりましたし、いろんな人に知ってもらえたと思うんですよ。

YAS:「刺青を入れる=人の人生を変える」という意識は、どんな小さなタトゥーでもあるんです。だけど、西本さんの場合は顔に入れるということで、こちらもすごく気を張りましたね。

ー ある意味、西本さんよりもYASさんのほうが重たい役目を背負っていたんですかね?

YAS:そうかもしれません。西本さんと共に人生を歩む思いでいますから。そうじゃないとできないですね。だから、西本さんが彼女できたという話になると、「結婚したほうがいいですよ」って勧めるんです。ちょっとでもいい人がいれば、絶対にしたほうがいいって必ず伝えてましたからね。

ー おふたりは、どこか一心同体なところがある。

YAS:そうですね。西本さんが路頭に迷われたらマズい。仕事もできれば辞めてほしくなかったんですよ。それを洗脳のようにずっと伝えていて。

ー 2、3年説得したと仰っていましたが、YASさん自身も迷いや怖さがあったということですよね。

YAS:顔となると、それは強くありました。とくに日本でそれをするというのは、かなりハードルが上がるんです。路頭に迷う確率がすごく上がる。それだけはなんとしてでも阻止しないといけない。そういう気持ちが入れた後もありました。もちろん入れるときも相当な覚悟だったんですけど。

西本:ぼく自身はもっと軽い気持ちだったんですけどね…(苦笑)。

ー これまでに顔に入れたことはあるんですか?

YAS:ワンポイントとか、あとはほくろや眉毛とか、そういうのはあるんです。だけど、ここまで全面に入れることはこの先もないと思います。西本さんと同じディテールでやってくれと言われてもできないですね。

西本:そうやってオンリーワンになれたのがぼくはうれしいです。15年以上通って、もう何百回と入れてもらっていますから。

顔以外もたくさん思い出があって、それを見ると当時のことを思い出しますね。タトゥーを入れた後の帰り道とか、その頃聴いていた音楽とか、付き合っていた女の子のこととか。すごくエモいんですよ。手のひらのときは痛すぎて、心の中で「YASさん殺してやる」っていう気持ちでしたけど(笑)。

YAS:(笑)。手のひらはダントツで痛い部位ですね。

ー その関係性ってすごいと思うんですよ。「殺してやる」って思うほど痛くても、入れたいと思う西本さんと、それを彫るYASさんの信頼関係というか。彫る側と、彫られる側のふたりの覚悟がぶつかり合っているということですよね。

西本:格闘技ですよね、もはや。

YAS:魂を入れるような感覚ですね。とくに西本さんのオーダーは自分の限界を超えてくるものなので、寿命を削りながらやっている感じです。

西本:YASさんはミスれないし、その集中力と、ぼくの痛みに耐える忍耐力がぶつかり合って、変なバイブスが起こってますよね。

ー そうして時間を重ねるごとに、どんどんお互いが感情移入していくんですね。

YAS:そういうのはありますね。連絡をマメに取り合う感じではないですけど、西本さんのことはずっと気にかかってます。死ぬまで消えないと思いますね。不思議な感情があります。

ー 人生を変えた責任のような気持ちと、自分の作品に対する愛着、血は繋がっていないけど家族のような想いがあるんですかね?

YAS:そうですね。いろんな気持ちが含まれていますね。

西本:時間でいえばすごく長い時間を一緒に過ごしているので、本当に家族のような友達のような、すべての感情がありますね。

やっぱり痛みと覚悟は必要。

ー 西本さんは顔に入れた後、精神的に辛い時期があったと話してくれたことがありますよね。

西本:そうですね。電車に乗っているときとか、街中でいろんな人に見られるんですよ。それで目を合わせると、外される。海外では「お前かっこいいな」っていう反応なんですけど、日本ではリアクションが全然ちがうんです。そのギャップに喰らった時期もあったんですけど、あるときSKATETHINGさんが「最先端なことをやっているんだから、気にすることないよ」って言ってくれて、すごくラクになって。自分の尊敬する方なので、間違いないって自信を持つことができました。〈VISVIM〉にいた頃はネガティブな感情もあったんですけど、辞めてからどんどんポジティブになっていって。自分でブランドをはじめたというのも大きいと思います。自由になったというか。

預言者としていまはやらせてもらっているので、それになりきることができたんですよ。もうひとりの自分ができあがったというか、ある意味演じるような感覚もどこかにあるんですけど。

ー キャラクターになりきると。

西本:それができるようになってからすっごいラクになって。だからもう「見てください」っていう感じで堂々としてますけど。

YAS:乗り越えられたのはすごいよかったですよね。日本だと本当にヘビーに喰らっちゃうと思っていたので。

ー それを乗り越えられる人と、乗り越えられない人がいると思うんです。

西本:ZOMBIE BOYっていうモデルが海外にいたんですけど、彼も顔を含めて身体中隈なくタトゥーが入っていたんですが、5年前くらいに亡くなっちゃったんですよね。たぶん心が病んでいたと思うんですけど。

ー やっぱり消せないものをカラダに入れることで、「どう見られているんだろう」とか、なにか人に対して見えないフィルターがかかるような感覚があるんですね。

西本:そうですね。ぼくは人前に出る仕事になったから、いまは「タトゥー=ポジティブなもの」というメッセージを伝えたいという気持ちがあるんです。もっとポピュラーになって欲しいですね。

YAS:オリンピックの選手たちがフルスリーブでタトゥーを入れてたりするんです。ひと昔前まではいいタトゥーって少なかったんですけど、いま見るとみんないいのを入れていて。それが日本では進化が止まっちゃってると思うんですよ。

