ぼくのサッカー人生に重なる時計。
「銀座にお店ができると聞いて調べてみたら、これがちょっとすごいメーカーでした」
那須さんが感嘆した〈ティソ〉の歴史はざっと次のとおり。誕生は1853年。シャルル・フェリシアン・ティソとシャルル・エミール・ティソの親子によって創業された〈ティソ〉は耐磁性リストウォッチや24タイムゾーンワールドタイマー、そしてタクタイルウォッチといった世界初の機構を次々に生んできた。一方でよりよい時計をより多くの人にという思想のもと、生産の効率化に努め、高品質で良心的な価格設定の時計を具現した。スイスの国民時計といわれるまでに成長した〈ティソ〉は、スイス国旗をロゴマークに使うことを許された数少ないブランドのひとつであり、「NBA」や「MOTO GP」、「ツールドフランス」といった世界的スポーツのオフィシャルタイムキーパーを任される信頼のウォッチメーカーとしてもその名を轟かせた──。
そこには自身のサッカー人生と重なる部分もあるそうです。



「『浦和レッズ』に移籍して、自分本位だったそれまでを反省するようになりました。『浦和レッズ』といえばサポーターが熱烈なことで知られています。彼らと触れ合うことで、ぼくらは応援してくれる人がいてはじめてグラウンドに立てる人間だということを痛感したんです。ぼくが38の年までプレーすることができたのは、ひとえに彼らへの感謝の気持ちを片時も忘れなかったからです(Jリーガーの平均引退年齢は25〜26歳といわれる)」
「このブティックのオープン記念モデルやこの春の新作を見ると、本当に丁寧につくられている。機械とはいえ、時計も人がつくるものです。そのことをきちんと理解しているブランドなんでしょう。だから168年の歴史を紡ぐことができたんだと思います」


ケースバックにイラストレーター、遠山晃司氏のグラフィック “GINZA×TISSOT” があしらわれたオープン記念限定モデル。ベースモデルは「ティソ ジェントルマン オートマティック」。2020年に誕生した〈ティソ〉渾身の一本だ。30本限定。「ティソ ブティック銀座」のみでの販売。162,000+TAX(左)、95,000+TAX(右)
数あるなかで那須さんが気に入った一本は「Tissot PRX」。「軽くて、薄くて、手首に馴染む。着る服やシーンを選ばないところもいい」。感心しきりだったのはブレスレットに施されたヘアラインでした。通常、ヘアライン加工はコマの状態で行う工程ですが、「Tissot PRX」はその工程をブレスレットを組み立てたあとに持ってきています。


クォーツムーブメントを搭載したブレスレット一体型のタイムピース。1978年のオリジナルモデルを最新のムーブメントとクラフトマンシップでアップデート。ヘアラインの美しさは一見の価値がある。各¥50,000+TAX