長く愛用してこそ愛着が湧くものを選ぶ。

ー 撮影の小道具を集める際は、こうしてお店を訪ねて、実際に見て物色するんですね。
遠藤:時間が許す限り、お店には足を運ぶようにしています。ここ〈コートリィ〉はショップではなくてインテリアのリース屋さんで、足繁く通わせてもらっています。セレクトのセンスが、ずば抜けていいんですよね。
ー ほかにも、行きつけは複数あるんでしょうか?
遠藤:リース屋さんによっては植物専門であったり食器専門の場所などもあります。よく行くのは10箇所くらいでしょうかね。

ー インスピレーションは、どうしたところから得ることが多いんでしょうか?
遠藤:お店を巡るのもそうですし、webの情報もかなりチェックしていますね。コロナ前までは、毎年4月に「ミラノサローネ」という、家具のパリコレみたいなものがミラノで行われていて、そこには欠かさず行っていました。そこに行けば、世界中から集まった新作家具を見ることができるんです。そこがとてもいい勉強の機会だったんですけど、今年もちょっと、行けそうにないですね。
ー 海外に行くと、やっぱりいろんなイメージが湧き上がってくるものですか?
遠藤:そうなんですけど、あまり観光では行きたくないんです。
ー と言いますと?
遠藤:例えば、おしゃれなホテルに泊まったりするじゃないですか。そうなったら、そこに配置されているインテリアが気になり過ぎて、観光どころじゃなくなるんです(笑)。街を歩いていて立ち寄ったカフェとかでも、そうした事態が起きてしまって……。好きでやってることなんですけど、どっと疲れるんです。なので、観光ということであればハワイみたいな場所がいい(笑)。

ー 完全に職業病ですね(笑)。
遠藤:似たようなところで言うと、映画とかを見ててもそうです。おしゃれな映画になればなるほど、そこに映っている人というよりも、後ろにあるセットが気になり過ぎて、内容が全然入ってこないんです。どうやって作ってるんだろうとか、自分だったらこうするよなとか。
ー 気軽に映画も見れないわけですね。
遠藤:予期せぬところで職業病が発症する率は高いです(笑)。

ー いま取り出した財布をはじめ、遠藤さんの持っている小物も、いつも素敵だなと思っていたんです。
遠藤:ありがとうございます。インテリアに関しても、普段身につけたり使うものに関しても、長く愛用してこそ愛着が湧くので、そうした意識でものを選んでいます。

ー 今作のバッグとシューズも、それはもう丈夫なので、ぜひ長く使ってみてください。
遠藤:〈ブリーフィング〉のバッグは使ったことがないんですけど、いま使っているペンケースが〈ブリーフィング〉のものなんです。どこで買ったかは忘れてしまったんですけど、5年くらいは使っているかな。出し入れが激しいし摩耗もしているんだろうけど、全然くたびれていない。〈ダナー〉もいわずもがな屈強なブランドだから、きっとこのコラボレーションアイテムも、これから先のぼくの生活に、欠かせない存在になってくれそうです。