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ディレクター・吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。 第7章「在原みゆ紀と確かめる、女性でも着やすいメンズウェア」
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ディレクター・吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。 第7章「在原みゆ紀と確かめる、女性でも着やすいメンズウェア」

いま再び盛り上がりを見せる2000年代のファッション。今季の「ビームス(BEAMS)」も「Y2K」をテーマに、90年代を経て生まれた2000年代のカルチャーに焦点を当てたものづくりがされています。そうして誕生したウェアの数々には、どんなビハインドストーリーがあるのか? メンズカジュアル部門のディレクター、吉川基希さんとともに、今季のオリジナルアイテムの攻略法を探ります。
今回はメンズのカジュアルウェアを上手に着こなすモデルの在原みゆ紀さんがゲスト。古着が大好きだと語る彼女の視点を交えながら、「ビームス」のオリジナルアイテムについてとことん語ってもらいました。

  • Photo_Ryunosuke Kanaya
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yuri Sudo

古着の悩みが現代の技術によって解決されている。

ー今月はどういったラインナップになっていますか?

吉川:6月ということで、夏に向けての商材が充実しています。全体的には古着っぽいアイテムが多いんですけど、その中で素材使いやディテールでテクニカルなものをちりばめていますね。

在原:古着の香りがめちゃくちゃムンムンしてますよ(笑)

吉川:まず今季のテーマがいちばんわかりやすいところだと、このTシャツですね。通常だとコットンでTシャツをつくることが多いんですけど、これはポリエステル100%です。ストレッチ性にすごく優れていて、なおかつ撥水性もあるので、水をかけてもはじきます。

在原:これオリジナルですよね? どこかのブランドのアイテムかと思うくらいクオリティが高いですね。

吉川:うれしい言葉、ありがとうございます(笑)。Tシャツって、コットンだとどうしても白っぽくなっていくじゃないですか。

在原:それ、私も悩みなんです。ネットに入れて丁寧に洗っても白くなるんですよ。

吉川:そうした現象が起きないように、素材をコットンから変えたんです。だからずっときれいなまま。実は今日ぼくが着ている服も同じアイテムなんですよ。

在原:あ、これなんだ! なんか着るとまた印象変わりますね。

吉川:実は裾を絞れるようになっていて、ブラウジングさせると、こういうシルエットになるんです。もちろん絞らずに普通のTシャツみたいに着てもいいですし、絞ってレイヤード感を出してもいいと思います。

在原:へぇ~! めちゃくちゃ考えられていますね。こういうの、ありそうでなかったですよね。

吉川:そうかもしれません。生地をつくる技術が年々進化しているので、こういう新しい生地を使っているのもぼくらの隠れたこだわりですね。

ーつづいて、タック入りのパンツのご紹介をお願いします。

吉川:これはワイドでテーパードシルエットのパンツなんですけど、在原さんが好きそうな形なんじゃないかと思ってます。

在原:大当たりです。こういうの、結構持ってます(笑)

吉川:こういうパンツってデニムとか、チノ素材でつくるんですけど、展開時期が6月ということもあって、軽めのダンガリー地でつくりました。なので、夏場でも快適に過ごせるようになっています。

在原:私はこういうパンツを、ウエストをギュンギュンに絞って履いてます。

吉川:これ、内側にドローコードが付いているので、ギュンギュンにできます(笑)

在原:わ、さすがです! これはもう大好きな仕様ですね。

吉川:そしてこちらがさっき在原さんに着てもらったニットポロですね。素材はコットンポリエステルで、ヘリンボーン柄で編んでいます。涼しく着られるようにすこし甘く編んでいて、インナーとのレイヤードも楽しめるかなと。これくらいの透け感だとメンズでも抵抗なく着られると思うし、いい意味での大人なのいなたさみたいなのが上手に表現できると思いますね。

在原:大人のいなたさ、出てますね。サイズ感もすごくいいですよね。ピタピタだと、本当におじさんっぽくなっちゃうけど、これは上手にバランスが調整されています。

吉川:大きすぎるとまたバランスが悪くなるんですけど、20代の子たちがかっこよく着られるサイズ感に整えています。

STYLING1

ー在原さんにこのアイテムでスタイリングを組んでもらいました。どうしてこれをピックアップしたんですか?

