ブランドというものを考えると、やっぱり歴史には敵わないなって。

―でも、金子さんはご自身のお店や別注でもデニムのウェアをこれまでにたくさんつくっているじゃないですか。その中で、〈リーバイス®︎︎︎〉でつくれることの意味ってどんなところにあるんでしょう?
金子: 最近ブランドというものを考えるときに、やっぱり歴史には敵わないなっていうところに直面することが多くて。いくら良いものがつくれても、歴史だけはつくれない。長年かけて培ってきた重みや深さ、歴史の偉大さを痛感することが多々あります。格好いい服は世の中にいくらでもあるけど、それを自分が着たいかって言われるとなかなかそう思えなくて、実際には今日みたいな不器用な服ばっかり着てる。それが何故なのかって考えた時に、やっぱり歴史的な部分に理由があるんだろうなと。だから、今回は歴史がある〈リーバイス®︎︎︎〉っていうブランドでデニムがつくれるっていうところが自分には刺さりましたね。
―しかし過去のオーダー例を少し見せていただいても、かなり個性が出ますよね。前身頃と後ろ身頃、さらに左右と4面全部違う生地のジーンズをつくっている人もいたり。捉えようによってはピーター・マックスの〈ラングラー〉みたいな。
金子: でも、これ配色うまいですよね。この違和感が全然嫌じゃないし、すごいカワイイ。

―そういういろんな視点が交差する感じもオーダーならではですよね。
金子: それで言えば、この前〈リパーパス〉っていうラインで企画したジーンズは、「501®︎︎」と「505」を混ぜたイメージでつくったんですよ。〈リーバイス®︎︎︎〉さんのお店で言うのもアレなんですけど(笑)。
―それはどんなミックスのバランスだったんですか?
金子: ベースは「501®︎︎」っぽいんですけど、ポケットのデカさとかは「505」になっていたり。後ろ身頃が「505」で、前が「501®︎︎」。だから「502.5」っていう品名にして。「505」はセルビッジじゃない時代のものをサンプリングして。そもそも思いつきのきっかけは藤原ヒロシさんが一時期「505」をよく穿かれていて、そのイメージだったんですけど。
―面白い発想ですね。オリジナルにはない、そうしたミックス感覚が時として本物以上に個性を感じさせたりもしますよね。
金子: それはあると思います。こうやって要素を混ぜるやり方が、いつか本家〈リーバイス®︎︎︎〉さんと一緒にやれたら面白いなと思ってますけど。ゆくゆくは「ロット・ナンバーワン」でも、3タイプつくれたらな…なんて考えてます。ドレス、カジュアル、スポーツと。まずは今回のこのオーダーが、ひとまずその布石ですね。完成は2ヶ月後だそうなので、ひとまずそこを楽しみにしようかと。