焚き火では「失敗」を楽しもう。
ー 猪野さんにとって、焚き火道具選びの哲学を言葉にすると?

猪野:なんだろう……難しいな(笑)。たとえ世の中的には不人気なモノでも、「自分はこれが好き」と言えるモノなら、それでいいんじゃないですか。みんながみんな同じ道具を持っている必要はないと思います。
キャンプや登山をはじめとするアウトドアの世界って、「こうあるべき」みたいな「べき論」が多すぎる気がしていて。モノにこだわるのはいいことだと思うけれど、あまりにも正解を求めすぎるのはどうかなと。焚き火の道具選びに限らず、失敗を恐れてはいけないと思う。失敗から学べることはたくさんありますから。
ー 猪野さん自身も失敗をたくさん経験してきたからこそいまがある?


猪野:いまでもたくさん失敗しますよ。というか、ぼくの場合、人生そのものが失敗の連続だから(笑)。
焚き火には正解がないし、失敗さえもいい思い出になることが魅力のひとつ。みなさんも焚き火を楽しむときは、どんどん失敗しましょう。そのためには、失敗しても笑って済ませてくれる仲間といっしょに行くこと。焚き火を楽しむコツは、それに尽きますね。

「焚き火と道具」「焚き火の本」(ともに猪野正哉著・山と渓谷社)各¥1,980