在原:女性でも着やすそうだなという理由ですね。中にタンクトップを着ようか迷ったんですけど、Tシャツとレイヤードしてみたらいい感じになりました。タンクトップでも、Tシャツでも、適当に上に羽織るだけで様になるサイズ感ですよね。

吉川:ボトムはミリタリーパンツを合わせてましたよね。

在原:ポロシャツにミリタリーパンツは私の中で定番なんです。相性よすぎでしょっていう感じで(笑)

ーつづいてのアイテムをお願いします。

吉川:これはいまお話にあった、ミリタリーのショートパンツですね。実は、ヘリンボーン、リップストップ、ツイルの3つの生地をつかったクレイジーパターンになっていて、よくみるとトーンがちがうんですよ。

在原:遠くからみたらわからないけど、よくみたら凝ってるってやつですね。贅沢なつくり!

吉川:そうなんです。そして、安心のギュンギュンのドローコードもついてます(笑)

在原:うれしい仕様、ありがとうございます。3つの生地を使ってさりげなく遊んでいる感じが可愛いですね。

吉川:在原さんのポロシャツのコーデと同じように、ぼくらもスタイリングでこのミリタリーショーツとポロシャツ合わせてます。やっぱり相性は抜群ですね。

ーつづいては、ベースボールTシャツですか?

吉川:そうですね。いわゆるなベースボールTeeなんですが、こういったアイテムを古着屋で見つけると、結構タイトなものが多いんです。意外と大きなサイズがない。

在原:たしかに!身幅とか結構せまいやつ多いですよね。

吉川:そうなんですよ。でも、これはめちゃくちゃ大きくつくってます。そして生地に関してもこだわりがあって、古着のアイテムってだいたい生地が痩せてて、テロテロになっているものが多いんです。

在原:透けちゃいそうなくらい着込んでるやつとか、結構ありますよね。

吉川:だけど、これは「COTTON USA」というアメリカの糸を使っていて、しっかりと肉厚につくっているんです。

在原:ガシガシですね。安心感ある。

吉川:デザインはシンプルだけど、サイジングと生地にこだわることで、アイテムとしての完成度を上げています。

在原:80年代までの古着のTシャツのテロっとした生地感は好きなんですけど、着るとなると透けるのが気になるんです。なので、90年代以降のオンスの高いものを結構選んじゃうんですけど、やっぱりこういうガシっとした生地感は安心感ありますね。

吉川:このTシャツに合わせとしておすすめしたいのが、こちらのデニムです。シルエットは細身のストレートなんですけど、すごく手間がかかってるんですよ。

在原:気になります!

吉川:生地を一回ブリーチしているんですけど、そのあとに染料をのっけて、さらに顔料をふきつけて、最後はグラインダーで削って加工感をだしています。

在原:本当にめちゃくちゃ手間がかかってますね。

吉川:そうなんです。でも、狙っているのは古着屋さんのパンツコーナーに、ポツンと置いてあるようななんでもないデニムなんですよ。

在原:そういうデニムありますよね。なんだかわかる気がする。

吉川:このデニムにさっきのベースボールTeeを合わせたコーディネートのひと、下北とかにいますよね。

在原:たしかに(笑)。その古着、どこで買ったの? って聞いちゃいそう。

吉川:だけど、古着じゃなくて「ビームス」なんだよっていう。サイズもSからXLまであるのがぼくらの強みですね。古着だとどうしても1点物になっちゃうので。

ーエディ・スリマンが2000年代に表現していた、タイトなデニムの雰囲気も感じます。

吉川:それもちょっとイメージしました。あの時代のタイトな感じ。当時は真っ黒とかが流行ってましたけど、いまの古着ブームを意識しながら、色はあえてそんな感じにしてますね。

