メガネって、自分じゃ似合ってるか分かんない。
ー小木さんが数あるメガネ屋の中でも「グローブスペックス」を贔屓にする理由を教えてください。
小木:いいメガネ屋さんって、大体ちっちゃいんですよ。
ーはいはい。
小木:なんだろう、10畳ぐらいなのかな。路面店とかでね。
ーはい。
小木:でも、このお店来たときに、もう逆にやばいなって。こんな大きいメガネ屋なんて無かったし。

ー確かに大きいですよね。
小木:あと、オーソドックスなものが多いんですよね、普通のメガネ屋は。でも「グローブスペックス」はいろんな種類があって、あー、これ3本いっちゃうなーみたいな。やばいなー、今月やばいなーみたいな。
岡田:うちはできるだけ、世界中からものを集めるようにしているんです。ヴィンテージもありますしね。でも小木さんが言うように、海外でもこんなに大きい店はないかもしれないですね。
小木:だから「グローブスペックス」は怖い。本当に怖い。前もここに来たときに、買ったメガネの鼻と耳の位置を岡田さんに合わせてもらってたんです。で、そのときに、ピントのあったレンズ越しに見えるメガネを見て、あ、あれ欲しいって。新しいメガネを合わせてるときに、もうメガネが欲しくなっちゃって。
岡田:そんなこともありましたね。
ーやっぱり、メガネの選び方は、デザインファーストですよね。
小木:うーん、昔は「モテたい」です。メガネ好きの女性っているじゃないですか。
ー(笑)。でも、確かにいますよね。
小木:特に、メガネ屋で働いてる女性って、 メガネが好きなひとじゃないですか、たぶん。だから、いままでは、そこのメガネ屋さんで働いてる可愛い子に選んでもらっていました(笑)。
ー独特ですね、選び方が(笑)。
小木:メガネって分からないんですよ。自分でも何が似合ってんのか分かんないっていうか。
ーなるほど。
小木:行きつけのご飯屋さんに行くと、いつも同じメニュー頼んじゃうでしょ? だからぼく、そういうときはもう、メニューを友達に見せて、そっちで選んでって言うんです。そうしないと俺、同じものを頼んじゃうんですよ。だから友達に頼ませることで新しい発見ができるんですよね。あ、ここはこんなのも美味しいんだみたいな。
メガネにもそれがあるんですよ。自分が好きな形って決まってるじゃないですか。でも、やっぱチャレンジするには、可愛い子が「お客さん、これが1番似合いますよ」って言ってくれないと。ただ、「グローブスペックス」に来たときに、女性の籏智さん(「グローブスペックス」のプレス)が接客してくれたんですけど、ちょっと異常な感じのひとだったんで、 このひとがいいって言ったメガネが一般受けするわけないなと思って、そのくらいから女性の意見を聞くのをやめたんです(笑)。
岡田:(笑)。でもね、自分で選ぶお客さんなんて、ほとんどいないんですよ。
小木:やっぱそうなんですね。
岡田:選んでくれっていうひとは圧倒的に多いですよ。

小木:今年の正月はタイに行ったんですけど、そのときは岡田さんが選んでくれたサングラスをかけてましたよ。
岡田:それは嬉しいですね。
ーいまはもう、モテたい気持ちでは選ばないんですね。
小木:いまはモテるというよりも、私生活が見えないようなメガネがいいですね。例えば、このひとは浪人生だなとか、 予備校生だねみたいなメガネがあるじゃない。このひとはカメラマンだなとか。職種が分かるようなメガネってあったりしません?
岡田:ちょっと分からないですね(笑)。
小木:(笑)。だからいまはシリアルキラー的な、このひとちょっと怖いって思わせたいです。

ー確かに、今日も格好と相まって、一層怖いですね。
小木:ですよね、怖いと思いますよ(笑)。あと、映画の影響もすごくあって。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』っていう好きな作品があるんですね。
ーはい。
小木:そこに出てくる親子が、ずっとジャージを着てるんです。それが、かっこつけてるわけじゃないけどかっこよくてね。ジャージを着てるのは、その影響もめちゃくちゃあって。
ーちなみに、奥さまがメガネを選ぶこともあるんですか?
小木:すすめてはくれますけど、最終判断は俺です。ただ、俺も最初「えー、なにそれ」って思いながらかけてみて、意外といいじゃんってことはあります。さすが妻だな、みたいな。
ーファッションに関してもありますか?
小木:「あっ、これ可愛い」ってのはありますね。それも、えーって思いながらもいやいや着たりすると、あれ、可愛いじゃんってなりますね。
ーさすがですね。
小木:今日のジャージも、奥さんが最初に着てて。あのひと、たまに歌を歌いに行くんすよ。あのー、あれ、なんだっけ、小さい弦の楽器の。
ーウクレレですか?
小木:そうです、そうです(笑)。全身ジャージで、カウボーイハット被って、ウクレレ弾いて。すげーやばいやつだなと思ったんですけど、それがなんかよくて、俺も買ったんです。