デザインチームを公表しないアノニマスなブランドでありながら、着実にその存在感を高めている〈シティー カントリー シティー(City Country City)〉。そんなブランドの実態を探るべく、設立当初から親交の深いクリエイターたちへのインタビューを行う連載企画。謎のブランドの気になる中身を、あらゆる角度から迫っていきます。
今回はアーティスト/ペインターとして活躍する「81BASTARDS」のMHAKさんが登場。親しい関係性から眺めるブランドの魅力について、まっすぐな言葉で語ってもらいます。
地元に対する愛情みたいなものを勝手に感じている。
ーMHAKさんと〈CCC〉の関係について教えてください。
MHAK:デザインチームの中に青森出身の方がいて。「青森会」っていう飲み会があるんですけど、ぼくも会津若松出身で東北つながりということで、特別に参加させてもらったんですよ。そこでお会いしたのが最初ですね。もう10年以上前のことです。
ーそのときはどんな印象だったんですか?
MHAK:先輩なので、ずっと緊張してましたね(笑)。でも、すごくフランクに接してくれて、そこから交流が生まれたんです。〈CCC〉がスタートしてからも展示会にお邪魔させてもらってますね。
ー〈CCC〉の服をよく着ているそうですね。
MHAK:ずっと着ているし、キャップもよく被ってます。形がいいからなにも考えずにさっと着れるし、グラフィックも印象的ですけど、なんか自分にフィットしている感じが好きなんです。〈シティー カントリー シティー〉っていうブランド名も、いいですよね。同じ東北つながりなんで、地元に対する愛情みたいなものを勝手に感じてるんです(笑)。
ー音楽的な背景も似ていたりするんですか?
MHAK:ハウスミュージックを背景にしているのは知っていましたが、ぼくはどちらかというとパンクやロカビリーが好きで、ロンドンナイトの影響を受けているんです。
ーということは、音楽的な背景よりも、ロンドンナイトのファッション的な側面でのつながりがありそうですね。
MHAK:そうかもしれません。あの当時はいろんなカルチャーがいい意味でごちゃ混ぜになっていたから。デザインチームのメンバーも文献には載っていない当時のおもしろい話をたくさん知っていて、それを聞きながら一緒にお酒を呑んでますね(笑)。
〈CCC〉をグラフィックレーベルのように捉えている。
ー今日はMHAKさんのアトリエにお邪魔しています。
MHAK:いつもここで作品をつくっていますね。製作中は基本的に無音で、邪念が入らないようにしてます。懐かしい曲とかがかかると、そのイメージに引っ張られちゃうんですよ。
ーMHAKさんの作品はすごくアブストラクトですよね。
MHAK:頭の中で描いているものはあるんですが、基本的には鑑賞者のイメージに委ねたい。だから、具体的にそれを表現したくないんです。お店の壁に直接作品を描くことも多いから、空間の邪魔をしたくないというのもありますね。その場をいい雰囲気にしたいと思いながら描いているというか。
ーそのバランスを維持しながら勝負できているのがすごいと思います。
MHAK:最初の頃はまだまだでしたけどね。でも、絵を描きはじめてようやく20年以上のキャリアができて、それが説得力につながっていったのかなと。大手のブランドとも契約を結ぶことができたし、そこから広がりが生まれた感覚があって。最近は“MAHK”の名義以外にもチャンネルを増やして、本名である“Masahiro Akutagawa”として作品を製作しながら表現の幅を広げているんです。そこでまた考えることが増えたので、本当に楽しいですね。
ーインスピレーションはどんなときに生まれますか?
MHAK:友人や先輩との会話や、それこそ〈CCC〉の方々と接しながら得られるものも多い。さっきも話しましたけど、1990~2000年代の東京ファッションの中心にいたひとたちなので、現場を知っているんですよね。当時の生の話を聞けるって本当に貴重じゃないですか。それ自体がもうカルチャーなので。あとはファッションの中にもそれがあって、服の色の組み合わせだったりとかをチェックしてますね。
ー〈CCC〉のグラフィックはMHAKさんの目にどのように映ってますか?
MHAK:ぼくは〈CCC〉をグラフィックレーベルのように捉えてますね。自分たちの好きなカルチャーやアーティストたちと一緒にものづくりをして、それをグラフィックとして表現している。相互のリスペクトが見えるし、できあがったもののレベルがめちゃくちゃ高い。それってやっぱり経験がないとできないことだと思うし、ぼく自身もめちゃくちゃ参考にしてますね。
積み重ねてきたものが見えないと強くならない。
ー先ほど「表現の幅を広げている」という話がありましたが、それによってご自身に還元されていることってありますか? たとえば考え方が変わったとか、日常生活での変化でもいいですし。
MHAK:自分自身では気づいてなかったけど、変化はきっとあると思いますね。こうやって〈CCC〉のデザインチームはもちろん、いろんなひととの関わりの中で日々学ぶことが多いので。改めて考えると、それがやっぱり自分の財産になっているんだなって感じます。とくに〈CCC〉の方々は自分にとってメンターのような存在でもあるので(笑)。
ー今後、〈CCC〉に期待することはありますか?
MHAK:〈CCC〉のみなさんって、物事を掘り下げていくのが好きな方々じゃないですか。そういう姿勢を、もっと見せつけてほしいなと思います。若い世代にはとくに。ある意味、オタクが最強じゃないですけど、どのカルチャーにおいても、そうあるべきだとぼくは思うんで。掘り下げることによって知識が生まれるし、それが説得力につながっていく。やっぱり、積み重ねてきたものが見えないと強くならないんですよ。
ーこれだけ情報があふれているからこそ、掘り下げる材料もたくさんありますからね。
MHAK:でも、いつでもどこでも調べられる状況になってしまったのが良くないのかもしれないですね。スマホで完結してしまって、生のコミュニケーションが薄れてしまっているから。もちろん、それ自体が全部ダメだとは思わないんですけど、自分自身の表現やカルチャーを太くしていくためには、ひとと会って話したり、自分なりに調べて掘り下げていくことが大事だなと思います。
MHAK
1981年、会津若松生まれ。ペインター/アーティスト。デザイナーズ家具や空間設計から影響を受け、「生活空間との共存」をテーマに壁画を中心とした制作を続ける。絵画を空間の雰囲気として機能させるため、抽象表現にこだわり、曲線の反復による独自のスタイルを確立。個人邸や飲食店、ホテルなど多くの内装壁画を手がけるほか、Levi’s®、adidas、THE NORTH FACEなどグローバルブランドへのアートワーク提供も行う。また、地域創生としての地方での活動や、世界中にメンバーを要するアーティスト集団『81 BASTARDS』の一員などその活動は幅広く、現在までに日本はもとよりアメリカ、オーストラリア、イタリア、アルゼンチン等世界中様々な都市で作品を発表し国内外にその独特な世界観を拡げ続けている。
Instagram:@mhak_