ーつづいては、チェックシャツですね。

吉川:これは素材がすごくテクニカルで、ポリエステル100%なんですよ。生地に隙間が空いていて、涼しく着られるようにしています。

在原:本当ですね。透かして見ると、あっち側が見えます。

吉川:それを活かしながら、チェック柄をプリントで表現しているんです。

在原:なんか、汗をかいてもペタペタしなそう。シワにもならなそうですし。

吉川:そうなんですよ。なおかつお洗濯などのケアもラクで。

在原:私は古着の開襟シャツが好きでよく着るんですけど、コットンだとペタつくんですよ。

吉川:ドライタッチなので、その心配は無用です。現代的な技術で、そうした悩みを解決したシャツですね。

ーつづいては〈ラコステ〉の別注Tシャツですね。

吉川:スポーツブランドなのでインラインでは機能的なアイテムも多いなか、あえてコットン100%のガシッとした肉厚な生地で別注をさせてもらいました。色使いもグリーンとネイビーということで、ブラックウォッチのカラーリングを取り入れているんです。それをボーダーにしても、やっぱりなじみがいいというか。

在原:合わないわけがない色の組み合わせですよね。このアイテムは絶対に誰が着てもみんな似合いますよ。

STYLING2

ー在原さんには、このTシャツでコーディネートを組んでもらいました。このアイテムをピックアップした理由と、着こなしのポイントを教えてください。

在原:私、〈ラコステ〉が好きなんですよ。昔のも好きなんだけど、「ビームス」でやっている現行の別注っていうのもやっぱり気になるんですよね。それで見てみたら、すごく可愛くて。着てみたい!! ってなっちゃったんです(笑)

吉川:デニムを合わせたコーディネートが、在原さん節全開っていう感じで、すごく素敵でした。

在原:もういかにもな組み合わせですよね。だけど、着ててすごく今っぽさを感じたんです。それはやっぱりサイズ感なんですかね?

吉川:そうだと思います。タックインするとボリュームがでるので、それが今っぽさを演出してくれているのかなと。

在原:色違いで赤系のカラーリングのアイテムもあって、それもかわいかったですね。

吉川:このTシャツには、こちらのパンツを合わせて提案をしています。いわゆるTC素材で、ワークパンツなどによく使われる生地なんです。それを使ってショーツをつくりました。

在原:これもかわいい!

吉川:Tシャツにショーツだけだと味気ないので、それにハット(ラスター ナイロン バケットハット ¥5,280)を合わせた着こなしもいいかなと。素材はナイロンを使っていて、ちょっとラグジュアリーな雰囲気にしています。アメカジなんだけど、ハットでちょっとだけモード感を出すみたいな。

在原:いいバランス。素敵です。素材の使い方でちょっとしたニュアンスがでるのがおもしろいですね。

ーひと通りアイテムをご覧になられていかがでしたか?

在原:私のクローゼットにも似たようなデザインの古着がたくさんあるんですけど、それがさらに現代的にアップデートされた印象を受けました。やっぱり私が持っているアイテムは、生地が薄くて透けちゃったり、汗でくっついちゃったりするのが悩みだったんですけど、そうしたところがしっかりと現代の技術によって改善されているなって。

吉川:それはまさに狙っていたところなので、言葉にしていただいてありがとうございます! ぼくらも古着が好きなので、そこからインスピレーションを受けることが多いんですけど、「こういう生地だったらいいのにな」とか、「サイズがこれくらいだったらカッコいいな」というアイデアを大事にしています。そこに気づいてもらえたのがすごくうれしいです。

INFORMATION

BEAMS 23SS COLLECTION

公式サイト
Instagram:@beams_official @beams_mens_casual

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