Case01_牧野英明
ランナーから見る、Wayser RE 2.1

PROFILE
2004年に「ビームス」に入社後、カジュアルからドレスまで幅広いキャリアを経験し、いまやスポーツ業界に身体半分以上入れた名物シリアスランナー。独自の視点で人気スタッフがセレクトするオンランマーケット「B印MARKET」では、「#いつでも10km走れるコーディネート」をテーマにした、“走るのに快適なファッション日常着”と“機能美溢れる高性能ギア”を紹介。フルマラソンベストタイムは2時間47分44秒(東京マラソン2023)という2:50切りの“サブエガ”。
Instagram:@makinohideaki
ファッションはカテゴライズする文化。スポーツは…


ー 牧野さんの最近のランニング事情はどんな感じですか?
牧野:日常的に走っていて、つい先日、野沢温泉のトレランのレースに出場して14km走りました。走るだけに限らず、ランニングが全方位に広がっていて、「名古屋ウィメンズマラソン」でタキシードを着て、プレゼンターを務めたこともありますし(笑)、シューズブランドの発表イベントで登壇することもよくあります。
ー ランを軸にいろいろな展開を見せているんですね。
牧野:あとは〈ビームス〉のなかでピックアップされたスタッフが、自分の色を生かして商品をセレクトして展開するEC「B印マーケット」がちょっと前にはじまりましたが、ぼくもその一人に入ってます。本来であれば、ぼくは仕入れを行う花形職にはまずなれないはず。でも、ぼくの場合は正規ルートではなく、走っているうちにそこにたどり着いちゃったんです(笑)。

ー これまでのシューズ遍歴を簡単に教えてください。
牧野:もともと服が好きですし、化繊よりもコットンが大好きで、ときには年350日は革靴を履いていたという時代もありました。でも、いまでは有事の際、主に終電で乗り過ごしちゃったときですが(笑)…、走れるように常に準備しておくために、いわゆるランニングシューズを普段から履いてます。極端な話、ライフスタイルシューズすらも断捨離してしまって、パフォーマンスシューズしか所有していません。みんなが知っているようなローテクシューズはひとつもない。だからぼくが履いているシューズは、会社のひとたちも、え、それどこの? と反応するような見たことないシューズばかり。でも、そういうパフォーマンスシューズをファッションとして履くことが、ぼくには新鮮で楽しいんです。
ー いわゆるギアのようなものですよね。
牧野:そうですね。スポーツ、ひいては体を動かすことやそれにまつわるテクノロジーは、すごく純粋だし、確かなものだと思うんです。その明快さに惹かれるというか。ファッションは、基本的にカテゴライズする文化だとぼくは捉えていて、「お前、カジュアルね。お前、ドレスでしょ。お前、モードね」と分けて、村をつくりやすい。でもスポーツ、特にランニングに関しては、山を走るひと、近所を走るひと、本気で走るひともみんな共通の体験をしているから、仲間意識がすぐできます。
走らなくてもいいけど走れちゃう。

ー〈デサント〉にシューズのイメージはありましたか?
牧野:はい、ぼく自身〈デサント〉のトップパフォーマンスシューズを履いて走ったことがあります。あとはスゴくストイックなモデルをリリースしているのも知ってます。
ー このスニーカーに対する印象はどうですか?
牧野:クイックシューレースが大好きなんですよ。単純に機能としてもいいし、ファッションとしてもいい。全体的なデザインとしては、〈デサント オルテライン〉のソリッドさとの共通性を感じます。〈デサント オルテライン〉もそうですが、デザインというものは、やっぱり機能ありきというところがいいなと。スポーツやアウトドアブランドのそういう考えが好きなので、その点でも惹かれます。


ー 走ってみてどうですか?
牧野:このシューズは、パフォーマンスラインというカテゴリーではないので、こういうキッカケがないと触れなかったかもしれない。とはいえ今日ここに来るまでに履いて軽く走ったりと試してきたんですが、履き心地もよく走りやすかったです。
ー ロゴのあしらいも控えめです。
牧野:ちゃんとしたセットアップを着るようなシチュエーションもあるんですが、そういうときにこれを足元に持っていきたいなと。遠目から見たら、スーツみたいなセットアップにソリッドなシューズを履いていると思わせておいて、実は全部機能素材で快適だし、走れる。そういうスタイルです。
ー いいですね。このシューズは、つま先側に革靴、かかと部分にスニーカーのラストを組み合わせているんです。
牧野:それなら、なおさらセットアップに合いそうですね。スニーカーのサイズは29cmがベストなんですが、このシューズはマックス28cmということで履いて走ってみたところ、キツく感じないんです。その辺りも革靴のラストが関係していそうです。
スポーツで機能するシューズが、日常で不快なはずがない。

ー 今日のスタイリングについて教えてください。
牧野:テーマとしては、“走れる日常着”ですね。〈ナリフリ〉という自転車ブランドに、ぼくが別注をかけたもので、機能的な素材使いはそのままに身幅を大きくししています。自転車乗り用につくってるメーカーですが、これはランニングにも使えるなと。
ー 動くし、汗をかくのは同じだと。
牧野:ランニング用としてリリースされているものがランニングだけに使える、というわけでないし、逆にそれ以外からいかにしてランニングに転用できるかという目線でものを見ています。ファッションで提案しているアイテムを見るときも、どうやったらランニングに使えるかという目線でいますね。ぼくの知り合いも、〈ビームス プラス〉のテック系のバギーショーツでトレイルを走ったりしてますよ。

ー 機能服もパフォーマンスシューズも、日常で使ってみるといろいろと便利なことが多いですからね。
牧野:動いてるときに使って便利な服やシューズが、日常使いしてみて、不便だったり不快なはずがないですから。ぼくはお金を払うんだったら、機能にお金を払いたい派だし、機能素材やテクノロジーというちゃんと確かなものに価値があると思っているんです。もちろん、その確かなものがベースにあって、じゃあブランドとして方向性をどうしようかというのはありますが、まずは素材に付随する機能やテクノロジーのところをどうしても見ちゃいます。