ー 隠そうとしますからね。

YAS:それがすごく歯がゆいです。世界的に見ても、いまはそういう時代じゃないっていうのが分かるのに、なんで日本だけそうなっているんだろうという感じ。差別も起こってますから。

西本:温泉に入れない、プールにも入れないというのは完全に差別ですよね。和彫りという伝統芸があるのに、それを隠そうとする日本の社会には矛盾を感じます。誰かが犯罪を犯したときに、タトゥーが入っていると、ここぞとばかりに悪いように捉えられますからね。そもそもタトゥーと犯罪は関係ないはずなのに。

YAS:すごい残念ですよね。ぼくはタトゥーアーティストとして日本のことも多少意識していますけど、海外のことも視野に入れて彫るようにしているんです。その人が海外に渡ったときに、ひとつ頭浮いて見えるようにやっているというか。

むかし雑誌の『TATOO BURST』があったときは、日本がいちばん注目されていた時代なんですよ。和彫りがフィーチャーされて、世界中から彫り師が日本に来て。だけど雑誌が休刊して、どんどん文化が衰退してしまっていまに至るんですけど。すごく残念ですね、タトゥーを楽しめないというのが。

ー タトゥーの中にもいろいろなジャンルがあって、そのジャンルの中にもたくさんのフェーズがあると思うんです。だけどいまはそれが一括りになってしまった感覚はあります。

YAS:そうですね。どんなタトゥーが入っているかが大事なのに、ただ単に“タトゥー”としか認識されない。

西本:それは変えたいですね。まずはタトゥーのネガティブなイメージを払拭したいです。ぼくはいま40代ですけど、いまの若い子たちに子供が生まれて親になる頃にはその認識がガラッと変わっていると思うんです。

西本:このまえ父親に久しぶりに会って、顔に入れてからはじめてだったんですよ。第一声目に「お前どうした?」って言われて。だけど、これは俺の人生だし、自分でケツを拭くって伝えたら納得してくれました。結果的にネガティブになってしまうなら入れないほうがいいし、自分でちゃんと管理できるなら入れていいと思うんですよ。

これはぼくの個人的な意見ですけど、タトゥーを入れて調子に乗っているやつがいちばんかっこ悪い。だから自分は意識的に謙虚になろうと思ってて。これで横柄な態度を取っていたら、やっぱりそんなやつなんだって思われちゃうから。

ー 西本さん、いつも低姿勢ですし、メールの返信も早いですもんね。

西本:低姿勢キャラでやってるので(笑)。でも、タトゥーを入れてる、入れてないに関わらず、人には優しくしたほうがいいです。その優しさは絶対に戻ってくるから。本当に自分でブランドをはじめてからは、そういう気持ちが大事だなと改めて思わされていますね。YASさんもすごく謙虚じゃないですか。

YAS:自分も謙虚でいようという気持ちは強いですね。もちろん横柄な彫り師さんもいますけど。

ー 謙虚だからこそ向上心があるというか、先ほど「まだまだ発展途上」と仰ってましたもんね。

YAS:そうかもしれません。

西本:最近は麻酔を打ってから彫ってもらうという人も増えているんですよね。だけど、個人的には痛みを伴ってこそだと思うんです。アメリカのインディアンたちのあいだで、胸にピアスを通してそれを引きちぎることで自然復活や和平祈願をする儀式があるらしいんです。タトゥーはそれほど大袈裟なものではないけど、やっぱり痛みと覚悟は必要なことだと思うんです。

ー 麻酔を打つというのは現代的ですね。

西本:自分で入れちゃってる若い子もいるみたいですね。

YAS:最近すごく多いです。その手直しの依頼がものすごく多くて、ワンポイントの流行りはちょっと心配ですね。

西本:勢いで入れるのはわかるけど、考えながら入れないとダメですよね。それでニュースに取り上げられて、ネガティブなところだけ汲み取られてしまって。だからしっかりした覚悟は絶対に必要ですよね。お金も時間もかかるものだから、入れるならちゃんとやってほしい。

ぼくが予約したときはちゃんとやって欲しい(笑)。

ー 西本さんとYASさんが出会ったように、彫り師との出会いが本当に重要なんですね。

西本:ぼくとYASさんが出会ったのは必然だと思ってますけどね。

YAS:西本さんが表に出るようになってから、自分もがんばらなきゃなって思ってます。

ー その関係性ってすごいですよね。

YAS:それがずっと続いてますよね。

西本:お互い相乗効果になっているのがぼくはうれしいですね。仙台のスタジオも近々行きたいと思ってて。おもしろい人たくさんいますよね。

YAS:ぜひぜひ、いらしてください。このホテルでやるのも、もう今回で最後になりそうで。「FATE STUDIO」を一緒に立ち上げた(鎌田)めぐむさんと再会して、世田谷の下馬でスタジオをやってるから、そこでやってみたらと誘われているんです。

西本:そうなんですね。ここでやれなくなるというのは、ちょっと寂しさもありますね。やっぱり何度も通ったし、この辺りの景色を見るとYASさんのことを思い出すので。

YAS:寂しいというのは、他のお客さんにも言われますね。こういうスタイルでやっている彫り師は、世界的に見ても他にいないと思うので。

西本:今回、ここでお話ができて本当によかったです。

YAS:本当にすごくいいタイミングだったと思います。

西本:きっとこれからもっと忙しくなると思うんですけど、ぼくが予約したときはちゃんとやって欲しいなと思います(笑)。

YAS:それは大丈夫ですよ(笑)、任せてください!

INFORMATION

NISHIMOTO IS THE MOUTH

nishimotoisthemouth.com

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