キツい上りがあれば、気持ちいい下りも必ずある。
羊山公園をスタートしたランナーは、フラットなロードと凹凸のあるトレイルを交互に進んでいきます。
急勾配の上りはペースを落として歩いたり、傾斜のゆるい下りは気持ちよく疾走したり。トレイルランニングのレースは、一定のペースを保ちながら淡々と走るロードのマラソンとは性質が異なります。ザックに収納した水や補給食をどこでどれくらい補給するか、上着を羽織るか脱ぐかなども含め、すべては本人の裁量次第。その判断がレースの成否を左右します。
序盤、快調に進む山本と柴山。時折笑顔を見せることも。
ふたりは一時並走する区間もありました。トレイルランニングのレース中、ランナーは基本的に孤独。だからこそ、気心の知れた仲間が近くにいるのは心強いものです。
道中、ランナー同士の前後の間隔が詰まってしまうことも。シングルトラックと呼ばれる一本道のトレイルにおいてある程度は仕方のないこと。ただ、これはレースが進むにつれて解消されていきます。
厳しい上りがあれば、気持ちよく走れる下りも必ずある。まさにアメとムチ。人生楽ありゃ苦もあるさ。これぞトレイルランニングの醍醐味です。
軽快に歩を進める山本。奥武蔵エリアの名所として知られる山寺、子の権現(ねのごんげん)を通過しました。ここは3つめのエイドステーションがある28キロ地点のあたり。
山本の到着から約10分後、柴山も子の権現へ。「気温は低くないのに、寒さを感じてきました。汗冷えしたかも」と柴山。ザックに詰めていたレインジャケットを、ウインドジャケット代わりに羽織ります。
ジャケット&ゼッケンの色と、山門脇の仁王像の色がシンクロしたのは、偶然の産物。
4つめのエイドステーションがある名栗河川広場の先のトレイルに入ると、急な上りが続き、路面の表情も一変。
木の根っこがせり出した路面は、このエリア特有のもの。滑りやすいうえに足を引っ掛けやすいため、上りも下りもスピードを出しづらく、ランナーを苦しめます。