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ディレクター吉川基希と共に編む、 BEAMSの解体新書。 第3章「BerBerJin 藤原裕と、古着的解釈でオリジナルを読み解く」
STRATEGY OF BEAMS

ディレクター吉川基希と共に編む、 BEAMSの解体新書。 第3章「BerBerJin 藤原裕と、古着的解釈でオリジナルを読み解く」

「URBAN ACTIVITY LABO」というシーズンテーマを設ける2022年秋冬の「ビームス(BEAMS)」。“都会的な活動をするための架空の研究所” から生まれたウェアの数々をどのように攻略していけばいいのか? メンズカジュアル部門のディレクターを務める吉川基希さんと一緒に、その方法を探ります。
今回は原宿にあるヴィンテージショップ「ベルベルジン」の藤原裕さんが登場。古着的解釈を経てデザインされるものもある「ビームス」のオリジナルアイテム。それらの服は、数々のヴィンテージウェアを見てきた藤原さんの目に、どのように映るのか? “古着”というキーワードを軸に語ってもらいました。

  • Photo_Ko Tsuchiya
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yuri Sudo

古着が教えてくれるファッションのこと。

ーおふたりはお互いに面識はあるんですか?

吉川:こうしてちゃんとお話しするのははじめてですね。

藤原:同い年でしたっけ?

吉川:ぼくは藤原さんのひとつ下ですね。だから世代は一緒です。雑誌で藤原さんのスタイルサンプルとかもあったりして。デニムに下駄を合わせましたよね。

藤原:『チェックメイト』に載ってたやつですね(笑)。ぼくは高知県出身なんですけど、スナップに載るためにわざわざ高知市内の中央公園まで行きましたね。それで声をかけられて、「よし!」と思って(笑)

吉川:ぼくは新潟出身なんですが、そういうのに憧れていました。やっぱり雑誌は『BOON』からですか?

藤原:はじめは『チェックメイト』と『メンズ・ノンノ』でした。それで中学3年くらいから『BOON』を読み始めて、衝撃を受けて。

吉川:そうだったんですね。ぼくははじめに『BOON』でしたね。中学2年のときにバルセロナオリンピックが開催されて、そのときNBAのドリームチームが結成されたんですよ。それで雑誌でバッシュが特集されて、野球部なのにバッシュを履いて登校してましたね。その後にぼくは『チェックメイト』と『メンズ・ノンノ』を読みはじめて。

藤原:ぼくは田舎に住んでいたので、コンビニに『BOON』が置いてなかったんですよ。中学1年くらいからアメカジに興味がではじめて、父親がアパレルのひとだったんですけど、クローゼットの服を漁ってました。もちろん高知の「ビームス」にも行って、店員さんに憧れて、〈リーバイス®〉のレプリカジーンズを買ったりしてましたね。その後、高校の先輩がヴィンテージデニムを穿いているのを見て、もろに影響を受けたりして。

吉川:ぼくも高校生のときにバイトをしながらお金を貯めて、「501」のSタイプを買いましたね。当時はまだ3万円代でした。

藤原:東京よりも地方のほうが安かったですね。ぼくもお小遣いを一生懸命貯めて「BIG E」を45,000円くらいで買った思い出があります。

ー藤原さんから見た「ビームス」の印象を教えて欲しいです。

藤原:ぼくも21歳の頃から「ベルベルジン」で働いているんですが、いまのとんちゃん通りのお店の前は、竹下通りの一本裏手の道に「原宿十貨店」という場所があって、そこでうちの代表と副社長が営業をはじめたんです。ぼくもちょくちょくそこに顔をだしていて、当時は知るひとぞ知るというようなお店だったので、ビラ配りとかをして仕事を手伝っていて。

吉川:そうだったんですね。

藤原:そこにいまの「ビームス」の偉い方々が、当時は店舗で働かれていたんですけど、買い物に来てくださっていて。うちの代表が買い付けから帰ってくると、みなさんゾロゾロとお店にやってきて、そのままお取り置きされて帰るみたいなことが毎月ありましたね(笑)

