05:NIKE_SPACE HIPPIE 03 サステナブルでありながら、スタイリッシュ。
ー 最後は〈ナイキ〉の「スペースヒッピー 03」。これも今年発売されたばかりのスニーカーで、“宇宙ゴミの糸”と呼ばれる再生可能な素材を使用していることで話題を呼びました。
小木:ここ数年、様々な分野で“サステナブル”がキーワードになっていますよね。ファッション業界も然り。特に欧米ではその傾向が強く、サステナブルをテーマにした展示会が開催されているほどです。
ただ、これまでの“サステナブル”を打ち出したプロダクトは、そのコンセプトは共感できたとしても、デザイン的に微妙なものが多かった。そんななかでリリースされた「スペースヒッピー」コレクションは、さすが〈ナイキ〉と唸らせるほど、文句なしにかっこいい。
ー 先進的なデザインといい、“サステナブル”へのアプローチといい、〈ナイキ〉らしいプロダクトですね。
小木:〈ナイキ〉らしい意欲的でチャレンジングなプロダクトだと思います。このシューズに限らず、“サステナブル”はこれからのスニーカーシーンを語るうえで外すことのできない要素になっていくのではないでしょうか。
コロナ禍を経て、スニーカー観に変化が。
ー これまでは、ファッションも、スニーカーも、大量生産、大量消費が当たり前でした。今後はそうではないアプローチが求められていくと小木さんは考えていますか?
小木:僕は“洋服バカ世代”で、「服も靴もたくさん所有していたい」と思い続けて今まで生きていました。でも今回、コロナの影響で自粛生活を送っているとき、自宅の靴棚に並んだ大量のシューズやスニーカーを眺めながら、改めて考えてしまったんです。果たしてこれからもずっとこのままでいいのか、と。
これまでは「最先端のものこそが偉い」みたいな風潮があったし、自分自身もそう考えていたフシがありましたが、もうそういう時代も終わり、昔からずっとあるものの良さを改めて見直すときが来たのかもしれない。そんな気がします。コロナの前からそういう流れがあり、コロナ禍によってそれが加速したようにも思います。今回のインタビューの最初のほうで「ダンク」や「チャックテイラー」のヴィンテージを挙げたのは、実はそういう思いからなんです。
ー なるほど。スニーカーを通じていろいろなことを改めて考えさせられますね。話は尽きませんが、そろそろお友だちを……。
小木:〈FDMTL(ファンダメンタル)〉のデザイナー、津吉学さんを紹介します。津吉さんは僕なんか足元にも及ばないほどディープなスニーカーフリーク。マニアックで面白いスニーカーを挙げてくれると思いますよ。
ー それは楽しみです。今日はありがとうございました!
PROFILE
1976年生まれ。1997年、ユナイテッドアローズ入社。プレス担当、バイヤー、〈ユナイテッドアローズ&サンズ〉のディレクターなどを経て、2018年に独立。現在はギャラリー併設型スタジオ〈2G〉や自身のブランド〈POGGYTHEMAN〉など様々なプロジェクトのキュレーション/ディレクションを手がける。