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FEATURE
OUTDOOR CHILLING vol.1外チルについてあれこれ考えてみた。
MONTHLY JOURNAL Mar. 2024

OUTDOOR CHILLING vol.1
外チルについてあれこれ考えてみた。

ここ数ヶ月、部屋にこもりっぱなしでダラダラやっていたけれど、こうも外が気持ちいいと今度は公園あたりで陽の光を浴びながらダラダラやりたくなってくる。そんな時間を「外チル」と呼んでみて、食べたいご飯や着たい服、読みたい本、使いたい道具などを探してきました。それにしてもやっぱり春はいいもんです、ぼくらを外に連れ出してくれるから。

外チル、なに読む?

もう少ししたら梅雨になり、そのあとは猛暑がやってくる。この時期を逃してしまうと、外でおちおち読書もしてられない。外チル読書のベストシーズンと言えるいま、 野良読書家集団のRiverside Reading Clubのおすすめは?

PROFILE

Riverside Reading Club

ラジオや執筆などさまざまなフィールドで活動するメンバーで構成されている野良読書家集団。ヒップホップやソウル、パンク、ロックと同じ目線で文学を楽しむ。メディアやSNSでの選書、マーチャンダイズやポッドキャストなどで発信中。
Instagram:@riversidereadingclub

植本一子・滝口悠生 『さびしさについて』 ¥902(ちくま文庫

写真家の植本一子さんと小説家の滝口悠生さんが往復書簡をまとめ、自費出版した『往復書簡 ひとりになること 花をおくるよ』に新たな2往復を加え、2024年2月に「ちくま文庫」より文庫化された1冊。

「写真家と小説家の往復書簡。時間をかけてやりとりされる文章と、緩やかにでもたしかに繋がっていくそれぞれの言葉、思索や記憶、生活。そこにある時間のように、急がずに、ゆっくりと読み進めていく。わたしの思索や記憶も浮き上がってくる。一度本を閉じる。落ち着いた心のなかで、それらを文章にして届けたい人のことを静かに想い、川が見えるベンチで深めのため息をつきたい」

土井政司『アリッサのこと』 ¥1,760(タラウマラ

大阪・淡路のサイクルショップ「タラウマラ」の店主で、DJ PATSATとしても活躍する土井政司さんによる『ほんまのきもち』『JAGUAR』に続く、短編小説3部作の最終章『アリッサのこと』。表題作『アリッサのこと』と『市街地の犬』の2篇を収録。

「最近やっとコーヒーが飲めるようになったので、Sniiteに寄ってから世田公のいつものベンチに座る。手に入れたばかりのTHE WEST AGROSの1stを小さめの音量で再生して、昨夜おそくに洗ったバッグの中から椰子蟹の表紙の小説を取り出す。遠くではしゃぐ小型犬や、目の前を走り回る子供達の声が漏れ聞こえる。3月のまだところどころ茶色い芝生が、ベイビィ・パウダーが撒かれた使い古された畳の匂いを想起させる。どんな状況下でも快適な環境を見付け出す術を、僕は特殊な空間で身に付けた」

蟹の親子『浜へ行く 日記と、それを本にして売ることについて』 ¥990(蟹の親子

下北沢にある日記専門店「日記屋 月日」で初代店長を務めた蟹の親子さんによる、2022年の1年間を綴った日記をまとめた1冊。前作『にき』の続編となり、日記を続ける苦しさについて書かれたB面『ささやかな日記論』も収録。続編に2023年をまとめた『日記集 水筒』も。

「日記を書くことも日記を読むことも自分はあまり習慣づけてはない。ふっと時間が空いた時にいつもの延長ではなくて、別の場所に手を伸ばしてみたくなる。朝いつもより起きた時や、いつもより少しだけ時間の流れがゆっくりな夜、たまたま座れた電車の中だったりで、『浜へ行く』という日記を開くとそこには当たり前だけど別の日常が頭の中に浮かび上がってきて。ゆるやかなのか忙しいのかは分からない時間と細やかなそれでいて大きな思考が流れてきて。どこかに出かけたような気持ちになっていた。文庫本サイズで400Pもあるのが途中から嬉しくなってきて、いつも持ち歩いてました。姪と甥がよく琵琶湖に行ってるのもあってなんか良い距離感を勝手に感じられました。考えていないようで考えることが出来てるそんな気持ちにもなれた日記」

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