吉川:へぇ~! そんな時代があったんですね。

藤原:それでぼくも「ビームス」にお邪魔すると、スタッフの方々がみんなヴィンテージを着ていらっしゃって、それがものすごくカッコよかったんですよ。雑誌にもみなさん載っていて、憧れの眼差しで見ていましたね。

いまもやっぱりスタッフの方々はみんなオシャレで、とくに原宿のお店はいろんな発信をされていて、あそこに「ビームス」があるというのが、同じ原宿で働く者としてすごく頼もしいというか。もちろん全国規模でやられているのもすごいですし。

吉川:ありがとうございます。ぼくは藤原さんと世代が一緒なので、ファッションの入り口としてやっぱり古着の存在は大きくて。まだ10代の頃はたまに東京に遊びに来ると、原宿の古着屋に行ってましたね。

上京後、ぼくは「ビームス」に入る前にとあるセレクトショップで働いていたことがあるんですけど、ちょうどとんちゃん通りに店舗があって、休憩時間になると先輩に連れられて周辺の古着屋によく行っていました。その中にもちろん「ベルベルジン」もあって、行くといまの古着のトレンドや市場感がわかるし、地下に行けばお宝ゾーンがあって、買い物感覚はもちろんあったんですけど、ぼくにとっては勉強をしに行く場所でもあったんですよ。

ー古着を知ることによって、服の歴史を知ることはもちろん、ファッションへの理解が深まりますよね。

藤原:やっぱりぼくも若い頃からいろんな古着屋さんに通っていましたけど、それこそ千葉とかにも行ったりして、そこでまた新しい発見があったりするんです。でも一方では、お客さまから教わることもあったりして。それこそぼくが「ベルベルジン」に入りたての頃に、「ビームス」のスタッフの方々がお客さまとして来られた際に「こういうアイテムを買ってきて欲しい」とうちの代表に頼んでいるのを見て、そういう服もあるんだということを知ったり。そうやってお客さまから教わることも多かったんですよ。

ーおふたりにとって古着の魅力はどんなところにありますか?

吉川:やっぱり、出会いですよね。魅力的な服と出会って、なおかつ自分にフィットするサイズ感だったりすると、「出会った!」となるんです。そういう一期一会感がたまらないんです。

藤原:あとはサンプリングソースになるというのも大きいと思います。そこから新しいデザインが生まれていきますよね。

吉川:ぼくもオリジナルの商品を手がけることが多いんですけど、やっぱり古着を知っていることが、いいものづくりに繋がるとおもうんですよ。知らないでつくるよりも、知っていてものづくりをすることによって説得力が生まれる。なので、そこらへんは意識しながらやっていますね。

ー藤原さんは基本的に古着しか着ないという印象なんですが、古着オマージュの服をご覧になられることもあるんですか?

藤原:もちろんありますよ。ぼくもアドバイザーという肩書きで、ヴィンテージアイテムをサンプリング用に貸し出したりすることもよくあるんです。展示会でもいろんな服を見ながら、「これはあのアイテムをサンプリングしているな」とか、「これはあの服とあの服のディテールが足されているな」とか、そういうのが見えてきたりしておもしろいんですよ。こういう落とし込み方があるんだ、と勉強になることも多いですし。

ー実際に着られることはあるんですか?

藤原:休日の日は古着を着ないって決めているので、そういうときに着ますね。

吉川:そうなんですか!?

藤原:たまに家族で買い物へ行ったりするとお客さまに会うことがあって、「あれ? 古着着てないですね」って言われたりして(笑)

吉川:それが意外でした(笑)

藤原:古着は仕事をするときのユニフォーム的な感覚なので、完全オフのときはもう新品の服を着るというのを決めているんです。だから、展示会では休日用の服を見にいくという感覚でお邪魔させてもらってますね(笑)

INFORMATION
    

BEAMS 22AW COLLECTION

公式サイト
Instagram:@ beams_official
@beams_mens_casual

       

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